うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

そろそろ、終わり

2023年08月18日 | チャー坊のこと

「終わっちゃった。」

そう呟いたら、ひとりでに涙が零れ落ちた。

 

おはようございます。

それは大型連休のことじゃない。

もちろん来週の月曜日も、

「連休終わっちゃった。」と呟いてさめざめと泣くに違いないのだけれど。

泣こうが足掻こうが、何事も終わりはやって来る。

しみったれた記事を書くのも、そろそろ終わらせなければならない。

ただ、あくまで記録として書き残したいことがある。

昨日で、全て終わったということだ。

 

5月から借りていたアパートの一室を、管理会社へ返した。

手続きの書類に『退室する理由』という項目があり、

私がどう書こうか悩んでいた時、

部屋の状態をあちこち調べていた管理会社の社員が、

「ほとんど、使っておられなかったようですね。」

と声を掛けてきた。

私は書類から目を離して、

「本当は保護した猫と暮らすつもりでしたが、

その猫をここへ移す前に死んでしまったんです。」

と説明をした。

 

チャー坊との二人きりの暮らしは、夢のままで終わった。

私は、それでよかったと思っている。

チャー坊はどう思っていたか分からないけれど、

頑固ジジィの観察眼に見守られ、

どういう訳か、気の合うボケたババァとの暮らしは、

私からみれば、馴染んでいるように見えた。

チャー坊でなければ、ああはならなかったと思う。

 

頑固ジジィは結局、最後までチャー坊を触らなかったし、

チャー坊も触らせようとはしなかった。

ジジィは、

「俺はいつか、そうだなぁ・・・。

2年後には俺にべったりな、もうなんなら布団で一緒に寝るくらいの

関係にしてみせる!」

と野望を抱いていたが、チャー坊は、

「僕とジジィは、ライバルだから!」

と言いたげだった。

そのくせ、チャー坊は腹が空く時に限って、ジジィにご飯をねだるという、

かなりチャッカリした行動に出ていた。

いつも小皿に何某かを盛って差し出してくれるババァにではなく、

本当に何か食べたい時は、かならずジジィに向かう。

 

ババァは、自分が食べて美味いと思った時、チャー坊に、

「お前も食うか?」

と自分の食べ物を小皿に盛って差し出していたが、

豆菓子や煎餅、ホウレン草のお浸しは、チャー坊の好みでは無かったらしい。

それでもチャー坊は、ババァから差し出される小皿には口を付けないまま、

「うん、ババァありがとう。」

と言わんばかりに、ババァに自身の体を触らせてやっていた。

そんな時、ジジィは決まって、見ないふりをしていた。

背中を向け、ババァへの対抗心と野望をメラメラと燃やしていたのだろう。

 

クーラーの利いた涼しい部屋であっても、

チャー坊が

「外を見たい。」

と言えば、頑固なジジィでも、ボケたババァでも、

クーラーを掛けたまま、迷わず窓を開けてやっていた。

ババァは時々、網戸も開けてしまっていたが、

チャー坊は決して、外へ出ようとはしなかった。

そのくせ、よく玄関前に陣取っていた。

それを聞いた私は、

「外へ出ないように気を付けて欲しい。」

とジジィにお願いしたが、ジジィは大丈夫だと笑った。

「こいつは、お前を待っとるんだ。

とにかく、こいつはお前のことばっかり考えとる。

そりゃもう憎らしいくらい、お前のことばっかりだ。」

ジジィは、私に対しては負けを認めていたようだった。

野望は消えなかっただろうけれど。

 

だから、アパートを使わなかったのは、良かったと思える。

時々、様子を見に行っていただけの一室だから、

何の思い入れもなかった。

ただただ、家賃がドブに流れていくだけだったはずなのに、

それがようやく終わった途端、

「終わっちゃった。」

と呟いたら、どうしようもなく淋しくなった。

 

とっくに逝ってしまっているのに、

その時ようやく、チャー坊はもう居ないという事実に直面した気がした。

どれだけ泣いても、チャー坊に会えば、それが救いだった。

どれだけ病に苦しむチャー坊であっても、生きてさえいれば救われた。

けれど今、どれだけ泣いても、もう救いはない。

終わっちゃったんだ。

自分の涙は、いつか、自分で終わらせなければならない。

 

ただ、私は知っている。

泣けば泣くほど、どれほどの幸せを味わったかを思い知らされる。

この涙は、悲劇じゃない。

幸福の証なのだということを、私は知っている。

 

どうしようもなく愛しいと思えた時、

人間は涙を流す生き物なのだ。


永遠の恋?

2023年08月16日 | チャー坊のこと

髪をバッサリ切った。

 

おはようございます。

「短く切っちゃってください。」

そう伝えると美容師は、

「いいの?ショートカットにするって感じですか?」

と心配そうに言ったから、私は照れ笑いしながら、

「失恋しちゃったんですよぉ。失恋。だからバッサリ行っちゃってください。」

と言った。

それを聞いた美容師は、腑に落ちた風に、

「だったら、勢いよく行っちゃいますよ!」

と微笑んだ。

私は、恋する相手を失った。

けれど、それがオス猫だなんて、とても言えなかった。

 

チャー坊が逝った月曜日から、4回目の月曜日。

以前から予約していた美容院へ出かけた。

髪を短く切るつもりは無かった。

予約時間より早く到着してしまい、しばらく車内で待っていると、

服に、茶色の汚れがへばり付いていた。

指でつまんでみると、それは汚れではなく埃だった。

「まさか。あれから3週間も経っているのに・・・」

親指と人差し指の感触で、埃の正体を探る。

慎重に探る。

「これは、チャー坊だ。」

衣服にへばり付いていた埃は、チャー坊の抜け毛だった。

私は、それをティッシュに包んでバッグに入れた。

その時流れてきた曲の歌詞に、私は吹っ切れた気持ちになって、

「よし!」

と、勢いよく車を飛び出した。

 

『 帰り道 アスファルト 立ち尽くす男 「私は私だ」と言いたいのは俺
  ハードボイルドな猫 ここじゃないどこかへ旅に出たのでしょう
  どうか どうか元気で
  永遠について考えるのはいつも 永遠に続かないものに気づく時だけ
  偉いはずの神様も王様も姿を変えていくなら
  運命も奇跡もいつだってこの手の中
  Be-Bop-A-Lura 永遠ってなんだ そりゃ言葉でしかないんだろうね
  Be-Bop-A-Lura 愛しいものがある時は ただそれだけでいいから
  Be-Bop-A-Lura 一瞬でいいんだ 一瞬のために生きてゆける
  Be-Bop-A-Lura 儚い幻の永遠よ
  お前の指図は受けない 馬鹿でいいもんね ルララララ

  もういない君に教わった 大袈裟かな 二度と会えないのだろうか 永遠に
  いや きっといつかどこかで 今はバイバイ

               引用: The cat is Hrd-boiled    by-aflood of circle 』

 

私の恋は、まだ続く。


我が家のお盆

2023年08月14日 | 日記

実を申しまして、

わたくし、休んでおります。

 

おはようございます。

毎年恒例、お盆の大型連休じゃーい!

待ちに待った大型連休。

待ちに待っていた頃がピークの大型連休。

入ってしまえば、無の大型連休。

 

今のところ、何も楽しいことはない。

そして、今後も楽しい思いを一切しないまま、

過ぎていくに違いない。

 

そして、我が家の愉快な仲間達も相変わらずだ。

私もおじさんも居るからって、全く浮かれることなく、

我が道を歩んでいる。

そう、我が家のおじさんとも連休丸被りだ。

チックショー!!

 

そんな今日は、こしょうの命日でもある。

こしょうは、今頃どうしているんだろう?

魂には、意志があるのだろうか?

昨夜、実家から帰る際、星を見上げながら、そんなことを考えていた。

魂には、生前の記憶や意志があるのだろうか?

その魂にまで、私を覚えていて欲しい。

なんて思うのは、欲が深いことだ。

この世で、出会い過ごした記憶を残してくれただけで、

充分それは奇跡だ。

君は「さよなら」を言ったら、本当にさよならなのだろう。

私は生きている限り、まだ「さよなら」ではない。

君が残してくれた奇跡と、私は生きていける。

こしょう、また遊ぼうね。

さよならを言った君達よ、

心の中の君達と、私は生きていく。

 

おい、おたま!

相変わらずだね。

マンション修繕工事のためにベランダから一時避難させた倉庫の上から降りない。

あれは、いつの頃だっただろう?

あれ以来、外用倉庫がずっと室内に在り続けている・・・。

 

あやさんは、

こうです。

景気がいいね。

 

のんちゃんは寝てるの?

そんな微妙なバランスで寝ているの?

 

はっ?!

起きてる・・・。

 

唯一だ。

連休3日目にして、すでに腐りかけている私の相手をしてくれるのは、

君だけだ。

たれ蔵!

たれちゃん?

たれたれ、たれ蔵~?

 

たれ蔵「母ちゃん、母ちゃん、母ちゃ~ん」

たれ~たれ蔵~!

これを5~6回付き合ってくれる、たれ蔵であった。


地獄に咲く花の香り

2023年08月11日 | カズコさんの事

私は昨日、

急いでロト7を購入した。

 

おはようございます。

昨朝もいつものように、実家へ行ってみると、

かずこは、ベッドに『撃たれて死んだ』みたいな恰好で寝ていた。

上半身はTシャツ、下半身はパンツ一丁だ。

かずこの肌は、老齢になっても透き通るように白く滑らかだ。

剥き出された足も、白磁のようだ。

その白い足が酷く汚れている。

まるで『撃たれた勢いで、脱糞したまま死んだ』状態だ。

「これは、事件です!」

私はそう呟いて、呆然と立ち尽くした。

 

「かずこさん、起きなさい!」

何度揺すっても、かずこはなにやらブツブツ言いながら、

しかし起きない。眼も開けない。

風呂に行かせたかったが、それは諦めて、汚れた体を拭いてやり、

汚れたシーツは、堺正章のテーブルクロス引きの要領で一気に引っ張った。

引き抜ききれなかったせいで、かずこがゴロンと転がる。

かずこは転がりながら、

「ひでーこと、しゅるな。」

と小さな声で言いながら、笑っている。

だけど、やはり目は開けない。

「かずこさん、昨日あたしが帰ってからも酒吞んだんでしょう?!」

「のんれない。」

かずこのろれつは全く回っていなかった。

しかし最近は、ラクナ梗塞の影響か、普段から滑舌が悪い。

便を漏らして寝ているのは、二日酔いのせいか病気のせいか判別がつかない。

私は台所へ走って行き、父さんに

「あたしが帰った後、吞ませた?」

昔から父さんは、自分が酔ってくると、かずこにも付き合わせようとする癖がある。

「ん?そんなに吞んどらんけどなぁ。」

そう言いながらも、父さんは伏し目がちだ。

悪戯を叱られた飼い犬みたいな伏し目だ。

こんちくしょうめ!

とはいえ結局、吞み過ぎてか、病気のせいかなんて分からない。

もう、どっちでもいい。

 

私は犯人捜しを諦めて、再びかずこの元へ戻った。

「一応、綺麗に拭いたから、朝ご飯食べるか?」

「いらん。体が動かん。」

かずこの眼は、まだ開かない。

「じゃ、うどん作ったろか?うどんなら食べれるか?」

そう問うと、あれほど死んだように動かなかったかずこは、

すーっと起き上がって、ついに花が咲くように開眼した。

「ふむ。ちょっと食べる。」

「よっしゃー!」

私は、思わずガッツポーズだ。

 

いずれにしたって、なんだろう?

うんこ漏らして死んだように寝ている地獄絵図が、

かずこにかかると、どうしてこうも、おもしれーんだ?!

しかし、そんな中、一つだけ後悔が残った。

あの『撃たれて死んだ図』撮影しておけばよかったなぁ。

 

私は後悔しながら会社へ辿り着いた。

「なんかまだ、臭うなぁ」

どういう訳か、かずこの便の臭いが残っている。

その訳は、すぐに判明した。

「わしのスカートに着いとるやないかーい!」

二次災害が起こっていたのだ。

だから私は、すぐに宝くじ公式アプリを開いてロト7を買ったのだ。

スカートを洗うより先に、買ったのだった。

 

のん太も、綺麗にしてもらっているのかい?

のん太「ここ、やって」

 

のん太「こっちも、やって」

 

のん太「うちろも」

 

のん太「よち、きれいになったら。」

ボッサボサになったように、見えるんだけどぉ~。

 

 

 


真夏のタンポポ

2023年08月09日 | チャー坊のこと

チャー坊が逝って7日が過ぎた翌朝、

実家の前にタンポポが1輪だけ咲いた。

 

おはようございます。

本当に、1輪だけ、1日だけ咲いた。

出会った頃は2月の寒い時期だった。

冷たい風が吹く中、鮮やかな黄色のタンポポを一緒に眺めた。

「チャー坊、タンポポが咲いたね。

君はタンポポがよく似合う。そうだ、タンポポは君の花だ。」

チャー坊に、そう話して以来、タンポポはチャー坊の花になった。

だから私は思わず、真夏のタンポポに、

「チャー坊、おはよう!」

と、7日ぶりにチャー坊に朝の挨拶をした。

 

それからまた7日が過ぎた日、

どういう訳か、我が家の床に、小さなアリが集ったソーセージの欠片が落ちていた。

本当に、どういう訳が分からない。

我が家にはソーセージなんて無いし、マンションの2階だし。

一応アリが上ってきているのか確認してみたが、どこにもアリの道なんて見当たらない。

床に、忽然と数匹のアリとソーセージの欠片があるだけだった。

私はしばらくアリが集ったソーセージを眺めながら、

「チャー坊は、こういうのを食べて生きて来たのだろうな。」

と想像していた。

 

不思議なことは、それだけじゃない。

我が家に、見たこともない古いスポンジが落ちていたり、

実家へ行って玄関で脱いだサンダルの上に、

いつの間にか帰る頃には、輪ゴムが置いてあったり、

1日だけ咲いたタンポポが綿毛になっていた朝、

「この綿毛が飛んで行ったら、チャー坊も成仏しちゃうのかな。」

と淋しく思いながら跨いで実家へ入った1時間後、

実家を出た時には、綿毛の茎ごと無くなっていた。

 

怪異現象ですやん?!

 

でも私は、どれもこれも、笑っちゃった。

偶然でもなんでもいい。

「チャー坊だね、君がやったのね?」

そう思うだけで、笑っちゃうんだからそれでいい。

 

チャー坊が患った病の猛威の勢いは、はすさまじく早く、

対処も処置も全く追いつかなかった。

小さな傷一つ、まともに治してやれない中、

私がべそをかくと、チャー坊は決まってハッとした顔で私を見上げた。

それでも止められない涙が、ぼたぼたとチャー坊の顔に落ちると、

チャー坊は、その涙を浴びるようにジッとして動かなかった。

それがまるで、チャー坊も泣いているみたいに見えて、

私は、慌ててチャー坊の顔を拭きながら、

「チャー坊、人間ってね、どうしようもなく愛しい時、

こうやって涙を流す生き物なのよ。」

と言って、笑って見せた。

 

泣き腫らした顔で笑う私の顔は、さぞやブスだったろう。

怪奇現象に見舞られるより、ゾッとする顔だったろうに、

だけどチャー坊は、私が笑うとホッとしたような表情になった気がした。

君は優しいから。

だから今だに時々泣いてしまう私を、笑顔にしてやろうって魂胆なのだろう?

ねえ、チャー坊?

人間ってね、どうしようもなく愛しいと思った時も、

涙を流す面倒な生き物なんだよ。