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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

「マラーホフの贈り物」Aプロ ④

2008-02-21 04:41:15 | BALLET
ボリショイペアの次に印象に残ったのは、ABTのロシア人ペア。
美形の2人、イリーナ・ドヴォロヴェンコとマクシム・ベロツェルコフスキー。
確か実生活でもパートナーなんですよね。



第一部での「くるみ割り人形」のGPDDは、砂糖菓子のピンクのふわっとした衣装がカワイイ、美しいイリーナ。彼女を大切に心からの愛と忠誠を誓う視線を向け続けるマクシム。
テクニック的にも申し分なく、クラシックダンサーとしての華があり、幸せな気分にしていただけました

第3部の「スプレンディッド・アイソレ-ション」は面白い作品。



直径3mはあろうかというサーキュラースカートの白のイブニングドレスの真ん中に佇むイリーナが女神のよう。彼女の動きにつれてスカートが小さくなっていき、たくし上げたりスカートの造形を利用して様々な美しいフォルムを見せて・・・。マーラーの曲も影響しているかと思いますがちょっと耽美的。

あとは・・・
ポリーナの「アレス・ワルツ」は・・・。

黄色い薄い生地のパンツスーツでコケティッシュに切れよく踊ってくれましたが、作品自体がちょっと単調?彼女の長い手足と表情豊かな小さなお顔は堪能できましたが、もっと彼女の良さがでる演目が他になかったのかしら。少し残念。

テクニシャンペア、ヤーナ・サレンコとズデネク・コンヴァリーナは・・・・。


ヤーナ・サレンコは初見。小柄ながら、バランスが非常に得意でドンキのグラン・フェッテなんて3回転当たり前と涼しい顔、小さな身体をキレイに見せるポジショニングも万全で「エスメラルダ」「ドン・キホーテ」という見せ場の多いクラシックPDDでそのテクニックをしかと東京の観客に印象付けてくれました。
コンヴァリーナは、バレフェスのときに、テクニックは申し分ないのに、スター軍団に囲まれると今ひとつパーソナルな魅力に乏しく思えてしまう気の毒なダンサーという印象を持っていたのですが、今回もそんなところ、でしょうか。ひたむきさは好感が持てます。

最後のカーテンコールで。総勢8名のダンサーが並んだところを眼にして、これだけの充実したプログラムをたった8人のダンサーが(東バの応援はありましたが)見せてくれたのかと感慨深いものがありました。
まだ、本調子ではないのかもしれませんが、マラーホフの復帰を目にすることが出来ただけでも嬉しい公演。
全国ツアーを間に挟んで、20日からは国際フォーラムでBプロが始まります。
また楽しみです




「マラーホフの贈り物」Aプロ ③

2008-02-21 04:10:44 | BALLET
いきなりロシアペアにノックアウトされていますが、他の出演者も素晴らしく・・。

「牧神」

マラーホフの牧神は、昨年見たジュド様の牧神とは全く異なる世界の生き物。
ジュド様の牧神が、2次元の世界を厳格に守った上で、気まぐれで力強く神々しい雄雄しさを感じさせたのに対し、マラーホフのそれは、しなやかで自由で両性具有的な優しさを感じさせる草食動物のような感じ。
相手役はジュド様の時と同様に東バの井脇幸江さん。
振り付けのオリジナルの形式をしっかりと踏襲して品格のある完成されたニンフを演じて、この作品の輪郭をキチッと格のあるものに引き上げるのに大いに貢献されていたと思います。

「白鳥の湖」第2幕



マラーホフがボリショイから引き抜いて大切に育てている「プリンセス」ポリーナ・セミオノワとの師弟共演。マラーホフはノーブルで真摯な王子を、ポリーナは優雅にしとやかな白鳥を、技巧に走ることなくしっとりと見せてくれた一幕。
ポリーナは同年代のフリーデマン・フォーゲルとのときはかなり大きく演技の振り幅をつけていたようでしたが、今回は全てを控え目にして押さえた叙情性を表現。上品ではありましたが、わたくしはもっと劇的に演じる彼女のほうが好みです。
マラ-ホフの王子役は、いつも恋人に誠実で自然なノーブルさが立ち上るキレイな存在ではあるのですが彼の個性が際立つかと言うと、パートナーの影として控えるポジションが快くもあり、物足りなくもあり。。。

今の彼を表現するには
「ラ・ヴィータ・ヌォーヴァ」のようなソロのほうがむいているのかもしれません。


以下はNBSのHPからの引用です。

>(新しい人生)。振付は、ベルリン国立バレエ団のプリンシパル、ロナルド・ザコヴィッチです。
マラーホフに、作品について教えてほしいとお願いすると、「東京に来る直前に創った作品で、今回が世界初演なんだ!」と目をキラキラさせながら語ってくれました。
「日本の皆さんには、いつも何か新しいものをお見せしたいと思っていたんです。この作品には二つの全く違う面があって、そのベースには、天使のようなものが、禍々しい部分から生まれ出る、というアイデアがあるんです」
80年代に活躍したドイツ出身のカウンターテナー、クラウス・ノミの音楽をマラーホフ自身が選び、ザコヴィッチに創作を依頼したというこの作品。彼の新たな一面との出会いも期待できそうです!

怪我から復帰して、新たな気持ちで踊りに取り組む彼の現在と心象的な振り付けが溶け合って、退屈になりがちな現代作品のソロが血肉を持ったものになっていた、と思います。


「マラーホフの贈り物」Aプロ ②

2008-02-21 03:38:43 | BALLET
今回の公演で何と言っても白眉はこのペア!
主役をさしおいてナンですが・・・

マリーヤ・アレクサンドロワとセルゲイ・フィーリン!

このところの充実ぶりはあちこちのバレエブログでも目にしていたのですが・・・。

「カルメン」でのアレクサンドロワ!
いや~。ファム・ファタールとしての誘惑者カルメンを越えた存在感!
舞台中央で高々と片手を上げてポーズを取る様は、ミュージカルやショーの大スターそのもの。
もともと大柄なダンサーではありますが、更に更に大きく、格好良く、光り輝く様はもう、まぶしさいっぱいで目が離せません・・・。
ホセのような小物を誘惑していないで、もっと大きな舞台で踊ってください!とスカウトされそうな大物カルメンです。
対するフィーリンは・・・。
いつもきれいに後に流している王子ヘアをなぜかフォワードにセット。結果ちょっとワイルドな(?)マッシュルームカットのようで、若々しいホセ。
しかし、バレフェスのメルクリエフのときも謎に思っていたのですが、ボリショイのホセの衣装ってどうして長袖パフスリーブで黒のポルカドットの赤いオーバーブラウスなのでしょうかね?
フェリの引退公演のときのロベルト・ボッレのようなマタドール仕様のカッコいいジャケットを脱ぐと白いシャツに黒パンツ・・・というスタイリッシュな衣装にして!とまでは言いませんからせめてもう少しマシなものに変えてはいただけませんでしょうか・・・・
アレクサンドロワはしつこいようですが、本当に素晴らしかったです。
身体を大きく使った切れ味の良い動きもステキですが、最後の指先までおろそかにしない丁寧な動きはさすがクラシックダンサー。変に妖艶さを作りこまないカルメンはそこにいるだけで周りを魅了するスターオーラ全開で彼女ならではの味がありました。

2部の「黒鳥」は・・・・


この写真は相手役がフィーリンではないのですが、マーシャの公式サイトのギャラリーから引いた御写真です。
ダイナミックさが伝わるでしょうか・・・。
かなり難易度を上げた振り付けに変えてきていたと思います。
2人とも・・・。
見せ場のグランフェッテも、ダブルを入れるだけではなく腕を時々アンオー(上に上げた状態)にしたり・・・しかも高速でブレなし。他にもジャンプを繰り返す振りのところでは脚が地面と平行に180度開脚した状態をキープしたり(あの速度でなぜ出来るの?!)
フィーリンのピルエットも素晴らしかったのですが、あとこのPDDでステキなのは2人の視線の絡ませ方。それぞれのソロで片方が舞台袖に引くところでもしっかりと舞台中央にいるパートナーに視線を送りつづけていたり、勝手に一人で踊っている、と感じさせることがない2人を見ていると王子がどんなにオディールに夢中になっているか・・・だけでなくこの2人の舞台全体に何か血の通った暖かいオーラが蔓延してきて・・・。
圧巻でした。

ちなみに、12月のボリショイ公演、「ドン・キホーテ」」「白鳥の湖」「明るい小川」、3演目ともこの2人の日を押さえています
「白鳥の湖」だけは、他のルンキナかザハロワの日にしようかな、と思ったのですが、フィーリンのキャリアのことも考えるとこの2人の円熟期を出来る限り眼に収めたい、ということでそうしたのですが・・。
この日の「黒鳥」を見たことで、この全幕を見られるのだわ!と期待が高まり、ワクワク度最高潮です!やっぱり3演目、マーシャとフィーリンにしておいて良かった!と満足。


「マラーホフの贈り物」Aプロ ①

2008-02-21 03:26:34 | BALLET
見てから10日後のUPというのんびり加減に自分でもあきれますが、明後日Bプロの最後を観に行くまでには・・・というモチベーションを奮い立たせて、記憶をたどろうと思います。

昨年9月に来日予定が、脚の故障で、出演ならず、最終の関西公演では翌年の「贈り物」公演での復帰を誓ってくれたマラーホフ、満を持しての登場。
(このときの代役が・・・素晴らしかったのは記憶に新しいところ。例のバレ・リュスガラです)
また、彼に近しいダンサーを選抜してクラシック・モダンをとりまぜたプログラム構成も毎回楽しみな彼のグループ公演、今回もまた魅せてくれました。


「マラーホフの贈り物」プログラムA

2008年2月11日(月・祝) 東京・五反田・ゆうぽうと

第1部
「牧神の午後」
振付:ワツラフ・ニジンスキー 音楽:クロード・ドビュッシー

牧神:ウラジーミル・マラーホフ
ニンフ:井脇幸江
東京バレエ団

「エスメラルダ」パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ 音楽: リッカルド・ドリゴ

ヤーナ・サレンコ、ズデネク・コンヴァリーナ

「カルメン」
振付:アルベルト・アロンソ 音楽:ジョルジュ・ビゼー/ロディオン・シチェドリン

マリーヤ・アレクサンドロワ
セルゲイ・フィーリン

「くるみ割り人形」グラン・パ・ド・ドゥ
振付:ワシリー・ワイノーネン 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

イリーナ・ドヴォロヴェンコ
マクシム・ベロツェルコフスキー

第2部
「白鳥の湖」第2幕
振付:レフ・イワーノフ  音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

オデット:ポリーナ・セミオノワ
ジークフリート王子:ウラジーミル・マラーホフ
悪魔ロットバルト:木村和夫 ほか東京バレエ団

第3部
「白鳥の湖」より"黒鳥のパ・ド・ドゥ"
振付:マリウス・プティパ  音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー

マリーヤ・アレクサンドロワ
セルゲイ・フィーリン

「アレス・ワルツ」
振付:レナート・ツァネラ  音楽:ヨハン・シュトラウス

ポリーナ・セミオノワ

「スプレンディッド・アイソレーション」
振付:ジェシカ・ラング  音楽:グスタフ・マーラー交響曲第5番第4楽章「アダージョ」

イリーナ・ドヴォロヴェンコ
マクシム・ベロツェルコフスキー

「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ  音楽:レオン・ミンクス

ヤーナ・サレンコ
ズデネク・コンヴァリーナ

「ラ・ヴィータ・ヌォーヴァ」
振付:ロナルド・ザコヴィッチ 音楽:クラウス・ノミ/ロン・ジョンソン 編集:アルシャーク・ガルミヤン

ウラジーミル・マラーホフ

まず驚いたのは、会場について、プログラムを買おうとしたら、SOLD OUTと言われたこと!
だってAプロ最終日とはいえ、これから全国ツアーを1週間してそれからまだBプロも控えているというのになぜ!
きっとマラーホフのコアなファンが復帰を寿いでマトめ買いをしたのか、演目のあまりの面白さに興味をもった方が殺到したのか・・・。
Bプロ鑑賞時には会場で購入できるということと郵送はその後になるというお話で、とりあえず、22日のBプロ鑑賞前にはGETしなくては・・と思ったのですが。
珍しいことです。