タンポポみたいな猫だ。
おはようございます。
7月はうんこだ。
うんこを花に例えると・・・それは難しい。
そもそも、うんこは目の開かない頃から私の子だったから、
外で咲く花なんて、見たこともない。
うんこは、花というより、都会のOLさんみたいな、そんな猫だった。
タンポポみたいな猫というのは、チャー坊のことだ。
3月初旬、まだ寒い道端に咲くタンポポを私達は眺めていた。
缶コーヒーを飲みながら一緒に見た、タンポポと澄んだ青空を私は忘れられない。
あの頃のチャー坊は、今より痩せて汚れていたが、
うんと頼もしく見えた。
「君は、タンポポがよく似合うね」
私は、チャー坊にそう声を掛けた。
3月は、とても寒かったけれど、
抱き合って温めてやるなんてことは、してやれなかった。
地べたに座り込む私の足に背中を寄せる程度が、
あの時のチャー坊が知っている、暖の取り方だった。
今、チャー坊の体調は、かなり厳しい。
罹った真菌は、一旦改善を見せつつあったが、
この数日で、また一気に悪化した。
自己免疫が下がっているせいだ。
インターフェロンを投与しても、以前のようには復活してこない。
ただでさえストレスが最も良くないと言われるダブルキャリアに、
嫌な処置が続く。
それでもチャー坊は、「いい子だね」と声を掛けると、
私の眼を見て、喉を鳴らす。
「ぼく、いい子?」と問いかけるように見上げるから、
「いい子だよ」「ぼく、いい子?」のやり取りが止まらない。
タンポポが咲く頃、私の足で暖を取っていたチャー坊は、
今では私に全身を委ねてくれる。
こんな暑い最中だというのに、私に抱かれて喉を鳴らす。
病院での輸液や注射も、投薬も塗り薬も、まったく手こずる事がない。
「あなたのすることを、ぼくは信じる」
チャー坊は、そう言っているように見えさえする。
その懐の深さに、私はやっぱり、頼もしく思える。
そして、それ以上に、やるせない、切ない気持ちに押し潰されそうになっている。
ついに、チャー坊がタンポポになったみたいだ。
体を舐めないようにダメ元で装着してみたが、
チャー坊はそれも難なく乗り越えたもんね。
よし、チャー坊、次へ行くぞ!
前へ進んで行こう、一緒に。