新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

テレビも新聞も説明不足ではないか

2022-07-08 08:21:54 | コラム
尼崎市のUSB紛失問題に思う事:

マスコミ報道では「尼崎市が業務をBIPROGYという聞いたことがないような会社に(随契で)委託し、その業務が再々委託先に出されていた」となっていた。リタイアしてから28年も経てばそういう関連の業界には名も知らぬ会社があり、市役所から委託されるのかと思ってみていた。

所が、話が進むに連れて、BIPROGY(日本ユニシス)と出てきたし、その業務が随意契約だったとも報道され「何をしているのか」と疑問に思った。公開入札であるべきではないのかということ。

更に、日本ユニシスがBIPROGYに社名変更をしていたのであれば、その辺りをもう少し適切に報道しておいて欲しかった。日本ユニシスだったならば、私は承知していた。元はと言えば三井物産系の日本ユニバックのことで、その分野では歴とした会社である。そこで、検索して見れば、去る4月に社名が変更されていて、同社の年間の売上高が3,000億円超であると解った。

私が「尼崎市役所は名も知らぬ会社の委託したのか」と思って検索したのだし、テレビも新聞も「BIPROGY社とは如何なる会社か」くらいの説明を付けておいた方が良くはないのかと指摘しておきたい。

他にも意外な発見もあった。日本ユニシスであれば東京ビッグサイトに行く都バスの路線に「日本ユニシス本社前」という停留所があるのだ。いや、あった事も判明した。COVIDの襲来以来以後は某商社のファミリーフェアーにビッグサイトに行かなくなったので、このバスの停留所が日本ユニシスの社名変更に伴って「春海橋」に変わっていたとは知らなかったのだ。新型コロナウイルスは意外な所で、我が方にも小さな影響を及ぼしていたのだと知ったのだった。

私が言いたいことは、IT関連というのだろうが、あのようなコンピュータ関連の業界に関心のない方はBIPROGY、即ち元日本ユニシスと聞かされても、どのような会社かは解らないだろう。その前に「また変な横文字の会社が出てきたか」くらいの印象しかないだろう。だが現実は、そのような会社が随契で請け負った上に再々下請けに委託して、その孫請け会社の社員が泥酔して危うくUSBを紛失する所だったのだ。「何をしているのか」ではなかったか。

ここで、話を少し本筋から離すが、カタカナ語排斥論者としては「これで良いのかな」と思う記事を産経新聞に発見したのでその一部を抜き取って引用し、読者諸賢が「これで良いのだ」と看過されるかどうかを伺って見たいのだ。

>引用開始
市の個人情報にアクセスするためのIDやパスワードを付与され、約20年以上にわたりプロジェクトリーダーのように遇されていながら、周囲の人間が正確な所属を知らないという不思議。それは責任の所在の不正確さという、ガバナンスの不備に直結する。男性が単なる酔っ払いから“ゴースト”風の装いを帯びるに連れ、問題の深さも明らかになってきた。
<引用終わる

この記事自体は極めて真っ当な内容の指摘である。では、「何を問題にしたいのか」と問われそうだが、私が「どうしてかな」と奇異の感にとらわれるのが「ガバナンス」(=governance)なのだ。「統治能力」を意味するらしい。だったら、何でそう漢字の熟語で表現しないのか。この単語は、何方だったが誤って「ガバナビリティー」(governability=被統治性)と言ったので、それは「ガバナンスの誤りだ」と指摘されたことに始まっている。

私に言わせれば、先ず「何故、漢字の熟語を使わないのか」であり、次には「20年以上もアメリカの大手企業に属していながら、副社長かそれよりも上の経営者たちが“governance”だの“governability“などいう言葉を使うのを聞いた記憶は皆無だった」なのだ。

私は文語乃至は専門用語としては存在するのだろうと思っているが、日常の業務の中で出会ったことがない。そういう種類の言葉がカタカナ語になって、当たり前のように報道の中で使われ、政治家が得々として使うのは不思議だと思う。漢字の言葉の軽視は止めた方が良いのではないのか。



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