maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

パリ オペラ座バレエ学校 日本公演 ②

2009-05-02 11:43:48 | BALLET
<*5月6日更新:完結しました!>

日曜日に東京文化会館で観たオペラ座バレエ学校の公演、3つのそれぞれ異なる雰囲気の演目、
楽しんで参りました。



「ペシェ・ド・ジュネス」

ロッシーニのピアノ曲集「ペシェ・ド・ヴィエイナス(老いの過ち)」に対して、使用した曲が12歳のときに作曲した弦楽ソナタである、と言う理由でかけてつけたタイトル。
若き日の過ち・・・とでもいう意味だそうですが、早いテンポの流麗な曲に合わせて
オペラ座きってのクラシックダンサーとして端正な踊りで魅了してくれたジャン・ギーの振り付け作品。
若くしての引退が惜しまれた彼ですが、先生として、振付師としてオペラ座に関わり続けてくれていることが嬉しく、客席でおみかけした変わらぬお姿に秘かに感涙・・・。

さて、作品ですが、プティ・バットリーなど、フランス派ならではの細かい動きを取り入れた技巧的な作品で、それを踊りこなす生徒たちの基本のパに忠実であろうとする姿勢、動きの美しさに、やはりエリート集団、
ただの学校公演ではないなと当然ながら思わせてくれました。
ただ、Story的に盛り上げてくれる作品ではないので、40分の間にはちょっと集中力がとぎれる(わたくしの)場面も・・・



次の「スカラムーシュ」は、昨年、オペラ座でも「天井桟敷の人々」で振付家として成功。
演劇性の高い作品づくりもできる現役エトワール、ジョゼ・マルティネスの作品。
オペラ座の名花、引退即バレエ学校校長となられたエリザベット・プラテル校長から
直々に低学年の生徒のための作品を、と依頼されたのだそう。
でもこの作品が大変評判がよくて、今の大作「天井桟敷」につながっているのですから・・・感慨深いです。



イタリア・スペインの伝統的な大衆劇、コメディ・デラルテの登場人物をそのお約束の役柄とともに登場させ、
ねずみの子供たちも出てきて大騒ぎ。
タイトルロールのスカラムーシュは比較的高学年の男の子が演じる、見せ場のソロもふんだんに盛り込まれた役どころ。
彼が狂言まわしとなり、バーレッスンをしている生徒たちが夢見る、将来舞台で踊ることになる古典の役柄などの断片を盛り込みながら、ちょっと夢のような賑やかで混沌として世界が、可愛らしいCandyBoxをひっくり返したように展開されます。

たどたどしく、でも意外と上手な日本語の台詞、パントマイムで盛り上げるのは、毎回バレフェスのお遊びスペシャルガラでも見せる、ジョゼの舞台の呼吸、観客のつかみを心得たセンスの良さ。

それに現エトワール、時々衣装でジョゼの振り付け作品とコラボしているアニエス・ルテステュデザインの衣装がとてもとてもカワイイのです
ブルーのロマンティックチュチュを着た女の子たちの衣装が少しずつデザイン違いになっていたり、
子ネズミちゃんもとてもCUTE

最後の最後で、現実のバーレッスンの場面に戻るのですが、先生が現れて、皆まじめにレッスンしているのにそれに気付かず一人ノリノリではしゃぎ続ける子の存在など、楽しくて思わず微笑んでしまう場面満載の魅力的な小品でした。



最後はノイマイヤーの「ヨンダリング」
シンプルな衣装、フォスターの郷愁を誘うメロディー。。。
ノイマイヤーはこの作品はプロのダンサーには踊らせないそう。
若者ならではの未完成でナイーブな魅力こそがこの作品の本質を際立たせるから、でしょうか。

この作品でわたくしの記憶に刻まれているのは10年ほど前の
「ローザンヌ国際バレエコンクール」でキャッシュ・プライズを取った
ヨハン・ステグリの演技。
それこそ、「アストレとセラドン」の世界で・・・。
柔らかい栗色の巻き毛の彼が大きく伸びをしてあくびをするシーンでは
のんびりとした放牧場でのけだるい午後、聴こえるのは羊がメェ~と鳴く声、
そして首につけたベルの音・・・
生成りの簡素な服をつけた美しく若い牧童の姿が見えるようで、
なんともいえずロマンチックな空気感が漂っていたのでした。
今、彼はノイマイヤーのハンブルグ・バレエのソリストとして活躍しているようです。

オペラ座バレエ学校の男子生徒はもうすこしキリリとしたタイプが多く、
彼のような情緒を感じさせる演技ではありませんでしたが
若さ溢れる伸びやかさで、やはり良い作品だなあと思わせてくれました。



最後、観客の大きな拍手を浴びて、本当に嬉しそうな彼らの姿が初々しくて。
エリザベット・プラテル校長も出ていらして、
現役時代と変わらぬ彼女ならではの優雅なレヴェランスを観ることができただけでも
ファンとしては嬉しく、心満たされた思いでいっぱいになったことでした




最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (シーラカンチャン)
2009-05-06 21:11:22
★Mariaさま

大変ご無沙汰いたしました。{YES}
昨年来の世界大恐慌はあっという間に日本の末端までとどきまして、大変な日々を送っておりました。
まぁ、いろいろありまして、観劇のあとに感激のメールを書くなど、気分になれなかったということでしょうか。{グズン}
でも、このブログはちゃんと読んでチェックしていました。
バレー(ボリショイバレー)、シュルブールの雨傘、80分世界一周、歌舞伎、コンサートなど、合間を見て観ることによって、落ち込む気分を鼓舞していました。
Mariaさんのレポートでコメントはしませんでしたが、とても助かりました。
やっと、大きな山場を越えて、なんとか先が見えてきまして、精神的にも余裕がでてきたので、こちらにお邪魔した次第です。
もちろん、大好きなパリオペラ座バレー教室見ましたよ。
かわいらしかったわ。
それに夏の世界バレーフェスも予約しました。
堰をきったように、チケット買収(笑)に奔走しています。
生きているうちだけですからね。それにことしは海外旅行はいかないほうが、よろしいようでその分日本で芸術しようかと・・・・・・
今日は、フジコ・ヘミングさんのコンサートに行ってきまして、すみずみまで、心洗われる思いでした。
彼女もお年ですものね、あの全力投球の姿を見ると勇気が湧いてきます。
というわけで、ブログ訪問復活いたしますので、レポート宜しくお願いいたします。


返信する
Unknown (maria)
2009-05-07 06:09:14
シーラカンチャンさま

そういえばお姿が・・と思っていた矢先、ご訪問ありがとうございます{ラブラブ}
世の中激動ですが、やはりこの時代に生きている、という幸せを実感するためにも劇場通いはやめられませんよね・・・

バレフェス、マリインスキー、ミラノスカラ座、そしてバレエの祭典会員申し込み、と、
怒涛のチケット手配にほとんど貧血状態の(笑)わたくしですが、ここが頑張りどころ!
今月はデンマークロイヤルバレエですね{ラブ}
またのお越しを楽しみにいたしております{ルンルン}
返信する
Unknown (chelsea)
2009-07-13 04:50:15
ペシェ~は、J・G自身が踊ったら絶対一番上手いだろうな~
という作風でしたね。

スカラムーシュは私も童心にかえって(いつも童心かも・・)
夢の世界を楽しみました。

ヨンダーリングはいろいろあってあまり集中できなかったのが残念でしたが、ノイマイヤーは爽やかな作品もできるのね~というのに安心しました(笑

返信する
Unknown (maria)
2009-07-14 12:18:58
chelseaさん

ペシェ~はまったくタイトルと中身がリンクしていない作品でしたが、
ジャンギー健在ナリ、と言う感じでそれはそれで心温まる心地でございました{ラブ}
端正、でしたね!

スカラムーシュ、もう可愛くて可愛くて・・・
アニエス、衣装デザイン、ライフワークにしてください!とお願いしたいくらい。
あ、踊りもできるだけ長く続けていただきたいけれど・・・{ラブラブ}
ジョゼって才能ありますね!
chelseaさんの「いつも童心」にウケました{キューピット}

「ヨンダリング」
演じ手で印象が激変するこの作品。
ステグリ以降、幾人かのダンサーが踊るのを見ましたが、
あのようなロマンチックな空気を感じたことはそれ以降は残念ながらありません。
今回も、そういう意味ではまぁまぁだったかしら?
プロには踊らせない、というのはフレッシュな感性で生まれる偶然の産物がこの作品に血肉を与えるとノイマイヤー自身が認識しているのでしょうか?

パリオペの若手は爽やかでしたね{るりばな}




返信する

コメントを投稿