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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

スラムドッグ$ミリオネア

2009-04-26 10:14:07 | FILM
昨日、TOHOシネマ六本木ヒルズにて
アカデミー賞8部門制覇で話題の「スラムドッグ$ミリオネア」を観てまいりました。

ここは予約制なのが良いのですが、大雨のこの日、
地下からそのままアクセスできないヒルズの構造に文句を言いながら・・・・
でも満席でした!


最終質問まで正解なら、約4000万円が当るクイズ番組に
幼馴染の少女を見つけるために出演したスラム出身のお茶くみの青年が
あと一問、というところで不正の容疑で連行され
尋問を受ける中、彼の過酷な人生がそれまでの正答の鍵を握っていたことが
つまびらかになっていきます。


インドを舞台に、イギリスで活躍しはじめた新人TVドラマ俳優デヴ・パテル、
インドのモデル出身の若手女優フリーダ・ピントが主役のほか、
脇を固めるのはインド映画界、TVドラマ界の実力者揃い・・だそうですが、
もちろん聞き覚えのある名はなく・・・。
いい意味で全く先入観なく映画の世界に入り込みました。

「トレインスポッティング」から10年以上たち、あの人は今、状態のダニー・ボイル、
「フル・モンティ」などを手がけた実力ある脚本家サイモン・ボーフォイのイギリス人コンビが
「ムトゥ踊るマハラジャ」などインド映画音楽のヒットメーカーA.R.ラフマーンの音楽をバックに
原色で描き出される混沌とした世界。
外交官にして処女作が世界でベストセラーになったヴィカス・スワラップの「ぼくと1ルピーの神様」
が原作だそうですが、この小説も面白そう。読んでみたくなりました。

しょっぱなからスラム街を疾走する子供たち、肥溜めトイレのエピソード(笑)など
疾走とトイレの(?)ダニー・ボイル節は健在。
彼は新しい環境と題材を得てまさに生き返りましたね。


最低カーストの運命を逃れるためイスラム教に改宗する人が多いスラムの住民を
ヒンズー教徒が焼き討ちする・・・
孤児を集めて搾取する組織の存在、
その中で孤児になってもたくましく生き延びる兄弟と
運命的に出会った孤児の少女との絆。


インドならではの厳しい現実、変貌する都会の姿とそこで生き延びるための人々の
暮らしぶり、を背景にして
でも全編を通して描かれるのは主人公の少年ジャマールの少女ラティカに対する
一途な思い。
そして、何気に、そんな一途で純粋な弟を、ときに意地悪をし、
ときに自分の優位性を誇示して見せながら
その実、厳しい社会を渡り歩くために守り抜く兄サリームの存在が複線となっています。


クイズ番組の進行と彼の人生のフラッシュバックの双方でドキドキさせながら
圧倒的な映像とストーリーで魅せるあっという間の120分。

最後はインド映画のお約束、〆の皆でダンス、は やはり欠かせないようです・・・


Arts and Crafts 展

2009-04-26 07:15:00 | ART
しばらくブログの更新を怠っておりました。
展示としては過去のものになってしまいますので備忘録として・・・

「生活と芸術―アーツ&クラフツ展」ウィリアム・モリスから民芸まで



ウィリアム・モリスの意匠デザインってなぜか心惹かれるのです。
「役にたたないもの、美しいと思わないものを家においてはならない」
という箴言を残したモリス。



1883年内装用ファブリック「いちご泥棒」

19世紀後半、工業化が進み、伝統的な手工芸のよさが失われつつある時代に、
手仕事のよさを大切に、自らが考案した自然と伝統を融合したデザインをベースにした
室内装飾品を製造販売するビジネスとして成功させた実業家デザイナー。

八面六臂の仕事ぶりとともに、美しき妻ジェインと親友ロセッティとの三角関係に苦しんだ話も
知られており、



1862年頃のステンド・グラス・パネルの傑作
「聖ゲオルギウス伝」(6枚)の姫の姿などに繰り返し表われる彼女の面影が・・・。



圧巻なのはフィリップ・ウェッブらとの競作、タペストリー
「The Forest」(1887)
緻密な織で動植物の息遣い、質感が伝わってくる大作です。

イギリス編としてはモリスと同時代のデザイナーの工芸品も展示されていましたが、
同様のコンセプトでもデザイン力と構成力でいかにモリス(とウェッブ)が
抜きん出た存在だったかを思い知らされました。

同時代の工芸運動として、ウィーンの分離派、ホフマン、モーザーらの
家具や食器、日本の民芸運動などにスポットを当てたコーナーもありましたが、
時間の都合上、モリスに集中しての鑑賞となりました。



東京都美術館にて。会期終了近くの4月3日の鑑賞。
上野の夕暮れどき、桜並木には提灯がともり始めて
(木の下の青いビニールシートを見なければ)
幻想的な光景も楽しめました