久しぶりにイタリアワイン生産者の紹介です。
ワイン生産者の形態はいくつかあり、個人生産者、ネゴシアン、協同組合などなどあり、規模もさまざま。
ブドウ栽培者が集まって構成する協同組合のワインは、かつては、
協同組合だからこんなものかな~という感じでしたが、ここ近年の協同組合のワインは、どこも品質が良く、飲むたびに感心しています。
中でもイタリアとフランスの協同組合のワインは、飲む機会が多いこともあり、品質の良さと価格のバランスの良さを実感しています。
今回紹介する生産者は協同組合す。
昨年初めて飲んだ時もいいなと思いましたが、この5月に再度飲む機会があり、やっぱりいいな~!と思ったのです。
それは、イタリアはプーリア州の CANTINE LIZZANO(リッツァーノ)
プーリアはイタリア半島をブーツに見立てた時、カカトにあたる州です。
Cantine Lizzano
創業は1959年、組合員数は400、500ヘクタールの畑を所有し、年間生産量50万ヘクトリットルという、ヨーロッパで2番目に大きなワイン供給会社になります。
巨大規模の協同組合ですが、
『農家がつくるブドウがちゃんとしたものでないと良いワインができない」と、今回来日したコマーシャル担当のジュゼッペ・コネッラさん。
ジュゼッペ・コネッラさん
「Lizzanoのモットーは エレガントなワインをつくること」
生産規模が大きいため多彩なラインナップがあり、全体的にはプライスコンシャスネスなワインとなり、市場で高い評価を受けているといいます。
国際市場でも認知されたい、ということで、
昨年から新パッケージを採用し、イメージを変更することでよりインターナショナルなブランドにしていきたいそうです。
実際、3年前からは国際市場に進出し、まず日本、次に中国、アメリカと展開し、各国に対応したマーケティングを行なっています。
生産しているワインの原産地呼称はふたつで、
ひとつは、協同組合名にもなっている DOC Lizzano。
白ロゼ赤のスティルワインとスパークリングワインがあります。
Cantine Lizzanoでは、DOC Lizzanoの90%を生産しています。
もうひとつは、DOCG Primitivo di Manduria Dolce Naturale。
プリミティーヴォでつくる赤の甘口ワインになります。
今回のプレゼンテーションで紹介してくれたワインは5つ。
左から)
Baylon Bianco Frizzante Salento IGP
微発泡のフリッツァンテで、使用ブドウはシャルドネ、マルヴァジア・ビアンカ。
海の近くの、白い砂地土壌の畑です。
2023年は暑い年だったので、早摘みをしてフレッシュさを残しています。
飲んでみると、本当にフレッシュ!
果実の甘みもナチュラルで、とても心地よい、肩の力を抜いて楽しめるワインだと思いました。
“Macchia” Bianco Lizzano 2023(DOC Lizzano)
マッキア ビアンコ リッツァーノは、フレッシュ感を与えるシャルドネ50%と、ボディを与えるトレッビアーノ50%をブレンドした白ワイン。
さっぱりとした辛口で、酸がしっかりありますが、ざらつきはありません。
ハーブっぽいニュアンスがあり、柑橘の青い皮のビター感があり、洗練された味わいです。
生魚もいいですが、キスの天ぷら、タラの芽の天ぷら(春の山菜類など)とか、油を使った料理は合いそうです。
“Macchia” Malvasia Nera Lizzano 2020(DOC Lizzano)
マッキア マルヴァジア・ネーラ リッツァーノは、マルヴァジア・ネーラ100%の赤ワイン。
マルヴァジア・ネーラと聞くと、ガツンと濃いワインだよね?と想像しがちですが…
このワインは、ブドウ樹1本あたりぶどうひと房とストイックに制限しています。
当然、リッチで濃厚で力強いワインになりがちですが、このワインは酸味が強く、甘みもあるため、パワーはあるけれどエレガントなワインに仕上がっています。
実際に飲んでみると、色は確かに濃く、深いです。
アタックはなめらかで、熟成感があり、甘みとスパイス感も加わり、果実感豊かで、ドライフルーツのニュアンスもあります。
いい感じにこなれ、まったり感があり、今いい飲み頃じゃないでしょうか。
ちなみに、2番目の白にも“Macchia”(マッキア)が入っていますが、シリーズ名です。
マッキアの意味は「染み」で、コーヒーにキャラメルマキアートとかありますが、同じニュアンスの意味だそうです。
ワインのラベルを見ると、ワインの染みがにじんだようなデザインになっていますね。
“Manorosso” Negroamaro Lizzano 2019(DOC Lizzano)
マーノロッサ ネグロアマーロ リッツァーノは、ネグロアマーロ100%の赤ワインです。
凝縮感があり、後味がしっかり辛口の味わいで、リッツァーノで一番売れているワインとのこと。
エチケットのデザインが指紋になっていますが、伝統的な農家の人の指紋を描き、土着のワインであることをアピールしているそうです。
色濃く、果実味がしっかりあり、タンニンも豊富ですがなめらかで丸みがあり、スパイシーでリッチ、厚みがあります。
私もこれは好きで、一番人気、というのがよくわかります。
2019年でもいい感じですが、酸もまだしっかりあるので、もう少し熟成させたらまたさらにおいしくなりそうな気がします。
“Mandoro” Primitivo di Manduria Dolce Naturale 2022
(DOCG Primitivo di Manduria Dolce Naturale)
マンドーロ プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリアは、プリミティーヴォ100%の甘口赤ワインです。
ブドウの水分が飛んで糖度が高くなる9月末に収穫します。
アルコール度数は14~14.5%と高く、酸もしっかりあり、すべての要素が高くなっています。
コーヒーやアーモンドのニュアンスが感じられるということですが…
口あたりよく、甘い!ですが、酸があり、複雑味があり、余韻も長く、口にするだけでうっとりのエレガントな甘口ワインです。
ワイン単体で楽しむのもいいですが、アーモンドやチョコを使ったスイーツと一緒に飲むのもいいですね。
マスカルポーネの上品な酸とクリーミーなタッチのティラミスも合います。
Lizzanoのワインは多彩なラインナップがあります。
今回紹介したワインは、プレゼンテーション時点ではまだ日本に輸入されていませんでしたが、Lizzanoの別のシリーズはすでに輸入されていたりします。
覚えておきたいのは、「Lizano」の名前のワインなら安心して買える、ということ。
ワイン選びには大事なポイントです