東京宝塚劇場公演
公演期間:5月10日(金)~6月9日(日)
今回の宙組公演はムラ(宝塚大劇場)には行かず、東京初日がMy初日だったので、この1カ月、
間に歌舞伎座こけら落とし5月公演(玉・仁左!そういえばまだ書いていませんでした^^;)、
マラーホフのFINALガラなど、色々と観なくてはならない舞台を間に挟みつつ、
千秋楽まで6回の観劇を幸せに駆け抜けて参りました。
![](https://img.yaplog.jp/img/18/pc/m/a/r/maria-pon/1/1388.jpg)
この良く言えばドラマチック、悪くとればちょっとコワい?ポスターと、ベルばらやロミジュリといった一本物の話題作に挟まれたオリジナル作品による公演、という条件で、さて、楽しめるかどうか??と危惧したのが
もう、遠い遠い昔のようです。
結果、石田先生の作品に出た凰稀かなめは一歩も2歩も大きく前進する!という予感が実感となった
嬉しい良作でした。(星組2番手の「愛と青春の旅立ち」のフォーリー軍曹再び!)
ミュージカル・プレイ
『モンテ・クリスト伯』
原作:アレクサンドル=デュマ・ペール
脚本・演出:石田 昌也
【解 説】
「岩窟王」のタイトルでも知られる「モンテ・クリスト伯」は、幾度となく映画化、舞台化されたデュマの名作。19世紀初頭のフランス、若き一等航海士エドモン・ダンテスは、美しき婚約者メルセデスとの結婚も決まり幸せの絶頂にあった。だが彼に嫉妬する人物によって身に覚えのない罪を着せられ、孤島の監獄に投獄される。獄内でファリア神父と知り合ったダンテスは脱獄に成功、モンテ・クリスト島の財宝を手に入れ、モンテ・クリスト伯爵となり、彼を絶望のどん底におとしめた人々に復讐を開始する。本作は復讐だけでなく、ダンテスを罠にはめた男の妻となったメルセデスとの「愛の葛藤」も織り込みロマン溢れる舞台となります。
【主な配役】
エドモン・ダンテス(ファラオン号の一等航海士・後のモンテ・クリスト伯) 凰稀 かなめ
メルセデス(エドモンの婚約者) 実咲 凜音
*~*~*
ファリア司祭(イタリアの神父・大学者)&モレル社長(モレル海運社長・メルセデスの父親) 寿 つかさ
マドレーヌ(メルセデスの乳母) 大海 亜呼
ダングラール(モレル海運の会計士) 悠未 ひろ
フェルナン(貴族の御曹司) 朝夏 まなと
ヴィルフォール(検事) 蓮水 ゆうや
エロイーズ(ヴィルフォールの後妻) 純矢 ちとせ
エルミーヌ(ダングラールの妻) 愛花 ちさき
オービーヌ(ダングラールの母親) 鈴奈 沙也
ベルツッチオ(密輸船の乗員・後にダンテスの家令) 緒月 遠麻
ルイジ・ヴァンパ(密輸船のボス) 七海 ひろき
エデ姫(ギリシャの王女) すみれ乃 麗
ムハンマド(密輸船の乗員) 凛城 きら
アルベール(フェルナンとメルセデスの息子) 愛月 ひかる
ボーシャン(新聞記者) 澄輝 さやと
ケント(ハイスクールの演劇部員[アメリカ]) 蒼羽 りく
ジェニファー(ハイスクールの演劇部員[アメリカ]) 伶美 うらら
ミス・メアリー(ハイスクールの演劇部顧問[アメリカ]) 美風 舞良
舞台をツラツラ振り返りますが、ネタばれが盛大に含まれますので、まっさらな状態でDVDなどをご覧になりたい方は、ここまでで失礼させていただきます![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/03.gif)
冒頭、監獄島シャト―・ディフへ引っ立てられていくエドモン・ダンテス。銀橋を歩きながら辺りを不安げに見回す美青年。
暗闇に浮き上がる看守たちと典獄が彼を迎えます。この典獄様が美形の風羽玲亜さんで、思わず2度観。
ディーラーや執事など、常にその場にいて観客の目を楽しませるけれどもなぜか歌や台詞はほとんどない、という彼女が朗々と長台詞を言ってダンテスを迎えるのが新鮮。上手かったです。これからももっと使ってください(祈)
隙を観て逃げ出すダンテス。でもじきに銃をつきつけられてタジタジともどってきて後ろ向きのまま吊るされる・・・。
ダンテスくん入所記念日おめでとう!ギャー!背中に焼き鏝!
ヅカ的に限界なまでに陰欝なシーンから打って変って、色とりどりの旗で飾られた船上をセンターからセリ上がるのは先程痛めつけられていたはずの・・・ダンテスくん!そう、さっきの後ろ姿は実はダミーで、メルセデスの息子役の愛月ひかるちゃんだったのです。体格差がかなりあるはずなのにさほど感じなかったのですが、実は新人公演で凰稀さんの役を演じるために5kg減量されたとか・・・。ジェンヌさすがです。見習いたい・・・。
白いパンツ、紺のジャケット金モールのエドモン・ダンテスと仲間たち。船長さんスマイルで若々しく踊るお姿、甘くて爽やかで 思わず観ていて照れちゃいます(え?)!
一気に華やかな結婚式に。幸せすぎて涙が・・・涙をぬぐうのはぼくの仕事さ。
マルタ島の貝殻で作られたネックレスが結婚指輪代わり。ほらっ僕も(これも照れますね^^;)
仲間たちと船主でありメルセデスの父親でもあるモレル社長に祝福される幸せな2人。
でも、不穏な顔つきで不満を隠さない2人の男が・・・舞台両端に。
先に出世されてプライドを傷つけられた会計士ダングラ―ルとメルセデスに横恋慕していた貴族のドラ息子フェルナン。幸せいっぱいのエドモンに嫉妬のあまり、罠にはめてやる・・・ソングで対立の構図が明らかに。
その宣言通り、突如として現れた官憲に捉えられるダンテス。何かの間違いだ、すぐに戻る。あなたの帰りをいつまでも待つわ。
その場面を素人役者が繰り返します。
現代のハイスクールの演劇部の学生たち。あまり乗り気ではありません。つまらない、と思っているみたい。
そこに登場した顧問のミス・メアリ―の巧みな解説で一気に物語世界に引き込まれる学生たち・・・。
正直、この企画を耳にして、配役を観た時にはがっかりしたものです。
若手の中で特にお気に入りの蒼羽りく・伶美うららのお二人がこのハイスクールチームの中心ってxxx
宙組の中でもっともコスチュームの似合う2人が、せっかくの19世紀フランス小説の話だと言うのに、現代のアメリカン・カジュアルって・・・勿体ないにも程がある!と怒りすら感じていたのですが・・・。
実際には物語前段のフェルナンとダングラ―ルが結託するいきさつ、船長の毒殺、ナポレオンからの手紙・・・までを演劇部員たちが入れ替り立ち替り脇役として主筋に絡んでテンポよく進め、ナポレオンからの手紙の宛先が実の父親であると知った王党派のヴィルフォール検事が突然ダンテスを逮捕~ダンテスが逃れる場面では、嘘の方向を教えてダンテスに協力するなど、高度な次元のMIXに演出の冴えが・・・![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/27.gif)
マルセイユのやり手マダム、カルコントの酒場ではナポレオン派の父親に手を焼くヴィルフォール夫妻の姿が。
夫が父親を追い掛けて行った隙に現れたのはダングラ―ル。エロイ―ズとは知らない仲じゃない。
元夫を財産目当てに毒殺した過去で脅すも、日傘の柄でくいっと彼の首を捉え、会計士としての不正追求をチラつかせてダングラ―ルを手玉にとるのはエロイ―ズ。彼女が上手。大人のカップルで、観ごたえのある場面。
純矢ちとせさんは素顔は本当にほんわかとかわいいのに、こういう悪女が上手いですよね。
台詞回しの巧みさにはいつも感心させられます^^
この酒場はヴィルフォールとフェルナンの行きつけでもあり、2人がまったりしているところに逃げてきたのはダンテス。りくちゃんの機転で逃げおおせ、友達にかくまってもらえると思ったのに・・・。
チリチリン![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/22.gif)
フェルナンの鳴らすテーブルベルで背後の幕が落とされてずらりと並ぶ官憲たち。
友達だと思っていたのに・・・・ヴィルフォール検事もお揃いで。どうぞダンテスくんシャト―・ディフへと言いたげな大げさな身振りでお通しする・・・人を疑うことを知らない純真な好青年ダンテスがわかりやすく3悪人のせいで監獄へ・・・の図。
(原作ではファリア司祭がなぞ解きをしてくれるまでダンテスは嵌められたことに気付かないのですが^^;)
3人の罠にはめてやるソングが楽しすぎ!
フ「俺はダンテス許さない!」ダ「俺も(え?も?って・・・^^;)ダンテス許さない!」ヴ「あいつは邪魔な男だ~」
時は流れ・・・。一方、監獄暮らしも長くなったダンテスくんはレゲエな長髪、髭ボーボー。ボロボロの衣服、裸足というお姿で銀橋を渡られます。TOPスターさんとしてはここまで汚すのは珍しいのでは・・・@@
メルセデスのことは何一つ忘れちゃいない・・・・
そのメルセデスはダンテスが自殺したとフェルナンに聞かされ失意のうちに彼の求婚を受け入れます。
その様子を袖で見守る高校生、うららちゃんが「人の弱みに付け込むなんて・・絶対に許せないわ!!」と憤然として言い放ち、横でりくちゃんがちょっと引いてますけど・・・^^;。この高校生たちも、最初はただ大騒ぎしている邪魔な子たち(ヒドイ)、と思っていましたがだんだんとキャラが立ってきて、(りくちゃんが最後の方ではどうかと思うほどチャラい男になっていた・・・^^)もともと魅力ある若手たちゆえ、どんどん出番が楽しみになってきます![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/05.gif)
ダンテス孤独な独房で狂いそうになっているところにひょっこり床から現れたのはファリア司祭。
穏やかなる良き指導者を得て、学問を学び脱獄への穴掘り作業に集中・・・。
しかし神父の説く神の愛には心閉ざすダンテス。
ここでの神父との問答が良い。
ハムラビ法典を引いて目には目をとは過剰報復を諌める言だと解説する司祭に「利子もつけずに!」
ここ、初日近くでは叫んでいましたが、じきに押し殺したような言い回しに変わり、最後の方では狂ったような笑い声の中で吐き出すように言う・・などと、凰稀ダンテスの見せ場の一つでした。
言葉でわからせることをあきらめ、復讐を通じて本当に大切なものに気付いてくれることを祈る司祭。
時は流れ・・・を牢獄上のスペースで展開。
フェルナンの女癖の悪さに苦労するメルセデス。アルベール(子役を娘役の花咲あいりちゃんが。声がカワイイ)の成長。犯罪スレスレの奴隷貿易、わいろなどで出世街道を駆けのぼる3悪人と彼らの背景に着目する新聞記者ボーシャン(澄輝さやと)ら、多くの情報が流されるが、全て紗幕の向こう側なので、表情などがわからないのが勿体ないところ。皆様好演されていました^^
更に月日は流れ、掘った穴がもうすぐ完通という矢先に病に倒れる司祭様。
亡骸入りのズダ袋を人夫たちが海に放り投げ水葬にするのは原作通り。
暗い監獄から明るい甲板に!
密輸船の船長はルイジ・ヴァンパ!七海氏が眼帯長髪細髭で楽しげにパイレーツ・オブ・カリビアンのジョニー・デップVISUALを演じています。アラビア装束の子分たちはなぜか言葉に訛りが・・・。凛きら・モンチ・マップ―らの芝居功者の中堅どころがここに配されていて、後でモンテ・クリスト伯の復讐の手先として活躍するときにそれと観客に気付かせる伏線が敷かれています。
貴重なレモンをがめていたベルツッチオが船底引き回しの刑を宣告されるとき、シャト―・ディフから流れてきた漂流者の報告が。命拾いしたな、と最後幕前でヴァンパがベルツッチオに「忘れもんだ」とレモンを投げて、「忘・・レモン?」というコミカルなやりとりがあるのですが、千秋楽ではヴァンパの眼帯をとらせて投げ返す、というアドリブが^^
ファリア司祭からの遺言でモンテ・クリスト島の洞窟のスパダ家の財宝を手に入れたダンテスは、海賊一味をすっかり配下に置き、ベルツッチオは一の子分に。ここでサラサラヘアーのモンテ・クリスト伯として生まれ変わり、復讐を3悪人プラス誓いを破ってフェルナン夫人に収まったメルセデスを含めた4人(名を上げるたびに舞台上手と下手に効果音とともにその立ち姿にスポットが当たる演出が銀英伝の制作発表のパフォーマンスを思い起こさせるカッコよさ!)で、テンションをあげたところで「私から憎しみを奪うな」の歌とともに銀橋を渡るモンテ・クリスト伯の気迫が素晴らしい。
センターで一度止まって「神に飼いならされた人間などクソくらえだ!」と咆哮。その時に長い前髪が顔にかかるのですが、セリフから歌に戻る瞬間の音と同時に顔を振り上げ、前髪が翻って意志的な顔を見せるところが・・・キャーと言いたいカッコよさ!(ここ目の前でこれをヤラれると・・・息がとまります
)
ここから着々と綿密な復讐劇が始まるわけですが・・・。
ハイトーンVOICEで黒装束オカッパのブゾーニ神父、重々しい衣装と語り口、サラサラセミロングヘア―に髭のモンテ・クリスト伯、クシャっとしたしゃべり方のおじいさん英国紳士のウィルモア卿。
ダンテスは自在にキャラクターを使い分けて、3悪人へ取り入ります。
ダングラ―ルには投資話をもちかけて儲けさせ、フェルナンには息子アルベールを海賊ヴァンパの誘拐から救い出して恩を売ったうえで舞踏会では恋人役のエデ姫に相手をさせてもてなす。
その舞踏会で、メルセデスと再会。踊りながらの駆け引き。モンテ・クリスト伯の仮面をつけて皮肉を言うつもりがつい恨みがましくなるダンテス。気付かぬふりのメルセデスも傷つきます。。。
![](https://img.yaplog.jp/img/18/pc/m/a/r/maria-pon/1/1390.jpg)
充分な伏線の上で遂行される復讐。
ダングラ―ルは、買収された信号手の偽情報で銀行が倒産。債権者から救うために離縁した愛妻は、最後豹変。
ヴァンパの隠れ家である洞窟で海賊たちの饗宴を見ながら飢え死にさせられそうになり、自殺のために買った銃には弾がない、など散々にいたぶられます。モンテ・クリスト実はダンテスが現れて、言い訳をするダングラ―ル。
俺は~しただけだ、と言い逃れようとするのに「だけだだけだだけだ!」と一喝。「おまえは飢え死にする・・・だ・け・だ」の言葉に狂い出すダングラ―ル。
しまった!苦しめるつもりが楽にさせてしまった!
ヴィルフォール邸では妻が父を毒殺したという密告書に動揺する検事総長。
あなた、と妻が運んだワインを水槽にたらすと2匹の金魚が腹を出して浮かぶ・・・。そうよ、財産目当てよ!悪い?!とのエロイ―ズの逆切れに檄高して射殺。その瞬間を物陰で待ちかまえていた新聞記者ボーシャンらが激写。
モンテ・クリスト=ダンテスにこれを公開されてシャト―・ディフ行きだなと言われて即ピストル自殺。
その一部始終を目撃してしまったのは心優しい先妻の娘、慈善事業に熱心に取り組み、結婚を控えたヴァランティ―ヌ。
罪のない彼女を天国から地獄に突き落としてしまった!
なんだか、3悪人とはいっても、この2人は哀れなんですよね・・・。
子が出来ないと姑に苛められる妻をかばって優しかったダングラ―ル、気のいいナポレオン党員の父、優しい娘をみると小心者故の自己保身が過ぎたとはいえ、悪い人間ではなかったのでは・・・と思わせるヴィルフォール。
すっきりしないまま、でも復讐は続きます。
レストランで人待ち顔のフェルナン。いきなり高校生演劇部員による寸劇が。王女を捉えて奴隷としてハーレムに売り飛ばす悪人がこらしめられるお話で過去の悪行をチクリ。
ウィルモア卿とエデ姫登場。フェルナンの手首の傷は幼いエデが必死に噛みついた痕。
間違いありません、この男です!衆人環視の前で何が出来る?余裕のフェルナン。
チリチリン![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/22.gif)
カルコントの酒場でダンテスがやられたことをここで。
一斉に立ち上がって退出する客たち。
エデが銃を向け、フェルナンは腰を抜かしますが・・・エデは撃ちません。
逃げるフェルナン。なぜです、姫?恋人役を演じるうちに本当にあなたを・・愛の告白。
愛を知った今は復讐に意味を見いだせないという彼女。同志だと思っていた姫の思いがけない言葉に揺れるダンテス。
モンテ・クリスト邸を訪れるのはメルセデス。
ヴァンパの誘拐が仕組まれたものと知ったアルベールが名誉棄損で伯爵に申し入れた決闘。
その中止を懇願する母親を足蹴にするダンテス。
「膝まづくのは神の前だけでいい・・・わたしは神ではない!」
銃の名手の伯爵に我が子アルベールの勝ち目は皆無。
必死の命乞いから思いつめ、室内装飾の甲冑から取り上げた剣をまっすぐにダンテスに向けるメルセデス。
あなたを殺せばあの子は助かる。あなたに刺殺されてもそれはそれで構わない、あの子の死を見ずに済みますもの!
追いつめられて逃げるも、防衛のために剣を手にするダンテス。ここの2人の緊迫感。ある種風変りなラブ・シーンですね。心から求め合う2人の屈折した愛の形が。。。
逃げるの?!背を向けたダンテスにメルセデスの絶叫。
家令ベルツッチオが駆けつけて、事態を察知。いざと言う時には出られる構えで見守ります。
剣を落として両手をひろげ、その胸を、メルセデスの剣の切っ先にまっすぐ向けるダンテス。
君こそわたしを刺せばよい!じりじりと後退するメルセデス。
ここのダンテスの男ぶりの良さと言ったら!なんだか凰稀さんの細身の姿が大きく見えました。
できない!だってわたしはまだ・・・あなたを愛しているから。。。
剣を取り落とすメルセデス。
君は立派な母親だ。あの日の少女が・・・20年の時を経て、今は命をかけて我が子を守ろうとしている。
明日の1発目ははずして撃とう。メルセデスという素晴らしい母親のために・・・。
ここ落涙ポイントです![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/02.gif)
いつも、ファリア司祭が遣わした天使よろしく理を説くベルツッチオが、メルセデスさんを悲しませるだけだと説くが、ダンテスは自分の命で清算する気でいるのです。
![](https://img.yaplog.jp/img/18/pc/m/a/r/maria-pon/1/1391.jpg)
そして当日。
楽に向けて、この決闘場面の意味がどんどんと重みを増してきました。
フェルナンの悪行を含め、全てを知ったアルベールがどんな思いでこの決闘に臨んだのか。
立会人の友人、ヴァランティ―ヌの婚約者だったフランツ(美月悠が明るく張り切った青年を好演)と新聞記者ボーシャンが打ちひしがれています。
あっきー(澄輝さやと)はやはりスタイルが良いですね。そして、フェルナン将軍の異例の出世の陰にある事件を嗅ぎつけて早い段階で取材を始めて、ヴィルフォール事件にも立ち会った、ゆかりの深い彼が今吐き出すようにつぶやく一こと、「剣ではなくペンで戦う人生を選んだのに・・・」が色々と深いです。
ところで、ここでは若いアルベールの友達設定な彼ですが、ダンテスの刑期中すでに始めていた取材活動などを鑑みてちょっと年齢不詳なのが気になりますが・・・^^;
一方アリとハッサンを立会人としたダンテスも登場。ここではもう、彼は、虚飾を取り去り、モンテ・クリスト伯ではなく、エドモン・ダンテスのスタイルなのですね。
黒髪をオールバックに撫でつけて、浅黒い顔で白いシャツとパンツ、黒いベストとブーツの無駄のない洗練された身体のラインの美しさと黒豹のようなエレガントで無駄のない動きが大人の男でタメ息が出るほどステキ。
大体、後ろ姿、上半身をあれだけタイトに作って白いパンツでヒップラインを見せて男性として全く問題がないってやっぱり男役ってスゴイ!と思いますね・・・。
そして左右対称に歩き出すアルベールは同じ身長ながら、ややカールした柔らかい茶髪が真っ白な額にかかり、青赤白を基調とした士官学校生の制服姿が初々しく、センターから射撃位置まで歩を進める足取りも、ダンテスとは対照的に緊張気味で、実に良い構図。
で、互いに撃ち合うも・・・ともに自らの銃を空砲にし、自らの死をもってこの愛憎劇を清算しようという2人の覚悟。
そして瞬間響くメルセデスの声「アルベールはあなたの子よ!」
ラストにかけての展開は原作と全く異なりますが、このメロドラマも宝塚的にはアリですね。
そして、舞台奥から銃声が。ハリのあるタフタのマントを身に付けたメルセデスが倒れ伏します。
フェルナンの仕業ですが、すかさずボーシャンが、アルベールの介添え人の役目として所持していた銃を向け、すぐに現れた憲兵隊の一斉射撃で息の根を止められ連れ去られます。
助け起こされ邪魔なマントもはずしたメルセデスはどこも押さえたりしていない様子をみると無傷のようですが・・・。
ここ、かすっただけで大丈夫、的な演技なら納得なのですが、実咲さんがあまりに盛大に倒れるので、結構誤解を招いているようで・・・。
ロミジュリよろしく、死んでしまい、その後の幸せな展開は全て天国の夢・・・だと思っていた、という初見の友人の感想がありましたが(笑)それは極端としても他に表現がありそうなのにxxx
これと定めた演技の方向を深めることはできても、微調整することが出来ない不器用な人なのかな?と思ったり。
前日の夜、母からすべてを聞かされ、自らの死を持って義理?の父フェルナンの罪を購おうとしていた実の息子を前に、ダンテスが言うのが
「君は一夜の火遊びで生まれた子・・・じゃないぞ、愛の結晶だ!・・・少し大きな結晶だがな」抱擁する父と子。
xxx石田センセイ
・・・![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/135.gif)
初日辺りでは火遊び・・・でベルツッチオが「おいっ!!」と突っ込み、その突っ込みは客席全体の総意のように感じられたものですが、凰稀ダンテス、前段をやや早口で言ってみたり、後半の台詞の抑揚の付け方で前段の違和感を打ち消すテクニックを用いたり・・・で楽近くには、客席からドヨメキや笑い声が出ることもなく、スムースに大団円に、という感動シーンに。
エデ姫が爽やかに身を引きます。
銀橋で寄り添う2人。下手からいそいそと船長さんのジャケットと帽子を持って走ってくるのはベルツッチオ。ジャケットを着せかけ、帽子を渡し、喜びの走りで本舞台に戻る彼を観ると幸せすぎて涙が・・・?!
ファラオン号2世を作り、そのクル―としてヴァンパや子分たち全てを雇い入れ、莫大な財産は処分してヴァランティ―ヌの慈善事業や修道院に寄付。また、身の丈にあった1人の船乗りとしての幸せだった人生を取り戻す、というダンテスの決断。
「今の僕には仲間が財産だ!」
ってどこの少年マンガ?でも意外と真実かも・・・。
ファリア司祭(の亡霊?)も銀橋下手からセリ上がり、本舞台の上にはアルベール、ボーシャンらとすっかり船員スタイルのヴァンパ一味たち仲間が勢ぞろい。銀橋上手ではハイスクール演劇部の一団が大喜び。
笑顔で寄り添うダンテスが20年前そのままの青年で、メルセデスが20年後の母親仕様なのが今のTOPコンビの持ち味そのもので微妙な心持ではありますが(^^;)なんとも爽やかで納得のHappyEnd.
過去の憎しみを清算するのは復讐ではなく、前を向いて生きること。
幸せは財産の量ではなく、大事な仲間と自分の情熱を傾けられる仕事を持って人生を生きること。
奇しくも現代社会の抱える闇を照らすソリューションのような芝居を、常にUPDATEされた適切な引用ばかりとは限りませんでしたが(戸塚ヨットスクールってxxx^^;)わかりやすく娯楽作品としての枠を守りながらキッチリと輪郭とテーマを浮かび上がらせる石田先生の演出の妙とこんなに芝居の組だったっけ?と嬉しい発見をくれた宙組生の熱演で、原作とは色々改編されていながらも、そのぐいぐいと人を引っ張る物語の力が再現された良い舞台だった・・・と思います![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/238.gif)
公演期間:5月10日(金)~6月9日(日)
今回の宙組公演はムラ(宝塚大劇場)には行かず、東京初日がMy初日だったので、この1カ月、
間に歌舞伎座こけら落とし5月公演(玉・仁左!そういえばまだ書いていませんでした^^;)、
マラーホフのFINALガラなど、色々と観なくてはならない舞台を間に挟みつつ、
千秋楽まで6回の観劇を幸せに駆け抜けて参りました。
![](https://img.yaplog.jp/img/18/pc/m/a/r/maria-pon/1/1388.jpg)
この良く言えばドラマチック、悪くとればちょっとコワい?ポスターと、ベルばらやロミジュリといった一本物の話題作に挟まれたオリジナル作品による公演、という条件で、さて、楽しめるかどうか??と危惧したのが
もう、遠い遠い昔のようです。
結果、石田先生の作品に出た凰稀かなめは一歩も2歩も大きく前進する!という予感が実感となった
嬉しい良作でした。(星組2番手の「愛と青春の旅立ち」のフォーリー軍曹再び!)
ミュージカル・プレイ
『モンテ・クリスト伯』
原作:アレクサンドル=デュマ・ペール
脚本・演出:石田 昌也
【解 説】
「岩窟王」のタイトルでも知られる「モンテ・クリスト伯」は、幾度となく映画化、舞台化されたデュマの名作。19世紀初頭のフランス、若き一等航海士エドモン・ダンテスは、美しき婚約者メルセデスとの結婚も決まり幸せの絶頂にあった。だが彼に嫉妬する人物によって身に覚えのない罪を着せられ、孤島の監獄に投獄される。獄内でファリア神父と知り合ったダンテスは脱獄に成功、モンテ・クリスト島の財宝を手に入れ、モンテ・クリスト伯爵となり、彼を絶望のどん底におとしめた人々に復讐を開始する。本作は復讐だけでなく、ダンテスを罠にはめた男の妻となったメルセデスとの「愛の葛藤」も織り込みロマン溢れる舞台となります。
【主な配役】
エドモン・ダンテス(ファラオン号の一等航海士・後のモンテ・クリスト伯) 凰稀 かなめ
メルセデス(エドモンの婚約者) 実咲 凜音
*~*~*
ファリア司祭(イタリアの神父・大学者)&モレル社長(モレル海運社長・メルセデスの父親) 寿 つかさ
マドレーヌ(メルセデスの乳母) 大海 亜呼
ダングラール(モレル海運の会計士) 悠未 ひろ
フェルナン(貴族の御曹司) 朝夏 まなと
ヴィルフォール(検事) 蓮水 ゆうや
エロイーズ(ヴィルフォールの後妻) 純矢 ちとせ
エルミーヌ(ダングラールの妻) 愛花 ちさき
オービーヌ(ダングラールの母親) 鈴奈 沙也
ベルツッチオ(密輸船の乗員・後にダンテスの家令) 緒月 遠麻
ルイジ・ヴァンパ(密輸船のボス) 七海 ひろき
エデ姫(ギリシャの王女) すみれ乃 麗
ムハンマド(密輸船の乗員) 凛城 きら
アルベール(フェルナンとメルセデスの息子) 愛月 ひかる
ボーシャン(新聞記者) 澄輝 さやと
ケント(ハイスクールの演劇部員[アメリカ]) 蒼羽 りく
ジェニファー(ハイスクールの演劇部員[アメリカ]) 伶美 うらら
ミス・メアリー(ハイスクールの演劇部顧問[アメリカ]) 美風 舞良
舞台をツラツラ振り返りますが、ネタばれが盛大に含まれますので、まっさらな状態でDVDなどをご覧になりたい方は、ここまでで失礼させていただきます
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/03.gif)
冒頭、監獄島シャト―・ディフへ引っ立てられていくエドモン・ダンテス。銀橋を歩きながら辺りを不安げに見回す美青年。
暗闇に浮き上がる看守たちと典獄が彼を迎えます。この典獄様が美形の風羽玲亜さんで、思わず2度観。
ディーラーや執事など、常にその場にいて観客の目を楽しませるけれどもなぜか歌や台詞はほとんどない、という彼女が朗々と長台詞を言ってダンテスを迎えるのが新鮮。上手かったです。これからももっと使ってください(祈)
隙を観て逃げ出すダンテス。でもじきに銃をつきつけられてタジタジともどってきて後ろ向きのまま吊るされる・・・。
ダンテスくん入所記念日おめでとう!ギャー!背中に焼き鏝!
ヅカ的に限界なまでに陰欝なシーンから打って変って、色とりどりの旗で飾られた船上をセンターからセリ上がるのは先程痛めつけられていたはずの・・・ダンテスくん!そう、さっきの後ろ姿は実はダミーで、メルセデスの息子役の愛月ひかるちゃんだったのです。体格差がかなりあるはずなのにさほど感じなかったのですが、実は新人公演で凰稀さんの役を演じるために5kg減量されたとか・・・。ジェンヌさすがです。見習いたい・・・。
白いパンツ、紺のジャケット金モールのエドモン・ダンテスと仲間たち。船長さんスマイルで若々しく踊るお姿、甘くて爽やかで 思わず観ていて照れちゃいます(え?)!
一気に華やかな結婚式に。幸せすぎて涙が・・・涙をぬぐうのはぼくの仕事さ。
マルタ島の貝殻で作られたネックレスが結婚指輪代わり。ほらっ僕も(これも照れますね^^;)
仲間たちと船主でありメルセデスの父親でもあるモレル社長に祝福される幸せな2人。
でも、不穏な顔つきで不満を隠さない2人の男が・・・舞台両端に。
先に出世されてプライドを傷つけられた会計士ダングラ―ルとメルセデスに横恋慕していた貴族のドラ息子フェルナン。幸せいっぱいのエドモンに嫉妬のあまり、罠にはめてやる・・・ソングで対立の構図が明らかに。
その宣言通り、突如として現れた官憲に捉えられるダンテス。何かの間違いだ、すぐに戻る。あなたの帰りをいつまでも待つわ。
その場面を素人役者が繰り返します。
現代のハイスクールの演劇部の学生たち。あまり乗り気ではありません。つまらない、と思っているみたい。
そこに登場した顧問のミス・メアリ―の巧みな解説で一気に物語世界に引き込まれる学生たち・・・。
正直、この企画を耳にして、配役を観た時にはがっかりしたものです。
若手の中で特にお気に入りの蒼羽りく・伶美うららのお二人がこのハイスクールチームの中心ってxxx
宙組の中でもっともコスチュームの似合う2人が、せっかくの19世紀フランス小説の話だと言うのに、現代のアメリカン・カジュアルって・・・勿体ないにも程がある!と怒りすら感じていたのですが・・・。
実際には物語前段のフェルナンとダングラ―ルが結託するいきさつ、船長の毒殺、ナポレオンからの手紙・・・までを演劇部員たちが入れ替り立ち替り脇役として主筋に絡んでテンポよく進め、ナポレオンからの手紙の宛先が実の父親であると知った王党派のヴィルフォール検事が突然ダンテスを逮捕~ダンテスが逃れる場面では、嘘の方向を教えてダンテスに協力するなど、高度な次元のMIXに演出の冴えが・・・
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マルセイユのやり手マダム、カルコントの酒場ではナポレオン派の父親に手を焼くヴィルフォール夫妻の姿が。
夫が父親を追い掛けて行った隙に現れたのはダングラ―ル。エロイ―ズとは知らない仲じゃない。
元夫を財産目当てに毒殺した過去で脅すも、日傘の柄でくいっと彼の首を捉え、会計士としての不正追求をチラつかせてダングラ―ルを手玉にとるのはエロイ―ズ。彼女が上手。大人のカップルで、観ごたえのある場面。
純矢ちとせさんは素顔は本当にほんわかとかわいいのに、こういう悪女が上手いですよね。
台詞回しの巧みさにはいつも感心させられます^^
この酒場はヴィルフォールとフェルナンの行きつけでもあり、2人がまったりしているところに逃げてきたのはダンテス。りくちゃんの機転で逃げおおせ、友達にかくまってもらえると思ったのに・・・。
チリチリン
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フェルナンの鳴らすテーブルベルで背後の幕が落とされてずらりと並ぶ官憲たち。
友達だと思っていたのに・・・・ヴィルフォール検事もお揃いで。どうぞダンテスくんシャト―・ディフへと言いたげな大げさな身振りでお通しする・・・人を疑うことを知らない純真な好青年ダンテスがわかりやすく3悪人のせいで監獄へ・・・の図。
(原作ではファリア司祭がなぞ解きをしてくれるまでダンテスは嵌められたことに気付かないのですが^^;)
3人の罠にはめてやるソングが楽しすぎ!
フ「俺はダンテス許さない!」ダ「俺も(え?も?って・・・^^;)ダンテス許さない!」ヴ「あいつは邪魔な男だ~」
時は流れ・・・。一方、監獄暮らしも長くなったダンテスくんはレゲエな長髪、髭ボーボー。ボロボロの衣服、裸足というお姿で銀橋を渡られます。TOPスターさんとしてはここまで汚すのは珍しいのでは・・・@@
メルセデスのことは何一つ忘れちゃいない・・・・
そのメルセデスはダンテスが自殺したとフェルナンに聞かされ失意のうちに彼の求婚を受け入れます。
その様子を袖で見守る高校生、うららちゃんが「人の弱みに付け込むなんて・・絶対に許せないわ!!」と憤然として言い放ち、横でりくちゃんがちょっと引いてますけど・・・^^;。この高校生たちも、最初はただ大騒ぎしている邪魔な子たち(ヒドイ)、と思っていましたがだんだんとキャラが立ってきて、(りくちゃんが最後の方ではどうかと思うほどチャラい男になっていた・・・^^)もともと魅力ある若手たちゆえ、どんどん出番が楽しみになってきます
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ダンテス孤独な独房で狂いそうになっているところにひょっこり床から現れたのはファリア司祭。
穏やかなる良き指導者を得て、学問を学び脱獄への穴掘り作業に集中・・・。
しかし神父の説く神の愛には心閉ざすダンテス。
ここでの神父との問答が良い。
ハムラビ法典を引いて目には目をとは過剰報復を諌める言だと解説する司祭に「利子もつけずに!」
ここ、初日近くでは叫んでいましたが、じきに押し殺したような言い回しに変わり、最後の方では狂ったような笑い声の中で吐き出すように言う・・などと、凰稀ダンテスの見せ場の一つでした。
言葉でわからせることをあきらめ、復讐を通じて本当に大切なものに気付いてくれることを祈る司祭。
時は流れ・・・を牢獄上のスペースで展開。
フェルナンの女癖の悪さに苦労するメルセデス。アルベール(子役を娘役の花咲あいりちゃんが。声がカワイイ)の成長。犯罪スレスレの奴隷貿易、わいろなどで出世街道を駆けのぼる3悪人と彼らの背景に着目する新聞記者ボーシャン(澄輝さやと)ら、多くの情報が流されるが、全て紗幕の向こう側なので、表情などがわからないのが勿体ないところ。皆様好演されていました^^
更に月日は流れ、掘った穴がもうすぐ完通という矢先に病に倒れる司祭様。
亡骸入りのズダ袋を人夫たちが海に放り投げ水葬にするのは原作通り。
暗い監獄から明るい甲板に!
密輸船の船長はルイジ・ヴァンパ!七海氏が眼帯長髪細髭で楽しげにパイレーツ・オブ・カリビアンのジョニー・デップVISUALを演じています。アラビア装束の子分たちはなぜか言葉に訛りが・・・。凛きら・モンチ・マップ―らの芝居功者の中堅どころがここに配されていて、後でモンテ・クリスト伯の復讐の手先として活躍するときにそれと観客に気付かせる伏線が敷かれています。
貴重なレモンをがめていたベルツッチオが船底引き回しの刑を宣告されるとき、シャト―・ディフから流れてきた漂流者の報告が。命拾いしたな、と最後幕前でヴァンパがベルツッチオに「忘れもんだ」とレモンを投げて、「忘・・レモン?」というコミカルなやりとりがあるのですが、千秋楽ではヴァンパの眼帯をとらせて投げ返す、というアドリブが^^
ファリア司祭からの遺言でモンテ・クリスト島の洞窟のスパダ家の財宝を手に入れたダンテスは、海賊一味をすっかり配下に置き、ベルツッチオは一の子分に。ここでサラサラヘアーのモンテ・クリスト伯として生まれ変わり、復讐を3悪人プラス誓いを破ってフェルナン夫人に収まったメルセデスを含めた4人(名を上げるたびに舞台上手と下手に効果音とともにその立ち姿にスポットが当たる演出が銀英伝の制作発表のパフォーマンスを思い起こさせるカッコよさ!)で、テンションをあげたところで「私から憎しみを奪うな」の歌とともに銀橋を渡るモンテ・クリスト伯の気迫が素晴らしい。
センターで一度止まって「神に飼いならされた人間などクソくらえだ!」と咆哮。その時に長い前髪が顔にかかるのですが、セリフから歌に戻る瞬間の音と同時に顔を振り上げ、前髪が翻って意志的な顔を見せるところが・・・キャーと言いたいカッコよさ!(ここ目の前でこれをヤラれると・・・息がとまります
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ここから着々と綿密な復讐劇が始まるわけですが・・・。
ハイトーンVOICEで黒装束オカッパのブゾーニ神父、重々しい衣装と語り口、サラサラセミロングヘア―に髭のモンテ・クリスト伯、クシャっとしたしゃべり方のおじいさん英国紳士のウィルモア卿。
ダンテスは自在にキャラクターを使い分けて、3悪人へ取り入ります。
ダングラ―ルには投資話をもちかけて儲けさせ、フェルナンには息子アルベールを海賊ヴァンパの誘拐から救い出して恩を売ったうえで舞踏会では恋人役のエデ姫に相手をさせてもてなす。
その舞踏会で、メルセデスと再会。踊りながらの駆け引き。モンテ・クリスト伯の仮面をつけて皮肉を言うつもりがつい恨みがましくなるダンテス。気付かぬふりのメルセデスも傷つきます。。。
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充分な伏線の上で遂行される復讐。
ダングラ―ルは、買収された信号手の偽情報で銀行が倒産。債権者から救うために離縁した愛妻は、最後豹変。
ヴァンパの隠れ家である洞窟で海賊たちの饗宴を見ながら飢え死にさせられそうになり、自殺のために買った銃には弾がない、など散々にいたぶられます。モンテ・クリスト実はダンテスが現れて、言い訳をするダングラ―ル。
俺は~しただけだ、と言い逃れようとするのに「だけだだけだだけだ!」と一喝。「おまえは飢え死にする・・・だ・け・だ」の言葉に狂い出すダングラ―ル。
しまった!苦しめるつもりが楽にさせてしまった!
ヴィルフォール邸では妻が父を毒殺したという密告書に動揺する検事総長。
あなた、と妻が運んだワインを水槽にたらすと2匹の金魚が腹を出して浮かぶ・・・。そうよ、財産目当てよ!悪い?!とのエロイ―ズの逆切れに檄高して射殺。その瞬間を物陰で待ちかまえていた新聞記者ボーシャンらが激写。
モンテ・クリスト=ダンテスにこれを公開されてシャト―・ディフ行きだなと言われて即ピストル自殺。
その一部始終を目撃してしまったのは心優しい先妻の娘、慈善事業に熱心に取り組み、結婚を控えたヴァランティ―ヌ。
罪のない彼女を天国から地獄に突き落としてしまった!
なんだか、3悪人とはいっても、この2人は哀れなんですよね・・・。
子が出来ないと姑に苛められる妻をかばって優しかったダングラ―ル、気のいいナポレオン党員の父、優しい娘をみると小心者故の自己保身が過ぎたとはいえ、悪い人間ではなかったのでは・・・と思わせるヴィルフォール。
すっきりしないまま、でも復讐は続きます。
レストランで人待ち顔のフェルナン。いきなり高校生演劇部員による寸劇が。王女を捉えて奴隷としてハーレムに売り飛ばす悪人がこらしめられるお話で過去の悪行をチクリ。
ウィルモア卿とエデ姫登場。フェルナンの手首の傷は幼いエデが必死に噛みついた痕。
間違いありません、この男です!衆人環視の前で何が出来る?余裕のフェルナン。
チリチリン
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カルコントの酒場でダンテスがやられたことをここで。
一斉に立ち上がって退出する客たち。
エデが銃を向け、フェルナンは腰を抜かしますが・・・エデは撃ちません。
逃げるフェルナン。なぜです、姫?恋人役を演じるうちに本当にあなたを・・愛の告白。
愛を知った今は復讐に意味を見いだせないという彼女。同志だと思っていた姫の思いがけない言葉に揺れるダンテス。
モンテ・クリスト邸を訪れるのはメルセデス。
ヴァンパの誘拐が仕組まれたものと知ったアルベールが名誉棄損で伯爵に申し入れた決闘。
その中止を懇願する母親を足蹴にするダンテス。
「膝まづくのは神の前だけでいい・・・わたしは神ではない!」
銃の名手の伯爵に我が子アルベールの勝ち目は皆無。
必死の命乞いから思いつめ、室内装飾の甲冑から取り上げた剣をまっすぐにダンテスに向けるメルセデス。
あなたを殺せばあの子は助かる。あなたに刺殺されてもそれはそれで構わない、あの子の死を見ずに済みますもの!
追いつめられて逃げるも、防衛のために剣を手にするダンテス。ここの2人の緊迫感。ある種風変りなラブ・シーンですね。心から求め合う2人の屈折した愛の形が。。。
逃げるの?!背を向けたダンテスにメルセデスの絶叫。
家令ベルツッチオが駆けつけて、事態を察知。いざと言う時には出られる構えで見守ります。
剣を落として両手をひろげ、その胸を、メルセデスの剣の切っ先にまっすぐ向けるダンテス。
君こそわたしを刺せばよい!じりじりと後退するメルセデス。
ここのダンテスの男ぶりの良さと言ったら!なんだか凰稀さんの細身の姿が大きく見えました。
できない!だってわたしはまだ・・・あなたを愛しているから。。。
剣を取り落とすメルセデス。
君は立派な母親だ。あの日の少女が・・・20年の時を経て、今は命をかけて我が子を守ろうとしている。
明日の1発目ははずして撃とう。メルセデスという素晴らしい母親のために・・・。
ここ落涙ポイントです
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いつも、ファリア司祭が遣わした天使よろしく理を説くベルツッチオが、メルセデスさんを悲しませるだけだと説くが、ダンテスは自分の命で清算する気でいるのです。
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そして当日。
楽に向けて、この決闘場面の意味がどんどんと重みを増してきました。
フェルナンの悪行を含め、全てを知ったアルベールがどんな思いでこの決闘に臨んだのか。
立会人の友人、ヴァランティ―ヌの婚約者だったフランツ(美月悠が明るく張り切った青年を好演)と新聞記者ボーシャンが打ちひしがれています。
あっきー(澄輝さやと)はやはりスタイルが良いですね。そして、フェルナン将軍の異例の出世の陰にある事件を嗅ぎつけて早い段階で取材を始めて、ヴィルフォール事件にも立ち会った、ゆかりの深い彼が今吐き出すようにつぶやく一こと、「剣ではなくペンで戦う人生を選んだのに・・・」が色々と深いです。
ところで、ここでは若いアルベールの友達設定な彼ですが、ダンテスの刑期中すでに始めていた取材活動などを鑑みてちょっと年齢不詳なのが気になりますが・・・^^;
一方アリとハッサンを立会人としたダンテスも登場。ここではもう、彼は、虚飾を取り去り、モンテ・クリスト伯ではなく、エドモン・ダンテスのスタイルなのですね。
黒髪をオールバックに撫でつけて、浅黒い顔で白いシャツとパンツ、黒いベストとブーツの無駄のない洗練された身体のラインの美しさと黒豹のようなエレガントで無駄のない動きが大人の男でタメ息が出るほどステキ。
大体、後ろ姿、上半身をあれだけタイトに作って白いパンツでヒップラインを見せて男性として全く問題がないってやっぱり男役ってスゴイ!と思いますね・・・。
そして左右対称に歩き出すアルベールは同じ身長ながら、ややカールした柔らかい茶髪が真っ白な額にかかり、青赤白を基調とした士官学校生の制服姿が初々しく、センターから射撃位置まで歩を進める足取りも、ダンテスとは対照的に緊張気味で、実に良い構図。
で、互いに撃ち合うも・・・ともに自らの銃を空砲にし、自らの死をもってこの愛憎劇を清算しようという2人の覚悟。
そして瞬間響くメルセデスの声「アルベールはあなたの子よ!」
ラストにかけての展開は原作と全く異なりますが、このメロドラマも宝塚的にはアリですね。
そして、舞台奥から銃声が。ハリのあるタフタのマントを身に付けたメルセデスが倒れ伏します。
フェルナンの仕業ですが、すかさずボーシャンが、アルベールの介添え人の役目として所持していた銃を向け、すぐに現れた憲兵隊の一斉射撃で息の根を止められ連れ去られます。
助け起こされ邪魔なマントもはずしたメルセデスはどこも押さえたりしていない様子をみると無傷のようですが・・・。
ここ、かすっただけで大丈夫、的な演技なら納得なのですが、実咲さんがあまりに盛大に倒れるので、結構誤解を招いているようで・・・。
ロミジュリよろしく、死んでしまい、その後の幸せな展開は全て天国の夢・・・だと思っていた、という初見の友人の感想がありましたが(笑)それは極端としても他に表現がありそうなのにxxx
これと定めた演技の方向を深めることはできても、微調整することが出来ない不器用な人なのかな?と思ったり。
前日の夜、母からすべてを聞かされ、自らの死を持って義理?の父フェルナンの罪を購おうとしていた実の息子を前に、ダンテスが言うのが
「君は一夜の火遊びで生まれた子・・・じゃないぞ、愛の結晶だ!・・・少し大きな結晶だがな」抱擁する父と子。
xxx石田センセイ
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初日辺りでは火遊び・・・でベルツッチオが「おいっ!!」と突っ込み、その突っ込みは客席全体の総意のように感じられたものですが、凰稀ダンテス、前段をやや早口で言ってみたり、後半の台詞の抑揚の付け方で前段の違和感を打ち消すテクニックを用いたり・・・で楽近くには、客席からドヨメキや笑い声が出ることもなく、スムースに大団円に、という感動シーンに。
エデ姫が爽やかに身を引きます。
銀橋で寄り添う2人。下手からいそいそと船長さんのジャケットと帽子を持って走ってくるのはベルツッチオ。ジャケットを着せかけ、帽子を渡し、喜びの走りで本舞台に戻る彼を観ると幸せすぎて涙が・・・?!
ファラオン号2世を作り、そのクル―としてヴァンパや子分たち全てを雇い入れ、莫大な財産は処分してヴァランティ―ヌの慈善事業や修道院に寄付。また、身の丈にあった1人の船乗りとしての幸せだった人生を取り戻す、というダンテスの決断。
「今の僕には仲間が財産だ!」
ってどこの少年マンガ?でも意外と真実かも・・・。
ファリア司祭(の亡霊?)も銀橋下手からセリ上がり、本舞台の上にはアルベール、ボーシャンらとすっかり船員スタイルのヴァンパ一味たち仲間が勢ぞろい。銀橋上手ではハイスクール演劇部の一団が大喜び。
笑顔で寄り添うダンテスが20年前そのままの青年で、メルセデスが20年後の母親仕様なのが今のTOPコンビの持ち味そのもので微妙な心持ではありますが(^^;)なんとも爽やかで納得のHappyEnd.
過去の憎しみを清算するのは復讐ではなく、前を向いて生きること。
幸せは財産の量ではなく、大事な仲間と自分の情熱を傾けられる仕事を持って人生を生きること。
奇しくも現代社会の抱える闇を照らすソリューションのような芝居を、常にUPDATEされた適切な引用ばかりとは限りませんでしたが(戸塚ヨットスクールってxxx^^;)わかりやすく娯楽作品としての枠を守りながらキッチリと輪郭とテーマを浮かび上がらせる石田先生の演出の妙とこんなに芝居の組だったっけ?と嬉しい発見をくれた宙組生の熱演で、原作とは色々改編されていながらも、そのぐいぐいと人を引っ張る物語の力が再現された良い舞台だった・・・と思います
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こちらは後半です{走るひよこ}
演出は・・・流れるような手さばきでの物語の進め方はさすが、なのですが、石田先生は言葉の選び方に問題があることが多くて・・・^^;
座付きの演出家を抱える劇団というシステムゆえ、タカラヅカファンは、演出家の成長を信じて見守るor限界を察知してあきらめる(笑)というスキルを発揮しつつ観ているのが常なのですが、ちょっと!と思うところ、ありましたね^^;
船上のダンテスくん{うきわ}{キラリ}
もう、甘くて若くてキラッキラで、なんとなく照れて正視できないレベル(え?)
同じ石田センセイの演出で、星組2番手時代の作品に映画の舞台化で話題になった「愛と青春の旅立ち」があるのですが、ここでのかなめちゃんはまさかのフォーリー軍曹役。
映画では黒人のベテラン俳優さんが演じた、仕事に情熱を傾けるも、愛情を笑顔ではなくしごきで表現するタイプの指導者を演じて評価されたのですが、本当に厳しい表情を崩さずいやみ連発のマシンガントークで・・・。
お芝居の後のミニ・ショーで、銀橋で、2番手娘役の白華れみちゃんと並んで、ブルーのキラキラスーツ、くしゃっとしたカワイイ髪形&満面の笑顔で「ブルースカイ」を歌われたときのお芝居とのコントラストのすさまじさとあまりのキラッキラ振りに感動したことを思い起こしておりました・・・{キラブルー}
また、ご一緒しましょうね{うさぎ}{キラピンク}
もう、御一緒に観劇してから1か月以上が経つのですね・・・
今一度、自分で読み返してみましたら、あの時の感動が手に取るように蘇り・・・{キラリ}
同じものには二度とまみえることのない、期間限定の夢の世界。
劇団自体も生命体のように、新入生を受け入れて退団者を出し・・・公演が終わる毎にその姿を変えてくるので、もし再演があったとしても、それは違う出演者による別バージョンということになり・・・。
まさに目の前に繰り広げられている世界は一期一会。
基本 舞台って、物語の主軸を自然に追っていけるように演出されてはいるのですが、
板の上にあれだけ役者がそろってそれぞれの役で息づいていると、ついつい脇を観たり、
お衣装を確認したり(笑)忙しいですよね^^;
映画などでは、演出の意図のもとにフォーカスされたものを追っていく形でその世界の時を過ごすのですが、生の舞台は自分の観たこと感じたことがそれぞれ異なる分、また観てみたい、感じ直してみたいというリピート欲を刺激されるのかもしれません{うさぎ}
宙組生は(特に男役)スタイルが良くて美しい人が多いので・・・。
眼福ですよね{ハート}
こうしてmariaちゃんのレポートを読み返していますと,
既に1ヶ月が過ぎた今でも,
劇場での感動がよみがえってきます{キラリ}{ひよこ}
たった1度の観劇でしたので,
随分見逃していた点も多かったなぁ・・と反省もありつつ,
でも,1度でmariaちゃんレベルに鑑賞できる訳無いですし,
仮にできたところで,
重ねての観劇の楽しみ・・があってこその宝塚ですので(と言うことに){YES}
宙組のみなさんの美しい姿とともに,
キレのいいダンスと華やかなお衣装。
かなめさんの七変化と観客を虜にする演技。
そして,「え・・・どうしてここでこうなる!?」と,
意表を突いてくる演出(笑)
(それが実は宝塚らしさの一つなのかな・・とも思います{OK})
で・・私はやっぱり船上{うきわ}のダンテスくんが好きです{ユニミーピンク}
・・と言う訳で,
今回も様々な側面から楽しめた作品でした{バラ}{キラリ}
ありがとうございました{花束}