たまには、
レモンティーを飲んでみたい。
そう思った。
おはようございます。
ある日突然、弊社のウォーターサーバーの横に、
『お好きにどうぞ』と言わんばかりに、これらが置かれていた。
私は普段、会社のウォーターサーバーの水を飲まない。
隣りの熟女さんからは、
「おかっぱちゃんも、サーバーのを飲めばいいのに」
と言って頂いているが、
「いや、私などが有料の水なんて勿体ないから。
水道の水、いやもはやドブの水飲んでりゃいいの。」
と、卑屈なまでにへりくだって伝えている。
本音を言えば、私は昔から、ウォーターサーバーが怖い。
「この蓋みたいなもんを開けて、ボタン押しながら、
えっとカップごと前に押して・・・えっと」
と、同時に幾つかの動作をしなければ作動しない、この機械が怖いんだ。
以前、思い切り背伸びして、慣れた風を装って、
サーバーからお湯を出そうと操作したら、
湯が止まらなくなってしまったあの日を、私は忘れない。
「もう二度と触ってはいけない。危ない!」
そう心に決めたんだ。
なのに先日は、
「もう一度、やってみるか」
そう思えた。
この胸を熱くさせた勇気の訳は、
この、コーヒーの横の黄色の袋のせいだ。
「レモンティーじゃん?あれは、顆粒のレモンティーじゃん?」
私は、レモンティーが飲みたいと思った。
さっそく黄色の袋を破り、紙コップに出した。
「あれ?白い・・・」
顆粒は真っ白だった。
最近のレモンティーは湯を入れる前は白いのかと驚いた。
「さて、湯を出さなければ」
そう考えると、手が震えた。
私にサーバーの操作ができるのだろうか。
湯を出すことに成功した経験が無い私が、できるのか?
人を呼んで湯を出してもらった方が・・・
いやダメだ。
ドブの水飲めばいいって、自分で言っておきながら、
今更お願いなどできない。
白い粉の入った紙コップを左手に持ち、その場をウロウロしていると、
紙コップは、知らぬ間に左手に力が入っていたせいで、少し凹んでいた。
午後2時、鳥のさえずりも聞こえなければ、社内の電話も鳴らない。
時が止まっているかのように静かな昼下がりだった。
ガラス張りの扉から外を覗くと、真っ青な空に一筋の飛行機雲が見えた。
私は一旦落ち着こうと、黄色の袋を眺めることにした。
「く・・・りーぷって書いてある」
黄色の袋はレモンティーの黄色じゃなかったと知り、
私は、どういう訳か、安堵した。
残念な思いや、勘違いした恥ずかしさではなく、安堵したのだ。
「今じゃないんだ、今じゃなくっていいんだ」
そう納得して、私は静かに、ウォーターサーバーから離れた。
って、何やってんでしょうかね。呆れちゃう・・・。
そんな我が家の白はといえば・・・
おい、おたま!
毛繕いか。
君は、夜中に、たれ蔵の喧嘩を吹っ掛けてたよな?
どうして、そういう事をするんだい?
聞いてるか?
そんなにくねってるけどもぉ。
たれ蔵、何にもしてないのに、ダメじゃんか!
ねぇ、聞いてってば
おい、おたまー!!
おたま「おら、悪くないだ」
いや、お前が悪い。
お仕置きだ。
『閉じた瞼を無理くり開けて、変な顔にさせるの刑』だー。
うひひひひ。