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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

「ヴィシニョ―ワ―華麗なる世界― 」Aプロ

2013-08-18 23:12:16 | BALLET
2013年8月18日(日)15:00~
ゆうぽうとホールにて

《ディアナ・ヴィシニョーワ―華麗なる世界》Aプロを観て参りました。

「オテロ」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アルヴォ・ペルト
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

「コッペリア」
振付:ミハイル・バリシニコフ 音楽:レオ・ドリーブ
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン

「失われた時を求めて」より "モレルとサン・ルー"
振付:ローラン・プティ 音楽:ガブリエル・フォーレ
マルセロ・ゴメス、デヴィッド・ホールバーグ

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

―休 憩―

「ダイアローグ」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フェデリコ・モンポウ(「ショパンの主題による変奏曲」)
ディアナ・ヴィシニョーワ、ティアゴ・ボァディン

ピアノ演奏:アレクセイ・ゴリボル

―休 憩―

「フーケアーズ」
振付:ジョージ・バランシーン 音楽:ジョージ・ガーシュイン
アシュレイ・ボーダー

「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン

「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
エレーヌ・ブシェ、デヴィッド・ホールバーグ

「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス


【プロローグ、フィナーレは、この公演のためにマルセロ・ゴメスが特別に振付けたものです】

※音楽は特別録音によるテープを使用します。(「ダイアローグ」のみピアノ伴奏)


◆上演時間◆

第1部 15:00 - 15:50(休憩 15分)
第2部 16:05 - 16:35(休憩 15分)
第3部 16:50 - 17:40

個別に感想を・・・

■「オテロ」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:アルヴォ・ペルト
エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン

ハンブルグバレエの実力派の2人。
白い薄衣をまとったブシェと腰巻の布のボアディンは古代ギリシア彫刻のよう。
その2人が綾なす男女の心の機微。
終盤でその腰巻の布を外して(勿論肌色パンツ着用)デスデモ―ナのウエストに巻きつけて縛る・・・のがオテロの彼女に対する執着・嫉妬を表していて胸が詰まります。



■「コッペリア」
振付:ミハイル・バリシニコフ 音楽:レオ・ドリーブ
メラニー・ユレル、マチアス・エイマン

エイマンは、全てのパを弾むように、でもとても丁寧に踊る人。
見た目も小柄で弾力を感じさせる少年らしさがあるので、フランツ役にピッタリ。
ジャンプの空中姿勢でもポージングを自在にコントロールできる余裕を感じます。
ユレルは大ベテランなので、エイマンくんとはかなりの年の差カップル?
コッぺリアはちょっと苦しいのでは・・と危惧しましたが、敢えてオペラをはずして観ると、小柄で均整のとれたバレリーナらしい容姿と丁寧で品のある踊りが古典作品にぴったりで、爽やかさを湛えたカップルでした。



■「失われた時を求めて」より "モレルとサン・ルー"
振付:ローラン・プティ 音楽:ガブリエル・フォーレ
マルセロ・ゴメス、デヴィッド・ホールバーグ

とてもVISUAL的に映える2人。並びがまずゴージャス。
黒髪のゴメスと金髪のホールバーグという美青年2人の相克。
2人とも個性ある長身のスターダンサーなので、やたらと華やかなモレルとサン・ル―でした。眼福。



■「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
アシュレイ・ボーダー、ホアキン・デ・ルース

実力派若手の2人。
弾むようなボーダー、デ・ルースの若々しさはこの演目にピッタリ。
デ・ルースはかねてから痛めていた膝の故障が悪化・・・ということで、第3部の「ドン・キホーテ」の演目がボーダーのソロに変更になった・・・ということでしたが、このチャイコパはムリなくキレイに踊っていました。
大丈夫なのかしら?
ボーダーのお衣装が、良くある胸の下で一度絞ってひらひら・・・というのではなく、ウエスト部分を切り替えてパウダーピンクの別布で広く切り替え、上下は薄サーモンピンクのシフォン、というデザインで、身体に沿って安定して踊りやすいのかもしれませんが、見た目はあまり好みではないかも?



―休 憩―

■「ダイアローグ」
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:フェデリコ・モンポウ(「ショパンの主題による変奏曲」)
ディアナ・ヴィシニョーワ、ティアゴ・ボァディン

ピアノ演奏:アレクセイ・ゴリボル

このところ、NBSの公演で、生ピアノの演奏があるときに、キチンとしたピアニストをCASTINGするようにしていただいて、本当に舞台における全てのレベルが上がったと実感。
ダンサーも音楽に敏感な人が多いので、そのパフォーマンスにも直接影響がありますし、観ている側からしても作品世界にぐっと入り込めて集中できる・・と良いことずくめ。

二つの簡素な椅子があるだけのセットで、男女の永遠のすれ違い・求め合い・・・が繰り広げられて、一つのドラマを観ているかのよう。
こういう現代作品にしては30分弱の長尺ではありますが、ダンサーの身体能力と表現力がいかんなく発揮されて観ていて深く引き込まれるドラマチックな作品。黒のランニングにパンツのボァディンと黒髪をセンターパーツのシニヨンにしてダークレッドのVネックの半袖ワンピという簡素な姿のヴィシニョ―ワの大人のラヴストーリー。
ノイマイヤーらしい演目でもあり、これは2011年10月マリインスキー劇場でのヴィシニョ―ワ・プロジェクトのために創作された彼ら2人に対する宛書き。
ロシア最高の賞である「ゴールデン・マスク」賞受賞作品。

この日、ノイマイヤー氏が通路挟んで後ろゾーン一列のセンターで観劇されているのをおみかけしたのですが、
この作品のカーテンコールで舞台に出ていらっしゃいました。
相変わらず素敵なロマンスグレーで、レべランスの瞬間、ダンサーをグッと前面に出させてご自分はスッと後方に引く・・・というスタイルで、大きな拍手を浴びていらっしゃいました。

―休 憩―

■「フーケアーズ」
振付:ジョージ・バランシーン 音楽:ジョージ・ガーシュイン
アシュレイ・ボーダー

急遽決まったソロなのでやや短め?
アメリカ人の彼女にピッタリの大人っぽく洒脱な作品を弾むような内から溢れ出る若さとパワーを感じさせながら・・のチャーミングなパフォーマンス。

■「マンフレッド」
振付:ルドルフ・ヌレエフ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
マチアス・エイマン

バイロンの詩からインスピレーションを得たヌレエフが創作した作品。超人的人物であるマンフレッドが自己忘却を求める・・・というパンフレットの説明でしたが、淡いグレーのロマンチックなブラウス姿のエイマンくんがヌレエフの超絶技巧をキッチリとこなす様を存分に味わえます。
よく、技巧派でジャンプ力のあるダンサーに対して、空中で止まっているようだと評されますが、彼の場合は、空中でも地上におけるのと同様に演技を続けることが出来る・・・という印象を持ちました。
強い弾性を感じさせる動きとエレガントなディテールが個性とパリオペエトワールとしての品格のすり合わせが上手く進行している彼自身の充実を感じた演目でした。

■「ジュエルズ」より "ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
エレーヌ・ブシェ、デヴィッド・ホールバーグ

金髪長身薄口のお顔立ち・・・の2人による「ダイヤモンド」
このメランコリックにして典雅な作品は意外と演じる人を選ぶのですが、このお二人はどうかしら?
うーん、なんとも面白い。
ホールバーグはまぁ、無難にこなしていましたがでも、男性のパートってこんなにせわしなく動いたかしら?と少し思い、そしてブシェの脚!力強くとても長い美脚なのですが、この力強さがスッと伸ばすパで、内なる力がみなぎっているのがわかるという・・・。
Myスタンダードであるアニエス・ルテステュやロパートキナさまの場合同じく長身長い脚・・・でも、そのムーブメントはあくまでさりげなくも優雅でどちらかというと幽玄の世界を思わせるものがありましたが、ブシェの語る脚、そしてホールバーグの意外にも献身的な動きが、作品に似合っていなくはない範疇ではありますが今まで観たものとは別モノ?の感覚を引き起こされてなんとも興味深いものがありました。

■「オネーギン」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ 音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ、マルセロ・ゴメス

大熱演!ですが。。。これって「オネーギン」?
美しいヴィシニョ―ワの悩めるタチアナ。セクシーなゴメスの荒々しい野性的なオネーギン。
素晴らしい愛の葛藤!!なのですが、ゴメスは髪を乱して、タチアナへ激しく求愛し、それを拒みつつも恍惚の表情で答えるタチアナ・・・有名なダイナミックな超絶技巧の連続リフトもどこまでも自在にコントロールできる肢体を持つヴィシニョ―ワにはなんのその。スピーディな展開の中で女性らしくしなる、反る・・・・。
結果、麗しい奥方へ変身を遂げたけれども、モノ固いタチアナの意志の強さと、気どりを捨てて自らの恋心を一心に訴えるニヒルな紳士オネーギンの対立・・・というよりは、過去に愛し愛され尽くした大人の男女の許されぬ再会と情熱の発露・・・という全く違ったドラマのように見え・・・。
役に憑依していたヴィシニョ―ワのカーテンコールでの忘我の表情、彼女を守り抱きかかえるようなゴメス氏の男っぷりにちょっとイケないものを観てしまったかのような・・・いえ、(「オネーギン」だと思わなければ)素晴らしい舞台でした!


■【プロローグ、フィナーレは、この公演のためにマルセロ・ゴメスが特別に振付けたものです】

ゴメス氏の才能発見。
カッコいいプロローグ&フィナーレでした!

プロローグは幕前で、モノトーン&ダークな紫を基調としたお稽古着のダンサーが1人センターでスポットを浴び、そこに上手から、下手から走ってきたダンサーが絡み、センターが交替していく・・・というもの。

スピード感があってスタイリッシュ。

フィナーレは舞台上に一筋の道が光で示され、そこにタンゴに合わせて女性だけ、男性だけ、カップル・・・とフォーメーションを変えてダンサーが登場し、最後は3カップル&ホールバーグ&ゴメスを従えたヴィシ、という並びでのレヴェランスという展開。

ダンサーが皆、技術的に問題なくなおかつ男性ダンサーが華やかで(座長の趣味か^^)、実に面白く、楽しめるGALAでした。
これにイ―ゴリ・コルプ、ルイジ・ボニ―ノが加わるBプロも楽しみです