うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

女神よ、ありがとう

2022年11月29日 | カズコさんの事

日曜日、

私とかずこは、スーパー銭湯へ行った。

 

おはようございます。

「母さん、大きなお風呂に行こう!

露天風呂もあるで~、天然温泉らしいで~、気持ちいいで~。」

そう言うと、かずこは、

「外で、大きな風呂に入って、ほんで、それが何やと言うんや?」

と返した。

私は、心の中で、たしかに~!と同感してしまった。

 

そうだ。

私は、天然温泉だろうが露天風呂だろうが、風呂に浸かる時間は家の風呂と変わらない。

わざわざ温泉宿へ行ったことだってあるが、入浴時間は5分だった。

そして、かずこもだ。

かずこも、そういう人だ。

だから、今までの人生で、スーパー銭湯へ行くという発想を持った事など無い。

5分のために、わざわざ移動して、お金を払う意味があるのか?

無い!

 

いやしかし、今回ばかりは意味があった。

かずこさんは、ここ最近、髪を洗うという概念を捨てた。

認知症のせいだ。

父に促されて、風呂に入るということはしているようだが、

体や髪は洗っていない。

とはいえ、デイサービスでは、促されても入浴は決してしない。

「不慣れな場所で、身ぐるみを剥がされたら、危険や!」

かずこさんは、そう感じている。

まるで、野良猫の身構えだ。

だから私が、銭湯で髪を洗ってやろうと思ったのだ。

かずこさんにとって、今や私は、マネージャー兼SPだ。

マネージャー兼SPとなら、安心して風呂に入れるだろうと考えた。

 

ところが、肝心のマネージャー兼SPが、銭湯へ行ったことが無いわけだ。

私は、かずこ以上に緊張した面持ちで車を走らせた。

結果は、ミッション成功だ。

私とかずこは、室内の大浴場の風呂に入り、髪を洗い、

なんと、露天風呂にまで浸かることが出来た。

この成功の立役者は、私じゃない。

銭湯で偶然会った、外国人女性だ。

 

入り口で下駄箱の鍵を持ち、受付でバーコード付きの鍵を渡され、

風呂の更衣室で鍵に出会った時、私の頭はパンクした。

「この鍵たちを、どうしたらいいの?」

こうなると、私はもうダメだ。

「わし、トイレ行きたい。」

と訴える、かずこさえ無視だ。

かずこのマネージャー兼SPが、かずこを無視だ。

私は、無言で3つの鍵を手に、呆然と立ち尽くしている、その時!

 

「トイレ? こっち。こっちよ。」

どこからか、女性の声がした。

はっと振り返ると、そこには「こっち、こっち」と手招きをする女神がいた。

バスタオルを巻いた、エキゾチックな顔をした女神だ。

その時、私の脳内には、アメイジンググレイスが流れた。

それ以来、困った瞬間だけ、女神が現れる。

シャワーの構造が分からない時も、

「ここ、押すの。」

と女神は囁く。

風呂の湯がぬるいとかずこが言った時も、

「外のは、熱い。あっち。」

と女神は、露天風呂を指さす。

風呂から上がって、かずこの髪を梳かしたい時だって、

「ブラシ、こっち。こっちにある。」

と女神は、私をブラシの前へ誘う。

 

私とかずこは、あの異国からやって来ただろう女神がいなければ、

「楽しかったね~、また行こうね」

と笑い合うことは叶わなかっただろう。

こうして、

この日本国で生まれ育った私達は、日本ならではの銭湯文化を

外国人に習ったのであった。

 

どういう訳か、私は時々、外国人に救われる。この国で。

そんな我が家のおじさんは、日本人だが、フランスかぶれだ。

そんなフランスかぶれ野郎に、たまに救ってもらう時もある訳だが、

「ねえ、おじさん?白ってフランス語で何で言うの?」

と聞くと、

「blanc」と囁く。

「ぶらん?ぶらんって言うの?」

と聞きなおすと、

「違います。blanc」

「いやだから、ぶらんでしょ?」

「違います。blanc」

と言い直されて、イラっとする。

 

我が家のブラン(白い)なシャ(猫)。

これを、開きにしてみましょう!

 

そーっと、なぜなぜ

 

さらに、顎をなーぜなーぜ

 

で、

白猫の開きの出来上がり~。

あっ、開きってフランス語で何て言うのかしら?

寝てるおじさんをたたき起こして、聞いておきます!