西田敏行さんの訃報に接して:
先ずお悔やみ申し上げる。
2006年、2013年、2014年と3回も心筋梗塞を経験した者として、この虚血性心疾患を語ってみよう。西田敏行さんも家族(と推定)の方が気が付いた時には冷たくなっていたと報じられていた。この点が最も対処いにくい事態なのだ。私はネットで見た瞬間に「心筋梗塞だったのでは」と思った。
医師ではない私が聞いた風なことを言うべきではないと承知しているが、諸賢の参考になればと心筋梗塞の経験を語っておこうと思う。
心筋梗塞で痛覚が:
私が2006年1月16日の朝6時45分に最初の発作に襲われた時は、胸にきた激痛で失神した。そして気が付いた時には痛みも何もなくなっていて、何らかの一過性の疾患だろうかと勝手に判断して、起き上がって寝ようかと思った。
だが、念のためにと息子に電話で相談したところ、「直ちに救急車の出動を願った方が」となって、自分で119に電話して結果的に国立国際医療研究センター病院に搬送して頂き一命を取り留めた。
その入院中に何気なく看護師さんに「激痛から立ち直った後では何の痛さも異常も感じなかったのは何故」と何気なく尋ねていた。答えは「冠動脈が塞がって脳への血流が止まってしまった状態で痛覚を失っているから」だった。この時は朝のことで目の前に家内がいたので対処できたのだ。
就寝中に発症すると:
ここから先が重要であり、最も危険であり、難しい点なのだと思う。それは夜の夜中に発症して私と同様に瞬間の激痛に苦しんでも、直ぐに痛みが消えれば(痛覚がなくなっていれば)そのまままた寝入ってしまうこともあり得るのだ。
また、そばに奥方なり家族おられても「もう痛くないのならば大丈夫だろう」と放置すれば、そのまま心臓も機能しなくなって死に至るのだと思っている。
致死率75%:
最初に入院の時に病棟の主治医に教えて頂いた心筋梗塞の基礎知識では「発症後少なくとも2~3時間内の処置を受けないと致死率が75%にも達するという事だった。後になって気が付いたことは、私はギリギリのところで救って頂けたのだという事。
即ち、自宅でも何処でも夜中に発症して心筋梗塞とは気が付かずに「痛みが消えたから良いだろう」と判断しないことが肝心なのだ。だが、誰でも初めて経験する心筋梗塞に襲われて家族にでも誰にでも「心筋梗塞だから救急車を呼んでくれ」という判断が出来るとは思えない。
さらに怖いことは、私の場合に最初の発作では激痛に襲われたが、2回目は何となく背中に微妙な違和感があったので、大事を取って確かタクシーに乗っていったのだ。主治医の医長先生からは「来なかったらダメだった状態だった」と告知された。
即ち、心筋梗塞だろうと虚血性心不全だろうと、既に冠動脈が詰まっていて痛覚が失われていた状態になっていたと言うことがあり得るのだという教訓なのだ。
医師ではない私が云々すべきではない事柄だろうが、経験者それも3度も経験してしまって生存しているからこそ言えるのだと思って述べてきた。「おかしい。何か重大な疾患」と思えば、迷わずに救急隊に出動をお願いすべきなのだ。
救急車に出動をお願いしよう:
我が国の救急隊の能力は高いから、電話で症状を聞いて貰えればチャンと対応できるような医療機器を持ってきて診断して下さる。私の場合はその場で心電図と血圧を測定されて判断された。
心筋梗塞や脳梗塞のような重大な病気の場合は救急車の濫用には当たらないと思うから、勝手にと言うか希望的観測で何でもないなど素人判断をすることなく、お願いすべきだという事。判断はお医者様がして下さる。