「ここぞ」の時に現れるのが弱点なのだ:
31日夜の日本シリーズの野球はこのような問題点を抱えた方に残酷なほど悪い結果をもたらしのだ。それは、ラミレス監督がシーズンの途中から評価して二塁手に使い出した柴田竜拓(24歳)のことである。確かに足も速いし時々良いヒットも打っていたが、如何せん経験が不足だし、私には「(野球)学がない」としか見えなかったのだ。欠陥は平穏無事な時には出てこないものだ。
DeNAは1、2回戦で1回の裏に柳田ヒット、今宮バント、粗っぽい打者のデスパイネがヒットで先取点を与えてきた。昨夜は先発のウイーランドは首尾良く柳田をセカンドゴロに仕留めたが、何とそれを柴田が粗雑な体勢で捕り損なって記録上は「安打」となったが、DeNA前監督で解説をしていた中畑清でさえ「あれは捕らなければ」と言ったほどの取り返しの付かない「失策」だった。
私は、実は「これで、この試合は終わった」と決めつけたほどの大きなチョンボだったと見た。軽率な守備だったし、1回の裏(ではなくて、昨夜は表だったが)の重大さを認識できていなかったのは致命傷だったという意味だ。ウイーランドは頑張って(私はこんな粗雑な打者に打たれる方が悪いと見ている)デスパイネは高い球で空振りをとって三振させたが、内川に高い球を投げて打たれてしまった。これでは、益々この試合は終わったと思わずにはいられなかった。
大体からして、二塁手に人を得ていないか、何処かの球界の盟主球団のようにとっかえひっかえするテイ―ムの野球の質は低いのだ。DeNAは肝腎のこのポジションに適材がいないのは欠陥だ。それだけではなく、捕手も安定していない。そういう問題点を抱えていれば、必ずと言って良いほど、そのポジションに据えられた者が所謂「アナ」となるものなので、勝負は必ずそのアナから崩れるのだ。
柴田の問題点はそれだけではなかった。何回だったかDeNAは「一死で二・三塁二走者を置く」という絶好の機会を得た。だが、そこでの打者が柴田だった。ここで求められるのが「最悪でも前進守備のナイを抜けるゴロを打つか、深めの外野フライを上げること」だ。だが、柴田は焦ったらしく下からしゃくり上げるような打ち方でセカンドフライに終わって、得点できなかった。中畑は「最低の仕事も出来なかった。せめてゴロを打たねば」と厳しい口調で非難した。尤もだ。
柴田は「何をすべきか解っていなかったのか、解っていても出来なかったのか」の何れかも知れない。しかも、ラミレス監督の失敗は柴田を首位打者の宮崎の後に置いたこと。私は「これでは、ソフトバンクホークスは『しめた』と思ったのではないか」とすら考えた。6番にはせめて嶺井か戸柱を上げておくべきだっただろう。
それ以外の試合を捨てたに近い失敗もあった。それは、ソフトバンクの先発投手・武田翔太が制球に苦しんで1回裏に二つも四球をくれたのに、両方とも盗塁の失敗で折角貰った機会を逸してしまったこと。どちらかの盗塁失敗は「ラン・アンド・ヒット」のシグナル(「サイン」は誤りのカタカナの野球用語だが)の見落としだったらしい。私はこういう失敗をするからDeNAの野球が雑だと言うのだ。
こういう経緯で試合は終わったと思ったが、万が一のこともあるかと7回までは Prime News との両方を見ていた。だが、諦めて(何を?)昼間の疲れもあって、寝ることにしてしまった。DeNAは完全に『モメンタム』失っているし、もしかして監督の采配もおかしいのか知れないが、選手たちが指示されたプレーの通りに動けないほどソフトバンクが巧みにこのテイ―ムの弱点を突いているのかも知れない。
では、柴田を引っ込めればそれで良いかという問題ではあるまい。私はシーズン中の宮崎があれほど下からぶちかますようなバッテイングをしているのを見ていない。彼が力みすぎか、ソフトバンクのスカウテイングが徹底しているのかも知れない。反対に、DeNAはデスパイネを欠陥を調べてこなかったのかとすら疑う。そんなはずはあるまい。勝敗の分かれ目はそんなところにもあるのだ。