新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

11月5日 その3 DeNAが弱かったので負けた

2017-11-05 14:42:36 | コラム
失敗があった方が負けた:

日本シリーズの野球を毎晩熱心に見てしまった。4日夜の第6戦は得意技の閃きがあって、見る前からこの試合でシリーズが終わると見えていた。それ即ち、DeNAが負けることを意味していた。そして、結局は監督と選手の両方に失敗があったDeNAが、やや気の毒な形で負けてしまったのだが、それは取りも直さず「弱かったこと」の証明なのだ。試合の流れは面白かった。

私は勝敗の分かれ目は「あれだけ良く投げていた今永の見切り時を誤るかどうか」と「失敗が出た方が負けるのだ」の2点にあると思っていた。そして、今になって言っても無意味だが、9回の裏に山崎康晃を出してきたのは当然だと思ったが、彼は逃げ切れないと感じていた。そこに、あの元はと言えば横浜で育った内川のホームランで同点にされてしまったのだった。

失敗であるが、あの8回に砂田(投手)が当然投げるべき本塁に投げずに打者走者を刺しに一塁に投げたのが失敗の最たるものだった、捕手の指示が聞こえていなかったようだと解説の古田が言っていたが、この点が「弱さはここという時に表れるものだ」という勝敗の分かれ目である。これは記録に残らない大失策(=エラー)だった。

これ以外には三塁手の宮崎がチャンと一塁に投げていればダブルプレー(ゲッツーは日本語だと思う)でチェンジだったのに、横に逸れる送球をしたのも重大な失敗の一つ。私は正直に言って宮崎は打者としては見ていたが、守備ではどの程度のものか全く注意していなかった。あの場であのような失敗をするようでは・・・とは思うが、それも弱さの表れだ。これも記録には出ないが「エラー」=失策である。

監督の失敗は矢張り今永の引っ張りすぎがあると思う。あれだけ好投していた今永が報いられなかったのが気の毒だった。昨日のベンチ入りの投手の顔触れを見ていなかったが、少なくとも浜口を入れておけば砂田の代わりに使えたと思う。と言うことは、砂田を使う時期を誤ったと言えると思うし、そこが失敗だと思う。一方、勝った方の工藤は、古田が「明日はないと思っているようだ」と形容したサファテを延長戦になっても引っ込めなかった決断が出来ただけ上だと思う。

しかし、結果的には弱かったことにはなったが、ラミレス監督以下のDeNAの選手たちは持てる力を相当以上出して、良くやっていたと評価したい。だが、肝心要の筒香があれほどまでにアウトサイド低めに弱点があることを見抜かれて、右投げの投手までにも捻られていたのでは勝機は訪れなかった。全体的に選手層の薄さが目立ったDeNAの敗退だった。正直に言って、弱い方の彼らに勝たせてやりたい思いで6試合を見ていた。


11月5日 その2 イバンカ・トランプ大統領補佐官の訪日

2017-11-05 10:30:46 | コラム
トランプ大統領補佐官の訪日は芸能ネタだったのか:

私は不勉強且つ寡聞にしてイバンカ・トランプ大統領補佐官は我が国でお招きしたのか、お出でになってしまったのか知らない。方々をお歩きになったし総理を始めとして色々な方と会食をされたようだが、何が本来のと言うか本当の目的だったのだろう。我が親愛なるマスコミの扱いは完全に芸能人の如きだった。そこで、私が得意とする深読みをすれば、政府が意図的にマスコミを操縦して目的をぼかしたのかと疑っている。

確かに、トランプ大統領が信頼される身内であり、総理も世界でただ一人トランプ大統領の信頼を勝ち得ておられる指導者である以上、イバンカ・トランプ補佐官を優遇されるのは当然だと思う。だが、お出でになって、具体的且つ政治的に如何なる効果というか結果を生じたのかが解らないのが残念だ。

フジテレビの報道2001に出ていた江上剛という作家が「補佐官をあれほど優遇して安倍総理がトランプ大統領に抱きつく」との表現をしていたが、何という失礼で浅薄なことを言う奴かと呆れた。あの程度の人物はテレビに出すなと言いたい。

なお先日、安倍総理はトランプ大統領の sidekick であるとアメリカの我が国のマスコミが有り難がる新聞が採り上げたと述べた。しかし、私にはこの sidekick の意味というか含むところがもう一つハッキリしないというか、ピンとこなかったので、W社のOBで大学院大学の教授を務めたノースウエスタン大学のMBAである有識者に、その意味を尋ねてみた。

答えは “trusted companion and friend” だそうだった。つまり、安倍総理はsidekickで「信頼された仲間であり友人である」ということだった。江上さんには、こういう間柄であると良くご理解願いたいものだ。

対日貿易赤字を考える

2017-11-05 10:03:54 | コラム
トランプ大統領の来日に思う:

「また、同じことを言っているのかな」と思ってご一読を。

多くの政治家、専門家と有識者の方々がトランプ大統領がFTAの件を持ち出すだろうと危惧するようなことを言っています。私が以前から指摘していることですが、トランプ様が対日赤字の歴史と実態を本当にご承知ならば、とても言い出せる義理ではないのです。であるからこそ、私は「もしかしてトランプ大統領は無知を装っているが何もかもご承知で、赤字解消を迫っているのかも知れない」と疑うのです。もしも、ご存じでないのであれば、知らない人と議論をするほど危険なことはないと思っています。

トランプ大統領は国内で飛行機に乗る前に記者たちからの問いかけに答えて「日本に行ったらTradeと間違いなく北朝鮮問題を討論する」と言っていました。矢張り、選挙キャンペーン中からの重要な公約をお忘れではないようです。

私はアメリカの対日輸出不振の原因については、22年半も対日輸出に従事して苦心した経験に基づいて、アメリカの輸出国としての至らなさとその原因を(恐らくこんなことを言うアメリカの会社の社員は、元社員も含め、他にいないでしょう)真剣に指摘して「如何にトランプ大統領が知識と経験が不足で、歴史認識もなく、何故対日で赤字になるかを知らないからこそ言えるのだ」と批判しました。

大統領として、貿易赤字を解消しようとするのは当然かも知れませんが、知りもしないことを如何にも知っているかの如くに言うのは不当です。何故長い期間をかけて赤字になったかを本当に理解し、認識して言うのならまだしも、あの発言を聞いていれば「基礎を弁えていない」のが明白です。彼の周囲には自覚を持って実態のブリーフィングが出来る者がいないのでしょうか。

アメリカの会社に雇われて、真剣にアメリカ製品を日本を日本に輸出しようとしていれば、如何にアメリカの製造業が危ういかは直ぐに解ることです。だが、社内にいて「自国(アメリカ?)が駄目だ」と言い出すのは職を賭してまでのことになるでしょうし、また、そんなことは言ってはならないことです。だから、聞いたことがある方が少ないのかおられないのでしょう。私は言っていますが。

我が社の最大に競争相手だったアメリカの会社の日本代表者だった人物は「本国では絶対に認めることがないような細かいクレームを認めて補償してまで売らねばならないほど日本が重要且つ大きな市場かと思うと、疑問に感じざるをえない」と正直に語っていました。ここには「それほど品質について細かく厳密なことを要求する難しい市場だ」という意味も含まれています。

アメリカ側が何かと言えば「買わない日本が悪い」と不満を言いたいのは解りますし、言うのも当たり前でしょう。それは、相手が買わないからだと他人のせいにしないと、自分たちの立場は守れませんから。彼らは素直にnaïveに「我こそ最高」だと信じ切って売りに来ているのです。そうである場合もあれば、アメリカから買う以外にない製品もあります。

このような日本とアメリカの市場の違いや、アメリカ側の問題点を外務省か経産省か知りませんが、ワシントンDCにハッキリと言ってやるべきです。言われない限り、知らない限り、彼らは自分たちの主張が正当だと思っているでしょう。1990年代には、我が国ではアメリカ側の「もっと買え」との要望に応えて「対日輸出に貢献した企業」としてW社を表彰したことまでやっていました。

W社の紙パルプ部門の対日輸出の基本方針は「日本のメーカーと競合する製品は売り込まない。日本で製造されていないものに限定し、日本市場での品揃えを補完する物のみを輸出する」でした。無用な競合を避けて、市場を混乱させないことを旨としました。

私は全面的にアメリカ側に非があるとまでは言いません。だが、彼らは「何故売れないのかについての認識は不足している」と確信しています。アメリカの製造業の実態なんて、短期間滞在される特派員や駐在員の方には見えてないのですし、アメリカ側が積極的に見せる訳がないでしょう。問題の実態は外から見ただけか、統計の数字や資料を見るとか、取材して聞き出せる程度のところにはないと思っています。

私はアメリカが側の一員として、彼らの為にと勿論自分の生活を守る為に一所懸命に働き、日本とアメリカの文化の違いの谷間に彷徨い、アメリカを内側から見てきて、我が国と比較して、アメリカの到らざる点というか外部からは見えてこない問題点を指摘しています。労働力の質の問題もその一つでしょうが、ここで細かいことまで言う必要はないでしょう。

参考までにあらためて指摘しておけば、W社が嘗て1990年代初頭には対日輸出で年間1,500~1,600億円程度の売上高でも、ボーイングに次いでアメリカの会社で2位だった年が続きました。それほど他に大きな売り上げがある会社が少なかったのですし、アメリカは基本的に東海岸の経済に依存していて、欧州を向いている国です。

トランプ大統領は何かと言えば我が国に自動車輸出を問題にします。しかし、電気自動車の時代がここまで実際の物になってきた時にあっても、私が見たアメリカの切り札にでもなりそうなテスラー(Tesla)はチャンと左ハンドルでした。欧州車は皆右ハンドルを作っているのに。