Time differenceだけのことか:
大谷翔平のDodgersがWS出場なるか否かのMetsとの最終戦の為に、Los Angelesまで戻る事になった。そこで、その結果がどうなるかをテレビでMLB帰りの五十嵐亮太等が語り合っていた。そこで取り上げられたのが、New YorkとLAの間にある3時間の時差の問題だった。それはその時差を如何に調整して行くかという話題だった。
「時差」には慣れているというか、「慣れるよりは、感じなくなるまで慣らしておけ」なので、何も痛痒を感じなくなるような「慣れ」が必要なのだ。私は初めて1972年8月に東海岸のジョージア州アトランタで朝起きたときに、何か得体の知れない病気にかかったのかと、不安どころか恐怖を感じたほど全身の倦怠感と虚脱感に震えた。「これが時差というものか」と気が付くまでは身動きできなかった。
だが、これは「東京とアトランタの間の13時間の時間差が体に与えた影響」であって「時差」と表現するのは当たらないと思う。アメリカ人たちに教えられた表現は“jet lag”だった。これだけでは、私が覚えた倦怠感と虚脱感の説明にはならない。そこで、Native Campにあったjet lagの解説を引用してみる。
>引用開始
ジェットラグは、長距離の飛行機移動による時差ボケを指す語です。体内時計と目的地の時間がずれることで起こり、睡眠障害、頭痛、倦怠感、食欲不振などの症状が現れます。ビジネスや旅行で海外に行く際や帰国後によく使われます。例えば、「ニューヨークから帰国してジェットラグでぐったりだ」というように使います。
<引用終わる
五十嵐亮太たちが言いたかった事が分かりやすく説明されていると思う。この現象に慣れて何でもなく動けるようになるためには、海外に行く事(出張等)を数多く経験するしかないと思う。他にもジェットラグにはかなりきつい影響が出てくる。それは16時間の時差がある西海岸に行くと、到着した翌日の午後3時頃には、とても耐えきれない眠気が襲ってくること。ここで睡魔に負けて寝てしまうと、体が本当に慣れるまで数日かそれ以上を要することになるので、要注意だ。
私のように西海岸のワシントン州に本社がある会社に勤務していると、3時間の東海岸、2時間の中西部(Midwestと言う)との間を屡々仕事で往復するので、jet lagなどを気にしている暇などなかた。そんな事は忘れるように体を慣らしていくしかない。アメリカ人たちから「jet lagがあるからどうした」という話を聞いたことがない。大谷翔平はもうその問題を克服していると思う。
シアトルからアトランタに飛んだ時のことだった。現地時間の24時にホテルに到着すると、同僚から「バーにいるから降りてこい。明日の打ち合わせもあるから」と電話。「もう遅いから」と言ったところ「未だ西海岸では9時じゃないか」と強制されたことがあった。この時は現地時間の3時までつきあってから、朝8時の副社長招集のブレックファストミーティングに出た。「ジェットラグなど知るか」だ。
要するに、アメリカでは東西の時間差などを何とも思わずに活動できる、活動するような強靱な体力を備えていないことには、ビジネスの世界でも、プロスポーツの世界でも通用しないように全てが設定(設計?)されていると思っていて良いだろう。一度、前夜にシアトルで試合を見たシカゴ・ホワイトソックスが、私の出発と同じ日にシカゴに帰り、その夜のゲームに出ていたのを見たことがあった。
また、午前中は東京のオフィスで仕事をして、午後3時のフライトでシアトルに同じ日の朝8時に着き、本社に空港から直行して10時からの日本からの来客との会議に参加して昼食会。そのまま同僚の運転でそのお客様を2時間のドライブの工場にご案内。工場見学と工場長との会談。終了後にシアトルに戻り、ホテルにチェックイン。午後7時半からのMLBの野球にご案内、翌日の午後1時のフライトで帰京という強行スケジュールをこなしたこともあった。
東京に戻った翌日には、当たり前のように事務所に出勤して、朝7時45分の副社長からの打ち合わせの電話を受けていた。尤も、1990年代の初期にはPCもスマートフォンもなかったので、電話での打ち合わせが普通だった。時差の話がjet lagになり強行スケジュールになってしまったが、「時間差」と「ジェットラグ」は別の話であるという事が言いたかったのである。