新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

懲りずに英語の話題を

2022-09-02 08:22:08 | コラム
Waltは「霧が燃える」と言った:

今回は、先日早朝に濃霧が発生して、この部屋から見えるはずの歌舞伎町に東急が建設中の48階建てと聞くタワーがほとんど見えない状態になった。そこで思い出したことがあった。そういう次第で、気象関連の言葉を使った表現を取り上げてみようと思った次第だ。

霧=fogから:
「霧が晴れる」では“burn off“というのだった。1976年だったか、本社事業部の若手の州立大学のMBAであるWaltと、用事があってシアトル市郊外のショッピングセンターに出掛けた。生憎と霧が立ちこめて難渋したが無事に駐車場に到着した。するとWaltが見えない空を見上げて、”Fog will burn off.”と言ったのだった。”burn“即ち「燃える」とは意外だったが、彼らは「霧が晴れる」と言うのにburnを使うのだと覚えた。

次は”fogged out“を。何時のことだったか記憶は定かではないが、濃霧のためにシアトル空港が機能を停止の止むなきに至り、成田行きのノースウエスト7便も霧が晴れるのを待つことになったとアナウンスがあった。すると、何人かもアメリカ人が公衆電話に走って(携帯電話等という文明の利器が存在してなかった頃の話だ)”We are fogged out.”と叫んでいた。「霧に閉じ込められた」というのならば”fogged in“ではないかと思ったが、ここではoutを使うようなのだった。

雨=rainを:
シアトルと言うかアメリカ西北部のワシントン州は雨降りが多いところだということで、雨天中止となる試合が多かったのだそうだ。その為に、イチロー君のシアトルマリナーズのホーム球場だったキングドーム(正式名称はKing County Domed Stadiumだそうだ)が建設されたのだった。前置きが長いが「雨天中止試合」は”rained out game“というのだそうだ。

“rain check“:
そこに出てくる言葉が”rain check“なのである。その意味は英辞郎によれば「スポーツ試合が中止になったときに客が受け取る雨天順延券」という意味だとある。入場券の半券は捨てないで持っておけということらしい。矢張り1970年代後半のことだったと記憶する。こちらに来ていた本部の部長が、お客様からの夕食の誘いをお断りするので”I will take a rain check.”と鄭重に言えと命じた。何のことか解らなかった。

「何の事でしょうか」と恐る恐る尋ねた。「何だ。こんな事も知らないのか」という顔付きで説明された事は、ここでも英辞郎の説明を引用しておくと「先に延ばす、延期する、またの機会にする、また今度にする」なのだった。雨天でなくても「延期する」のだった。

“save ~ for a rainy day“:
ここまで来ると、「雨」とは直接繋がっていないような意味になる。「まさかの時に備えて~を持っておくか、~をしておく」という意味になる。例えば”You save money for a rainy day."とでも言えば「万一の事態に備えて貯金しておけ」となるのだ。

英語にはこのような慣用句というか口語的な使い方が多いのだから、私は単語をバラバラに覚えるのではなくて、一つの文章かまたは”clauseとしての流れの中で覚えて置くべしと言うのだ。

“come rain or come shine“:
意味は「何事が起きようとも(突き進む)」なのだ。例文を作ってみると”Come rain or shine, I’ll be sure to get there to see you.”のようになって「如何なる事が起きようと、貴方に会いにそこに出掛けていく」となる。似たような言い方に”come hell or high water“がある。これは「如何なる困難に遭遇しようとも」という強い意味になる。後者の方が少し解りにくいような気もするが。

“out of the blue“:
何時のことだったか、親しくしていた日系カナダ人のGN氏が、予期せずにその場に現れた人を称して“This guy came out of the blue.“と言った。意味が解らなかったので、「聞くは一時の恥」で尋ねると「何処からともなく現れた」という意味で、言わば青天の霹靂(out of the blue skyである)のようなことだと教えられた。その意味を知った驚きよりも、日系人のN氏が「青天の霹靂」を知っていたことの方が驚きだった。「青空」だから気象関連というのはこじつけかな。