新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

7月18日 その2 アメリカの会社とは

2017-07-18 16:22:43 | コラム
外資系ですか?:

「いいえ、違います。」

私は1994年1月末でリタイヤーするまでアメリカの世界最大級の紙パルプ・林産物メーカーの一事業部の、東京駐在員として勤務していました。と言うと、90%以上の場合「外資系ですか」と問いかけられた。不覚にも私は「外資系」なる言葉の意味を良く知らずに「いいえ、違います」と答えて、どういう意味の質問なのかと訝っていた。

そこで広辞苑を見ると「資本の多くの部分を外資によっていること」とあった。それならば、明らかに外資系ではないと解って安心した。W社の東京事務所は日本法人で株式会社の形となってはいたが、我が国の法的規制では「連絡事務所であり、商取引の当事者になってはならない」と定められていた。

この制約の内容を厳密に言えば、何か得意先と話し合いをした場合に、その内容と結果を本部に報告する場合には「我々=we」乃至は「私=I」を主語にしてはならないのであり、Weyerhaeuserか”On behalf of Weyerhaeuser, we visited ~.”のような形にせねばならないのである。「そんな面倒な」ということだが、それでも、それが我が国の法律であり従う以外ないのだ。では、「誰かがそこまで調査に来るのか」と問われれば、契約している監査法人が担当されることだ。

これまでに私は何度か「アメリカの会社とはあのようなものだと(異文化の国の会社だと)事前に承知していれば、転進などしなかっただろう」と言ったものだった。その文化の違いの内容も何度か折りにに触れて採り上げてきた。だが、意外にも何処でもここでも驚かされたほど反応がなかった。思うに「何処かの対岸の火事だろう」とでも思われて関心がなかったのかと解釈していた。

その企業社会の文化の違いとは「逆さの文化」に始まり、「学校教育の違い」、「上意下達の世界」、「仕事よりも家庭を優先する」等々だった。そして、前回は「新卒を採用しない中途入社社の世界」であり、「得意先の代弁が許されない」とか、段々に具体的な細部に入って行った。

今回は更にもう一歩踏み込んで”、Rank and title”(=階級と肩書きとでも訳そうか)を語って見よう。

事業本部長(GM=general manager)の下に横一線:
我が国であれば、本部長の下に部長代理乃至は次長が置かれ、そこから課長、課長代理、係長とでもいう具合に偉さの順番で組織されていると思う。しかも、そこにはある程度以上に年功序列というか、入社年次が絡んでくると思う。アメリカではそうなっておらず、GMの下に全員が横一線と思っていて誤りではないと思う。

その実態は新卒を定期採用せずに、即戦力を随時必要に応じてGMが採用していくのだから、採用された時に決められた仕事の内容とそこまでの経験に見合う年俸という条件があるのだから、全員がバラバラなのである。全員が与えられたjob descriptionに従って仕事をするのだから、重複することなどあり得ない。全て一人でやることだ。お互いに待遇を比較しようもないし、誰が誰よりも上の位ということが起きるはずもないのだ。

別な言い方をすれば、私がもし日本市場担当として本部に勤務していれば、隣のオフィスには私よりも後で社内から転職してきた日本市場以外の営業を担当するマネージャーがいることになる。だが、彼と私の仕事に同じ営業でも一切の担当地域その他で重複がない以上、私は彼が何時に出勤するかも知らないし、何時何処に出張する予定かなども知る必要もないのだ。

GMは営業、製造、総務、人事勤労、経理、中央研究所、工場等々の全てに責任を負っているので、工場の現場や研究所にまで手が回りきれないこともある。従って、工場に常駐している技術サービスマネージャー等の技術者の管理には中央研究所の首席研究員を中間管理職の任命して取り纏めさせていた。

この中間に任命された管理職を、その部下となった者たちは”middle layer”と揶揄して呼んでいたし、中には面従腹背で不満を漏らすも者もいた。それ以外のマネージャーは、英語で言うところの”direct report”(副社長直轄とでも言うか)で副社長に直接に報告書を提出する地位を与えられた部下として行動できるのである。これは名誉ある地位であることは言うまでもない。

我が国の制度で言えば「課長」乃至はmanagerは管理職でありその地位(偉さの順番?)を表している。だが、GMの下に横一線の世界では、managerはtitleであって肩書きに過ぎない。Managerの称号を与えられたからと言って、手当が貰える訳ではないのだ。そもそも年俸制の下では、本給一本で何ら手当などは出ないのだ。偉さを表す言葉は恐らくrankだろうが、それが上がっても既に契約した(決められ)た年俸は不変である、次の話し合いの時まで。それも成績次第では減俸だってあり得るのだ。

念の為に実例を挙げて解説してみよう。我が事業部に嘗て「受注、生産、在庫管理、出荷等々」を一手に引き受けていた永年勤続の女性がいた。この業務は”customer service”と呼ばれている、念の為。ある時、営業部長と彼女と私の3人で打ち合わせをした際に、部長が「ところで貴女のタイトルはどうなっている」と尋ねた。

彼女は[そんなものは貰っていない]とぶっきらぼうに答えた。部長は「それは失礼した。早速managerのタイトルを上げよう」と言った。彼女は”From when?”と問い返した。それに対する答えは”Right now.”だった。その頃の私は未だ文化の違いを弁えておらず、打ち合わせ終了後に彼女に「いくら手当が付くのか」と迂闊にも尋ねた。

答えは「年俸が決まっている以上、増える訳はない」とにべもなかった。そうなのだ。彼女は称号というか肩書きは貰ったが、次回の年俸改定の話し合いの時期までは既に契約した年俸が変わることなどあり得ないのが、アメリカの企業社会である。

世論調査に騙されるな

2017-07-18 07:52:46 | コラム
テレ朝が嬉しそうに安倍内閣の支持率が29.2%と報じている:

先ほどからテレ朝は「危険水域に入った」と嬉しそうだった。ANNの調査と言っていた気がするが、それは朝日であることは変わるまい。彼らは着々と「安倍の葬式はうちで出す」の方向に邁進しているかのようだ。だが、自民党の支持率は36%だったかで、安倍総理に対する不支持が明白だと解説した。この調査でも「安倍内閣は加計騒動についての説明が不足」が70%を超えたと言っていた。

私は愚かで理解できないことがある。それは「安倍総理とその内閣は何をどう説明すれば、あの加計問題を国会だけではなく国民の皆様に納得して貰えるのか」という点である。「お友達だからと言って何ら優遇も配慮していない」という意味のことを総理は何度か答弁の中で言われた。これ以上何をどう言えば十分な説明になるのだろうか。聞いている方が愚鈍だというだけではないのか。

前川喜平なるものが登場して「安倍内閣を打倒する気はないが」と言いつつも、それ以外の目的があるのかと問いかけたいような発言を続け、それをまたマスコミは執念深く追いかけて、野党との「コラボ」で安倍内閣を貶める一大キャンペーンを繰り広げた。そして、加戸守行元愛媛県知事の国会での彼らの為にはならない証言は、見事に無視して見せた。ANNのアンケートとやらに加戸氏の証言に対する意見を求めていたであろうか、イヤそんなことはないだろうよ。

因みに、櫻井よしこさんは週刊ダイヤモンドの7月15日号で下記のように述べておられた。

>引用開始
加戸氏は問題の本質が取り違えられていると強調する。深刻な獣医師不足 解消のための獣医学部新設であり、急ぐべきだという大事な点を、メディ アは報じないと批判する。この問題を安倍首相批判の材料としてのみ見て いるのが報道ではないかと言うのだ。

「私の所に取材にきて、正確に報道したのは産経と読売でした。朝日と毎 日は無視するか、または不正確な報道でした。テレビ報道は文字に残って いないのでひとつひとつ正確に批判できないのが残念ですが、前川発言を 報じたTBSには唖然としました」

前川氏はTBSの番組で、加戸氏が安倍首相から頼まれて加計学園問題で 安倍首相に有利な発言をしている、見返りに加戸氏は教育再生実行会議の メンバーにしてもらっているとの主旨を語ったという。

「前川氏は少しおかしくなったと私は思いましたね」と加戸氏。前川氏も メディアも、常軌を逸していないか。
<引用終わる

思うに、週間ダイヤモンドをを読まれた方にはANNの調査が行っていなかったのだろう。かくして安倍内閣の危機はマスコミによって演出されていくのだ。この調査では、ご丁寧に「内閣改造には期待していない」との結果まで出ているそうだ。29.9%を出した時事通信の後に調査すれば、こういう結果になるのは当然ではなかったか。困ったものだ、マスコミは。またもや世論調査をしては騙そうとしている。