maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

続・6月歌舞伎

2006-06-11 11:16:36 | 伝統芸能
15世市村羽左衛門の「最初はみすぼらしくて哀れで、最後に桜の花の咲くような男の芝居がしたい」という依頼に応えて、真山青果が書き下ろした昭和7年初演の作品。
今回は、仁左衛門さま(ファンです)を堪能すべく、1列目センターの席を歌舞伎会GOLD会員(!)の友人のお力でGET.
親分役の芦燕さんへのプロンプがイヤホンガイド級のボリュームで聞こえてきたのには参りましたが、もう目の前で!!仁左さまが!!(すみません、ファンです)と大興奮。
60歳を超えていらっしゃるとは信じられない若々しさ。きれいな指先、足の指まで美しいのにこんなの子煩悩で優しくていいのかしら~と(すっかり役とご本人を混同しておりますね)。台詞も抑揚をつける泣かせどころでもきれいに通り、子守唄は渋いバスで聴かせ・・・(録音して聴きながら眠りにつきたい・・・すみません、くどいようですが、ファンです)。出ずっぱりの約2時間。殺陣もあり、台詞も多く、大変でいらっしゃるとは思いながらもすっかり引き込まれてしまいました。
脇も豪華!しみじみと風格のある大親分政五郎に菊五郎、あわれながらも品格のある長女お新に時蔵、爽やかで嫌味のない江戸っ子人情を見せ、確実に成長していると思わされた染五郎は弟分辰五郎。
斜に構えたニヒルさと序盤ですでに佐吉の人物を見て取る知性を良く出していた成川の段四郎も、大柄で格高い存在感のある(すぐにいなくなってしまいますが;;)使者、土佐藩の部屋頭忠助役の市川團蔵丈も今回の発見
ちょっと納得のいかないのが、仁左衛門さんの密かな憧れの君であり、愛之助(親分が切られる前に立ち向かってすぐに殺されてしまう;;)と恋仲、という設定のお八重が孝太郎、というのが・・・。(もっと美女でないと)あ、いや、上手いです。やたらとプライドが高いお嬢さん、という役どころにあったいい演技です。すみません(以下略)

傘をさしていても、しっとり濡れてしまうような霧雨で、おきもの着用計画は敢え無く断念・・・。
白いワンピースで観劇しました。
来月はこれまた豪華な玉三郎監修、玉三郎演出、そして玉三郎出演!の泉鏡花ワールド。
午前は「夜叉ヶ池」「海人別荘」、午後は「山吹」「天守物語」
うふふ、これは通し(体力持つかしら・・・)で1F2列目センターをGET。楽しみです


6月歌舞伎

2006-06-11 09:53:13 | 伝統芸能


6月9日金曜日、霧雨の中、歌舞伎座午前の部に行ってまいりました

お目当てはなんといっても片岡仁左衛門丈の当たり役「荒川の佐吉」
大工から実力勝負の世界で腕だめしと、やくざの三下で使い走りをしながらも一本筋の通った考えを持つ人情家の男、という役どころ。

大店の妾で盲目の子を産んだ長女から引き取った赤子を、浪人に切られて一家を乗っ取られ落ちぶれた親分が引き取りますが、プライドの高いお嬢育ちの次女は、赤子と引き換えに金子を受け取った父親が許せず家を出ます。
今は子分一人として寄り付かないあばら家を探し当てた佐吉が真心尽くしてとめますが、親分はヒトが頼りにならない今は金が頼りと、いかさま賭博に手を出して発覚し、非業の死を遂げます。
ひょんなことから盲目の赤子を育てることになった佐吉。
大工時代からの弟分、辰五郎とともに、子の将来を心配し、苦労を重ねながらも懸命に愛情を注ぎます。
正妻に直ったものの、その後跡継ぎに恵まれない長女夫婦がヒトを送っては子を取り戻そうとしますが、我が子同然の卯之吉を守るため、刀を抜いた使者を切った佐吉は、捨て身になった人間にできないことはない、と6年目にして親分の敵を討つ決心をし、大親分政五郎の立会いの下、もと浪人、成川を討ちとります。
成川の跡目を継ぐことになった佐吉のもとに再度、今度は直接、哀願する長女お新。
賢く成長して物心のつくようになった卯之吉にとって、やくざものの子として盲目ながらできる仕事を模索するか、大店の庇護の下、一生を安楽に送るか、子にとっての幸せを考えるよう政五郎に諭され、子のために、全てを捨てて旅ガラスになる選択をする佐吉。
最後の見送りの場面では、満開の桜に囲まれた茶屋で、政五郎の手配で次女お八重にも再会し、思いがけず現れた辰五郎と卯之吉にも見送られて江戸を後にする・・・というお話。