2年2か月弱の半生において、
のん太には、一つ一つ、
嫌いなものが増えていく。
おはようございます。
のん太は、おじさんが嫌いだ。
のん太は、テレビが嫌いだ。
そして、のん太は、本が大嫌いなのである。
おじさんと話している、かかぁが嫌いだ。
テレビに微笑みかける、かかぁが嫌いだ。
そして、本をじーっと見つめる、かかぁなんて、大っ嫌いなのだ。
だから、のん太は忙しい。
これで、案外忙しいのだ。
寝ている以外、おそらく20時間寝ている以外は、
のん太は、かかぁの気を引こうと、いつも、かかぁを静かに見つめる。
泣いてぐずるような、そんな子供じみたことはしない。
穏やかな浅瀬のような右目と、夕暮れの太陽のような左目とで、
じとーっとひたすら、かかぁを見つめているのだ。
「かかぁ、のんに気付いて。かかぁ、かかぁ。」
おじさんとかかぁの間で、
テレビの真ん前で、寝転がって本を読むかかぁの胸の上に座って、
のん太は、じとーっとかかぁを見つめる。
のん太は、悩ましい。
どうしたら、もっとかかぁを感じられるのか、その術が分からなくて悩ましいのだ。
だから、かかぁはこう言う。
「抱っこしかないの。充分に甘えるには、
抱っこしか、ないのよ、のんちゃん?」と。
けれど、のん太は、疑っている。
抱っこされれば、爪を切られやしないか、疑っているのだ。
さらに、のん太は最悪な記憶も覚えている。
抱っこされて、尻をぐりぐり拭かれた記憶だ。
屈辱の記憶だ。
だから、のん太は、抱っこも嫌いだ。
だけど、のん太は、かかぁにもっと甘えたくって悩ましいのだ。
「どうちおう・・・どうちたら・・・」
あや「あら、のんちゃんったら、寝言言ってるわ。」
あや「うふふ、可愛いわね~ね~」
のん太は、超絶かかぁっ子なのである。
という、うぬぼれ劇場でした。