新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

英語の雑談

2022-09-16 08:38:49 | コラム
英語の四方山話:

今回は私一人が面白がっているような話かも知れないが、カタカナ語で言うトリビア(で良いのかな)に興味がおありならば、ご一読を。

King’s Englishとなった:
この話はチャールス新国王になられる前のことだが、こう言っておこう。それは、エリザベス女王が亡くなって多くのイギリス人が弔意を表している中で、中年と見えた女性が「女王のお姿」という意味で"figure“を遣ったのだ。だが、その発音が「久しぶりにUKの英語を聞いた」と痛感させられた「フィがー」だったのだ。「フィがー」の印象は強烈だった。

思うに、多くの方は「フィギュアー」がアメリカン・イングリッシュの発音だとは認識されていないのではないか。それで、なのかどうかは解らないが、"figure skating”は「フィギュアースケート」と呼ばれている。私が面白がっている訳は、フィギュアースケートはイギリスとオランダが発祥の地とされているのに、何事でもイギリスの英語を有り難がる傾向の我が国で「フィガースケート」とせずに「フィギュアースケート」になっていた点なのだ。

そこで、思いつくままにKing’s EnglishとAmerican Englishとの発音の違いを取り上げてみよう。1972年にアメリカの会社に転じる前にも、多少UKの大手製紙会社との付き合いもあった。そこで、初めてQueen’s Englishに接して幾つか「アレッ」と思わせられた発音があった。例を挙げてみよう。

この会社の日本支社長が"They have put up a bloody damn wall up there.“と言うのが聞こえたことがあった。「血まみれな壁」とは何の事かなとは思ったが、聞き流した。後年解ったことはbloodyはQueen’s Englishにおけるswearwordだったのだ。言ってみれば”god damned”のような罵りの言葉だった。

“schedule“は何方も「スケジュール」だと認識されているだろうが、これが「シェジュール」だったのだ。次が“reduce”で「りジュース」になっていた。そこで「なるほどリデユースはアメリカ語だったのか」と解った次第。この件には先があって、技術的な話し合いの中で「レジューサ」と聞こえたので「再びジュースにする薬剤とは何だろう」と当惑させられた。だが“reducer“即ち「還元剤」だったのだ。

エリザベス女王が亡くなったことでテレビ局が連日ニュースを流すので”can’t“を「カーント」と発音するのが聞こえたのも懐かしかった。アメリカでは「キャアスル」となる“castle”もKing’s Englishでは「カースル」なのだ。

こういう正規品の他にUKには”London Cockney“がある。これまでに何度も採り上げたようにマスコミが「貴公子」と持て囃したサッカーのDavid Beckhamは自分から「ダイヴィッド・ベッカム」と名乗っているように”a”は「アイ」と発音するのである。これはオーストラリアにも存在していて「国名」のAustraliaを「オーストライリア」と発音する首相もおられた。ごく一般的な挨拶の”Good day, mate.“は「グッダイ・マイト」と聞こえることが多い。

学校教育ではこのようなKing’s EnglishとAmerican Englishの違いも教えるべきだと思うし、何れの発音に準拠するかも明らかにして教える方が良いのではないかと思うのだ。

心不全他:
実は慢性心不全を抱えている当方は、来週から暫く振りに検査入院することになった。15年の1~2月と心不全で入院した後で、アメリカの元同僚に経過を知らせる必要が生じたので、英語で何というかを調べた。出てきた表現は“heart failure“で、医学用語は“cardiac arrest”だった。

この“failure“はカタカナ語では屡々「トラブル」として遣われているようだ。例を挙げれば「エンジントラブル」と言われているのは、私は“engine failure”だとするべきだと思っている。屁理屈を言えば「心不全を英語で言って見よ」となると「ハート・トラブル」になってしまうのではないかと思う。

余談の部類に入るかと思う話を。私は2006年に第1回目の心筋梗塞に襲われ、無事回復した後に所用でウエアーハウザージャパンを訪れたことがあった。そこには10数年ぶりに出会うパルプ部のマネージャーがいて「君はハートアタックになったと聞いていたが、元気なようで何よりだ」と言ってくれた。私は一所懸命に調べてあったことで「ハートアタックではなく、“myocardial infarction“だったのだ」と言ったら怪訝な顔をされた。

後で解ったことは、これは医学用語で、アメリカ人たちはこの種の病気を「ハートアタック」と括っていたのだった。なお、救急隊が遣う専門語では心筋梗塞は「AMI」即ち“acute myocardial infarction“で、「急性心筋梗塞」の意味だ。何度も何度も救急車のお世話になっている間に覚えてしまった。因みに、「心肺停止」は「CPA」である。