今年も少しずつ押し詰まってきました。
うちは誰も来ないし、気楽なんですが、年末年始にお客さまを迎える予定のある方は、ごちそう作りが大変ですよね。
日本の定番のおせち&和食も用意するでしょうが、だんだんと飽きてきますから、目先を変えたものを出したいものです。
そんな時に頭に入れておくといいのが、
イタリアの パルマハムとパルミジャーノ・レッジャーノチーズ
この秋に、イタリアの
パルマハム協会(1963年設立)と
パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会(1934年設立)の主催により、飯田橋の「ルッコリーナ」にてプレス対象のプレゼンテーションが行なわれたのですが、その時の講師が、
食文化研究家の北村光世さんでした。
北村光世さんは、青山学院大学の教授を退任後、食と文化の研究の道に進み、現在は食文化研究家として日本とイタリアの食文化交流に尽力されていいます。
実は私、北村さんが1996年に発行した
「オリーブオイルのごちそう」という本を昔から持っていまして、その著者の話を聞けるということで、ワクワクしながら伺いました
パルマハムとパルミジャーノ・レッジャーノについては、ここで何回も紹介していますので、今回は北村さんのお話を中心に紹介したいと思います。
パルマハムとパルミジャーノ・レッジャーノは、どちらも北イタリアの
エミリア・ロマーニャ州パルマ地方の限定された地域で作られた原産地呼称保護(DOP)製品です。
北村さんが指しているのがパルマ地方。
パルマハムの原材料は、特別な飼料で育てられたイタリア豚と塩のみ。保存料は一切入っていません。
糸で縛って成形する方法(ノンプレス)と、型に入れて圧力をかけて成型する方法があり、写真のパルマハムは前者です。
パルマハムの正式名称は
プロシュット・ディ・パルマ(Prosciutto di Parma)で、プロシュットは“乾かす”が語源だそうです。
プロシュットはイタリア各地で作られていますが、地方によって乾かし方に違いがあります。
パルマでは塩漬けされた豚のもも肉を約100日間冷蔵した後、風通しのいい部屋に吊るし、約3カ月間風に当てます。
その後、別の熟成庫に移し、長期最終熟成を行ないます。(合計12カ月以上)
馬の骨で作った細長いピックをハムの5カ所に刺し、匂いをチェックすることで熟成を確認するのだそうです。
この時の匂いが臭いと腐敗しているので、出荷できません。
乾燥に適した場所としては、山麓、山の谷間などがあります。
豚のもも肉は大きくなるほど乾かすのが大変で、下手をすると腐敗してしまいますので、気温の高い南の産地では小さいサイズのものが多く、逆に、冷涼で乾燥した地域では大きなサイズが見られる、というわけです。
乾かす加減ですが、
パルマの場合、乾かしすぎないよう、しっとりと仕上げるようにしているそうで、日本人はしっとり感を好むので、パルマハムは日本人好みといえるでしょう。
ソフトでしっとり、塩気もマイルドで、いくらでも食べられます。
北村さんいわく、「本当はスライスされてパッケージされたものじゃなく、切りたてのパルマハムを食べてほしい。日本のお刺身と同じこと」。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/92/1643fb753081e8d6f5f9a9075dd0ac71.jpg)
専用スライサー
切りたてはたしかに文句なくおいしいです。
専用スライサーで、できるだけ薄くスライスするのがおいしさの秘訣です。
ですが、生ハムのスライサーがある家庭なんてありませんから、スライサーのある店で食べるか、店頭でスライスしてくれる専門店などで買うのがベストでしょう。
でも、手軽さを考えたら、スライスパックされたものを活用するのも手だと私は思います。
パルマハムは
部位によって食感が変わります。
大きな断面の部分(右)と真ん中の部分(中央)では、前者がよりソフトです。
膝に近い筋のある部分(左)は「ガンベッティ」と呼ばれ、肉質は固いですが、身が引き締まっていて、味わいが濃厚です。
食べ比べると、左の方が肉質が締まっていて、右の方がしっとりやわらかでした。
よりソフトでしっとりしている方が大きな断面部分をスライスした方です。
「ガンベッティ」は薄切りにせず、こんなふうにカットし、そのまま食べたり、手巻き寿司の具に使ったりするといいそうです。
私も食べてみましたが、噛みごたえがあり、これはうまい!
ワインはもちろんですが、日本酒にも合いそう
酒飲みは、確実に「ガンベッティ」が好きですね~(笑)
パーティーやおもてなしなら、
フルーツとの組み合わせが手軽でオススメです。
このお皿では、メロン、イチジク、ブドウを添えています。
パルマハムの塩気とフルーツの甘みがバランスよく、華やかに演出できるのもいいですね。
フルーツと組み合わせるなら、ソフトでしっとりした部位が合います。
生ハム×アボカド もオススメ
紫玉ねぎと酢の寿司めしを使った
手巻き寿司の具にパルマハムを入れてみました。
寿司めしには砂糖は入っていません。
パルマハムの手巻き寿司、意外ですが、おいしい
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/heart_pink.gif)
年末年始は手巻き寿司もよく登場するかと思いますが、パルマハムの具材は珍しいですし、喜ばれそうです。
きゅうりのパルマハム巻 も見た目が楽しく、おいしい一品
お次はチーズの
パルミジャーノ・レッジャーノ。
40kgもある大きなチーズで、必ず
“PARMIGIANO REGGIANO”の焼き印 があります。
チーズを叩いて音を聞き、専用器具で中をチェックし、審査をパスしたものだけに焼き印が付けられ、パルミジャーノ・レッジャーノとして販売されます。
パスしなかったチーズは、パルミジャーノ・レッジャーノを名乗れませんが、若い普通のチーズとして販売されます。
大きなチーズですので、まずは大きくカットされた後、
専用のアーモンド型ナイフで切り出したり、薄切りにしたり、すりおろしたりして使います。
アーモンド型ナイフでひとくち大に切り出した“かち割り”(右上)、すりおろしたもの(手前)、薄くスライスしたもの(左上)
切り方によって、食べた時の味の感じ方も違ってきます。
濃厚な味わいを楽しむなら、かち割りをそのまま食べるのがオススメで、朝食、おやつはもちろん、ワインのつまみにもピッタリです。
薄くスライスしたり、すりおろしたものは、料理に使いやすくなります。
パルミジャーノと洋梨のサラダ
スライスしたパルミジャーノとカットした洋梨を皿に並べ、オリーブオイルをかけ、グリーンの葉っぱを飾るだけ。塩は使いません。
見た目がとても上品で、味もよく、前菜にオススメの一皿です。
パルミジャーノ・レッジャーノごはん
温かいごはんにパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりすりおろし、オリーブオイルをかけただけの超カンタンごはんです。
調味料は一切使わず、パルミジャーノの塩気とうま味だけで絶品ごはんが完成。
パルミジャーノごはんにパルマハムの「ガンベッティ」を混ぜ込むと最強
イタリアでよく使われる食材に
「ラディッキオ」があります。
日本では「チコリ」として知られている野菜です。
これをカットして耐熱皿に敷き、パルミジャーノ・レッジャーノをすりおろしてオーブンで焼きます。
塩、胡椒なしです。
オリーブオイルをかけ、
「ラディッキオ・ロッソのパルミジャーノ・レッジャーノ焼き」完成!
野菜とチーズだけなのに、豪華な一皿になりました。
たっぷり食べても罪悪感がない料理です(笑)
他の野菜、たとえば、やわらかいキャベツなどでもできそうな気がします。
脂が少なく、やわらかな肉質の仔牛で作った
「サルティンボッカ ローマ風」。
ハーブのセージが効いています。
ラディッキオのオーブン焼きを付け合せにしましたが、かなり手が込んだ料理に見えます。
面白い、ぜひやってみたい、と思ったのが、
パルミジャーノ・レッジャーノの皮焼き。
チーズの固い皮を切り出し、フライパンで両面を焼くだけ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/c2/9572a59b994f13fee9ff526498771ee8.jpg)
押さえつけながら両面をしっかり焼きます
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/46/b1127bd12b0f0822564dc6ccaa3be879.jpg)
カットすればOK
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/6a/e3c63a9ca708e4deed3c4d11eb17c06e.jpg)
おいしいおつまみになります
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/7c/eb92890a98cf9c6ae1ad1d0e15417c03.jpg)
小さな部分も同様に焼いてみましょう
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/40/00c5909c0333574d60b0e810f8b20dfc.jpg)
食感がちょっとずつ違うのも楽しい&おいしい
パルミジャーノ・レッジャーノのかち割りに
クルミを添え、
長期熟成させたバルサミコ(モデナ産)をちょいと付けながら食べるのもおいしかったです。
パルマハム、パルミジャーノ・レッジャーノのお供にいただいたイタリアワイン。
パルマハムにはランブルスコ(左)が最強!
洋梨とパルミジャーノのサラダには白ワインのアルネイス(中)が合いましたし、アルコール度数6%の赤ワインのフリッツァンテ(右)も最高においしかった~
生ハムとチーズというシンプルな食材ながら、深いうまみがあり、そのままでもアレンジしてもおいしいパルマの生ハムとパルミジャーノ・レッジャーノは、普段から覚えておくとお役立ちです。
今回、すぐ使えるアレンジ例をいくつか紹介したので、ぜひ、この年末年始に活用してみてくださいね。
主催:パルマハム協会、パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズ協会
会場:
ルッコリーナ
東京都千代田区富士見2-10-2 飯田橋グラン・ブルーム サクラテラス 2F
https://r.gnavi.co.jp/ewm23er70000/
「ルッコリーナ」では自社直輸入のワイン&イタリア食材で作った料理が楽しめます。
かわいいエチケットのオリーブオイルは、北村さんが関与しているとか?
また改めてゆっくりお邪魔したいと思った、素敵なお店でした。