ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

フランチャコルタ「Castello Bonomi」のススメ

2023-01-24 18:12:47 | ワイン&酒

遅ればせながら、昨秋にオンライン取材した生産者をひとつ紹介します。

 

イタリアロンバルディア州のフランチャコルタ生産者「Castello BONOMI」です。

 

 

DOCGフランチャコルタは、ロンバルディア州の中央部に位置し、イゼオ湖の南に広がる約200キロ平方メートルに及ぶ土地で生産される瓶内二次発酵の発泡性ワインです。

19の自治体を含み、地図を見るとけっこう広く、地域によって地形や土壌なども違ってきそうです。

 

今回紹介する「Castello Bonomi カステッロ・ボノミ」は、フランチャコルタの最南部に位置するCoccaglio(コッカーリオ)という町にあります。

ここにはモンテ・オルファノという山があり、モンテ・オルファノの南側にボノミがあります。

フランチャコルタ地域の南にはポー平野が広がっていますので、ボノミの北側にモンテ・オルファノ山、南にポー平野、という立地。

 

 

「標高275m。屏風のようなモンテ・オルファノの山の南側にポツンとある場所」と、生産者の談。

 

このエリアの生産者はわずか5軒ほどだとか。

 

フランチャコルタでは氷河の堆積土壌が一般的に見られますが、モンテ・オルファノは海底が隆起してできた山なので、石灰岩土壌がメイン。

「石灰岩土壌はブドウに強いミネラルを与え、長熟のポテンシャルと与えます」

 

赤い色の土壌部分もあり、鉄や粘土が多く含まれているとのこと。

鉄や粘土もブドウにミネラルを与え、長熟の可能性をさらに高めます。

 

こうしたことから、ボノミでは、瓶内二次熟成の期間を長くしているといいます。

期間を聞くと、30カ月から、長いもので10年!

 

また、フランチャコルタエリアの最南部ということもあり、平均気温が5度高く、暑い気候。

降雨量も20%少ないそうで、暑く乾燥している土地になります。

南イタリアなどの地中海沿岸に生えるケッパーがここでも生えているとか。

 

 

フランチャコルタでも特殊なモンテ・オルファノ山の南側に、ボノミは29haの土地を所有し、うち26haがブドウ畑。

ボノミで栽培してるブドウは、ピノ・ノワール、シャルドネ、エルバマット

シャルドネを22区画、ピノ・ノワールを12区画植えていますが、比率としてはピノ・ノワールが多く、ここの土壌がピノ・ノワールに合っているからだそうです。

ボノミでは、それぞれの区画のテロワールを引き出したワインづくりを行なっています。

 

 

「エルバマット」は聞きなれない品種かもしれません。

フランチャコルタ南東部のブレシア県で16世紀から生産されていた古い白ブドウ品種で、晩熟で酸が強いのが特徴です。

フランチャコルタのDOCG規定(DOCG認定は1995年)では、エルバマットの使用は認められていませんでしたが、2017年の規定改定により10%以下の使用が認められました。

果皮が厚く、病害にも強い品種で、リンゴ酸がとても多いいため、長熟に向くだけでなく、地球温暖化にも役立つと期待されています。

フランチャコルタ生産者協会からの実験依頼で、ボノミでは2010年に植樹。

他と違う個性を与える役割をしてくれるブドウ品種として、ボノミでは、ワインへの使用が認められた2017年ヴィンテージの「Dosage Zero 2017」に10%ブレンドしています。

 

 

ボノミは、エルバマットの栽培をはじめ、2019年にBIO認証の取得と、常に革新を行ない、モンテ・オルファノの特殊なテロワールを表現することをコンセプトとしたワイナリーです。

 

 

ワイナリーが創設されたのは1985年。

2008年にパラディンファミリー(ヴェネト州の生産者)が購入し、以降はパラディンファミリーによって運営されています。

運営は変わりましたが、1985年以来のスタッフ、シェフ・ド・カーヴのルイジ・ベルシーニさんが今なお健在で、区画の特徴を知り尽くしているのが強みだそうです。

 

なお、フランチャコルタとして使用が認められている基本的なブドウは、ピノ・ネロ(ピノ・ノワール)、シャルドネ、ピノ・ビアンコ(50%以下)になります。

 

 

 

以上のことを踏まえ、3本のフランチャコルタを試飲しました。

 

Castello Bonomi Franciacorta Cuvèe 22 NV DOCG

 

キュヴェ22(ヴェンティデューエ)は、シャルドネ100%で、22区画のブドウをブレンドしてつくられた、エントリーレベルのフランチャコルタ。

南向き石灰土壌で、熱風が吹き、日中は暑いものの、夜には温度が下がります。

瓶内二次熟成30カ月(テクニカルデータでは24カ月)。

ドサージュ6g/LのBrut、アルコール12.5%

一番やわらかく、飲みやすいキュヴェで、より食事に合うとのこと。

 

飲んでみると、泡がソフトで、やわらかなタッチですが、酸がしっかりあり、ミネラリーで、クール&フレッシュ。塩味も少々感じました。

フードとのペアリングを難しく考えることなく、リラックスしながら楽しめるキュヴェだと思いました。

※希望小売価格:4,400円(税抜)

 

 

Castello Bonomi Franciacorta Brut Cru Perdu 2011 DOCG

 

Cru Perdu(ペルドゥ)は、ピノ・ノワールの古木の畑名から。

森の中に隠れるようにあった、忘れられていた畑で、樹齢35年ですが、クローンは古いかもしれないそうです。

このキュヴェの構成は、シャルドネ70%+ピノ・ノワール30%

区画ごと、畑ごとに何度も収穫しています。

瓶内熟成期間は60カ月(5年)。ドサージュは4g/L。

 

プレゼンテーションの中で紹介されたヴィンテージは「2014年」でした。

フレッシュでエレガントで、ピノ・ノワールはスケールが大きいワインになるといいます。

食事に合わせやすく、鶏やうさぎ、牛肉のタルタルやカルパッチョ、焼き鳥もおすすめとか。

 

私のところに届いたのは「2011年」

この15年でベストヴィンテージだそうで、ラッキーでした

色濃く、うまみも濃く、凝縮感があります。

しなやかで、熟成のうまみ、複雑味があり、塩味もやや感じるふくよかなボディで、余韻が長く、とてもエレガント。これは素晴らしい!

2014年のペアリングで挙げていた料理よりも、もう少し洗練された料理が合うのではないかと感じました。

※希望小売価格:5,800円(税抜)(2011年)

 

 

Castello Bonomi Franciacorta Millesimato Dosage Zero 2012 DOCG

 

ピノ・ノワール50%+シャルドネ50%のキュヴェで、ドサージュはゼロ

ブドウがしっかりと熟しているので、ドサージュゼロが可能だそうです。

2012年は暑い年でしたが、透明感のある酸が特徴です。

シャルドネの10%はフレンチオークのバリック樽で熟成させています。

瓶内二次熟成6年!

 

ボノミでは、テロワールを明確に表現するために残糖を少なくしているとのこと。

 

 

飲んでみると、辛口ですが、ボディに厚みがあり、酸も厚みがあり、骨太でボディがしっかりとしています。

より熟したニュアンスがあり、トロピカルフルーツ的な印象も感じました。

※希望小売価格:10,000円(税抜)(2010年)

 

 

 

BONOMIのフランチャコルタを飲んで感じたことは、

 

エリア最南のモンテ・オルファノ山の南側という気候も土壌も、他のフランチャコルタとまったく違う点がユニーク

 

ユニークな土壌で育った長期熟成のポテンシャルのあるブドウを使い、より長い瓶内二次熟成を行なっていること、

それにより、長期熟成の可能性をもつエレガントなワインをつくっている点を大いに評価したいと思います。

 

あと、飲んだ時にミネラル感やほのかな塩味を感じたのは、ここの土地が元々は海底だったことによるかと思いますが、ほかのキュヴェでも感じるのか気になりました。

 

今回のプレゼンテーションでは3アイテムのみ試飲しましたが、日本には他にいくつかのキュヴェが輸入されていますので、気になった方は、ぜひ試してみてください。

個人的なイチオシは2番目に紹介した「Brut Cru Perdu 2011」で、内容と価格を考えると、ありえないほどのお買い得!

 

瓶内二次熟成が長いので、シュワシュワ感よりも、しっとり落ち着いた熟成感を楽しみたい方にオススメしたい生産者です。

パラディンの運営に変わり、近年は国内外のアワードを次々と獲得しているということですが、飲んで納得でした。

 

※輸入元:AVICO

 


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