仙台駅のすぐ傍、ビルの中に市の運営するフリースペースがある。
広い窓からは、仙台市内が一望でき、太平洋も見える。高層ビルなので、景色をさえぎるものがなにもなく、気持ちがすっと 晴れるような、心地いい空間になっている。
部屋には、子供達を遊ばせるスペース 広いテーブルに椅子が置いてある交流スペース 図書コーナー 学習コーナーがある。
それらがずべて床続きになっていて、仕切る壁はない。
飲食が自由であることもあって、市民が集まり、談笑をしている。お子さん連れのお母さんたち、女性 老齢の方々が多いような気がする。
私は、このスペースを借りてボランティをしていた。中国から来た、中学生の女の子に数学を教えていた。が、長くは続かなかった。三回ほどすっぽかされ、ただただ待たされた。聞けば携帯電話が学校で使えなくなり、居残り学習を先生から課され、連絡もできずすっぽかしになったという。
最近、またそこへ行ってみる事になった。人を待っていた私に、一人の女性がアプローチをかけてくる。何やら、話したい様子で、こちらをちらちらと見ている。いたずらっ子のような目をして・・・。
声をかけてみた。すると、そこからは彼女の一方的なトークを聴く事となった。年齢から始まり、おいたちは割愛されていたものの、最近までの彼女がかいくぐってきた困難な生活を相槌だけで、聞くこととなった。
改めて見回してみると、広いテーブルに椅子が6脚セットになって、計8つくらいのテーブルが置いていある。人がたくさんいるから、いまどきい珍しい相席になる。その、相席になった同士が、どうやら話しかけて、友達作りをしているらしい。
一人で手芸をしている人、本を呼んでいる人、グループで来ている人と同じくらい、一人で来ている人がいる。それは、ちょっと小さな驚きだった。
今しがた知り合いになった人から、彼女がここで知り合いになった人を紹介される。彼女もまた、生い立ちを省いた部分の自分史を喋りだす。話してくれるというより、話したいから話していると感じる。
なんだか不思議な気分になる。
彼女達の生活はそれぞれ、大変困難なものであったようだ。
それでも、彼女達の今がとても楽しそうで、積極的に仲間作りをしようとしている姿に、ほっとするものを感じる。
このフリースペース、至便な地にあることもあって、市は相当の家賃を払っているらしい。でも、是非残して欲しい施設であることだけは間違いない。