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庸軒流の茶人、伊藤庸庵を探索中です。
「伊藤庸庵師略伝」 (東京堂 桑田忠親編 茶道辞典より)
伊藤庸庵 明治32年-昭和55年(1899-1980)
現代の茶人、庸軒流、名は毅、号は紫雲軒
昭和24年1月 増田酉庵の門へ入る
昭和26年4月 庸軒流の茶書「茶道望月集」49刊を復巻す
昭和30年 庸軒会を改組す
1年前の京都在住中に、姫路のSさまの「名残りの茶事」にお招き頂きました。
そのご縁で「横浜へ帰る暁庵さんに使っていただきたい・・・」とSさまから凡鳥棗を譲られました。
凡鳥棗には庸庵の箱書があって、
「藤村庸軒好 凡鳥棗 之ヲ写 庸庵」と書かれていました。
詳しい経緯は「茶道具こわい in Kyoto」をお読みいただけたら・・・と思います。
いざ、凡鳥棗を使う段になって、写しを作らせた横浜の伊藤庸庵のことが気になってきました。
庸庵のことを調べ出したのですが、なかなか実像に迫ることができません。
H氏からお借りした「茶道望月集抜粋編」(伊藤庸庵編纂、昭和40年発行)の奥付に
「発行所 庸軒会」横浜市神奈川区高島台45とあったのを手掛かりにその場所を尋ねることにしました。
事前調査で高島台45の番地は現存しないことがわかっていました・・・。
でも、もしかしたら土地の古老が知っているかもしれないし、兎に角、行ってみようと。
9月28日(月)のことです。
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ゆるやかな坂道 台町公園
横浜駅から北(沢渡方面)へ進み、鶴屋町交差点を越すとゆるやかな坂になりました。
旧東海道を横切ると、すぐに高島台という表示のビルが現れ、急坂になります。
坂を登り切り、交番脇の細い坂道を逆方向(南へ)へ上っていくと、台町公園に着きました。
横浜駅から意外と近く、徒歩10分くらいです。
台町公園は幻の45番地の候補地の一つですが、近くにはマンション群ばかり・・・です。
気を取り直して、東や南へ歩き始め、長年住んでいそうな方々にお尋ねしましたが、
伊藤庸庵(本名 毅)氏を知っている方にはとうとうお会いできませんでしたし、住んでいた処もわかりませんでした。。
庸軒流の普及や取りまとめに活躍していた方でも35年経つとその存在すら分からなくなってしまうという現実に、人の一生のはかなさ、長大な時の流れの中の無力さを感ぜずにはいられません。
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とにかく坂道が多い・・・
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途中の公園で一休み・・・
歩き回ってみると、高島台は横浜駅からすぐ近く、丘陵の上なので眺めも良く、
丘の東から南にかけて旧東海道の神奈川宿があったという歴史のある場所でした。
横浜の埋め立て事業を行った高島嘉右衛門(1832年-1914年)が明治9年に大綱山荘(現・横浜市神奈川区高島台)に一時隠棲していたことから高島台と呼ばれ、今も末裔の方が住んでいます。
高島嘉右衛門は占いの「高島易断」でも有名な方で、「易聖」と言われ、その顕彰碑が敷地の一画に建てられています。
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本覚寺・・・鎌倉時代に栄西が開いたと伝えられる
開港当時、ハリスがここをアメリカ領事館とした
3時間ほど高島台を歩き回り、土地の古老たちとお話しできたことに満足して、急坂を下り、三宝寺と本覚寺の門前を通り、横浜駅へ向かいました。
今度はゆっくり、東海道・神奈川宿を探訪したいと思いながら・・・。
その日は
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