うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

惑星の瞳

2022年12月11日 | 日記

蚊は、越冬します!

 

おはようございます。

蚊には、越冬する種類がいるのです。

蚊が越冬する。

あの小さくて華奢な虫が、越冬する。

私は浪漫を感じた。

だから、叫んだのです。

「殺すなー!」と。

 

玄関を開けた拍子に、我が家に迷い込んだ一匹の虫に、

猫らの胸はときめいた。

右往左往と飛ぶ虫を追う、惑星のように輝く猫らの瞳。

 

黒猫は、「永遠なれ」と願っているかのように、虫を見上げている。

その瞳は、火星のように燃えていた。

 

白猫の水星のような瞳は、普段寝てばかりだから、こんな時くらいしか見られない。

 

オッドアイの猫の眼は、なんだろう?

金星の横に海王星が現れた天変地異みたいだ。

 

そのせいで、我が家の太陽のような雌猫は、

小さな虫に怖気づいて、すっかり雲隠れしてしまった。

 

どうしたものか。

しばらく見守っていたが、やはり虫は外に逃がしてやろうと思った。

といえども、私の眼では虫を追うこともままならない。

私の眼は、惑星じゃない。

どちらかというと、飛んでいる虫だ。黒い点だ。

そんな中、虫と同じように、右往左往する私と私の小さな瞳が、

虫より簡単に捉えることができるのは、

この騒動をそっちのけで寝転がり続ける男だ。

なんて、憎らしい!

 

その時、

まるで道を塞ぐ邪魔な石ころのように横たわり続けていた男が、

魔法から解かれたように一気に動いた。

それと同時に、私は咄嗟に叫んだ。

「殺すなー!」

男が振り向いた時には、もう男の右手は硬く握られていた。

そして、男はそのまま、

「分かっていますよ。」

と余裕な口ぶりで言い、虫を外へ逃がしに行った。

 

こいつ、箸で虫を掴む宮本武蔵かよ?!

いや、ジャッキーチェンも映画で同じような技あったような気がする・・・

そんなことを考えていると、男は戻ってきた。

「ねえ、知ってる?蚊ってね、越冬するんだって。」

叫んでしまった償いの代わりに、私は優しくそう言った。

しかし、男はさっきより、更に余裕な口ぶりで、

「あれは、ハエでしたよ。」

と言うものだから、私は男がさらに憎らしくなった。

きっと猫らも、憎らしく思ったに違いない。

 

この際、蚊でもハエでも、どうでもいいのだ。

 

ねえ、そうでしょう?

ねえ、おたま!

おい、おたまよ!!

お前、お前ってば。

どうして、おじさんにだけ、そういう甘え方するの?

 

おたま「おら、おじさんっこだから」

憎らしい~!!