赤ワインを紹介した 【前編】 に引き続き、後編では 白ワイン を紹介します。
先週来日した豪州バロッサのBethany Wines のジェフを囲んだ会では、赤ワインだけでなく、白ワインもありました。
“料理と一緒に楽しむワイン” がベサニーの哲学ですから、白ワインは料理とともに紹介します。
[Riesling Flight]
左)Bethany Riesling Eden Valley 2012
右)Bethany Eden Valley Reserve Riesling 2009
「バロッサ・ヴァレーの東側には標高の高いイーデン・ヴァレーがあり、バロッサの中でも涼しいエリア。ブドウに酸がしっかりと残り、この酸がワインにきれいに出るため、リースリングに向く」と、ジェフの談。
リースリング好きの方なら、バロッサの“イーデン・ヴァレー”の名前はお馴染みですね。
スタンダードのリースリングはまだまだ若々しく、タッチが非常に繊細。
リザーヴ・リースリングはリースリングの特性がよく出ていて、ミネラル感で引き締まりますが、芯にあるのはしっかりとした果実味。1995年からスクリューキャップに変えたそうです。
ベサニーの祖先はシレジア(現在のポーランドのあたり)からのドイツ系移民です。
そのため、ドイツのスタイルにのっとったワイン をつくっています。
このリースリングも、もちろんドイツスタイルを意識しています。
「味わいはドライで、シトラス、ライム、少しリンゴの風味があり、デリケートなワインなので、料理もデリケートなものが向く。甲殻類はよく合い、熟成したリースリングなら、ハーブを使ったものもいい」と、ジェフ。
Scallop & Snow Crab Tartare (北海道産ホタテとズワイガニのタルタル)
リースリングに合わせたのは、パクチーとニョクマムが使われたエスニックなタルタル!
パクチーは意外でしたが、思いのほか合いますね!
[White Flight]
左)Bethany Chardonnay 2011 右)Bethany Semillon 2011
セミヨンはピリリとしたスパイス感があり、シャルドネは酸がクッキリとし、リッチすぎないスタイルで、どちらもボディにメリハリがあります。
セミヨン が豪州に最初に植えられた頃は、甘いワイン用だったそうですが、現在は辛口の白ワインとしてのスタイルが確立しています。
ベサニーのセミヨンは、オークの新樽を使い、オリの上で3カ月熟成させています。
「セミヨンはデリケートなフルーツの味わいがある。魚介料理や、チキン、ポークにもオススメ」と、ジェフ。
ベサニーの シャルドネ は、バロッサ・ヴァレーとイーデン・ヴァレーのブドウを50%ずつブレンドするのが例年ですが、2011年はバロッサ70%+イーデン30%。冷涼な年だったため、トロピカルな果実味と香りが華やかなバロッサのブドウの比率を高め、フレッシュで酸がキレイに出るイーデンのブドウとのバランスを取っているとのこと。収穫時期は、バロッサの方が約2週間早くなります。
「2つの産地のブドウが合わさることで退屈な味にならない。フランスのシャルドネと似ているかも?」と、ジェフの談。
“Mitsuse-Dori" Stewed in Light-Cream (みつせ鶏の軽いクリーム煮こみ)
セミヨンとシャルドネに合わせたのは、チーズの風味を加えたクリーム煮込み。
みつせ鶏は佐賀県の地鶏。みっちりした肉質で、クリーミーなソースとの相性バッチリでした。
オーストラリアでの白ワインのトレンドをジェフに訊いたところ、
「以前は濃厚なシャルドネが人気だったが、その次にソーヴィニヨン・ブランが人気となり、今はまたシャルドネに戻ってきている。ただし、リッチすぎないもの。ベサニーのシャルドネも、フレンチオークを使うけれど、すべて新樽ではなく、何年か使用したニュートラルオークを使う」
白だけでなく、赤も 「バロッサはエレガントな方向に向かっている」と、ジェフは続けます。
ベサニーでは流行を追ったワインづくりは行ないませんが、元々のベサニースタイルが、現代のオーストラリアの人々に支持されているようですね。
さて、せっかくですので、この後の料理も紹介しましょう。
Pizza with Petite Tomate & Bacon (プチトマトとベーコンのピッツァ)
スパイシーで滋味な 「Bethany Old Vine Grenache 2009」 に合わせて。
ベサニーのグルナッシュとピッツアとの組み合わせ、キケンすぎるほど進みます(笑)
Penne with Berkshire Pork Rague (鹿児島黒豚のラグーのペンネ)
黒豚のバラ&肩肉を使ったラグーソースがからんだ、ガッツリ食べごたえのあるペンネには 「Bethany Shiraz 2010」 がピッタリでした。
House made Bread with tono`s Original Dukkah (自家製パン&tonoオリジナル・ダッカー)
Medallione of “Eden-Hope Wine Lamb” (エデンホープ・ワイン・ラムのメダリオーネ)
肉の香りと旨味をシンプルに味わうこの料理には、ナチュラルでしなやかな 「Bethany LE Shiraz 2008」 がよく合いました。肉をかみしめ、ワインを飲み、また肉…。至福です。
Formaggio Misto:Beemster Classic (18month)、Tete de Moine、Delice D`argental
(チーズの盛合わせ:ベームスター・クラシック、テット・ド・モアンヌ、デリス・ダルジェンタル)
チーズと 「Bethany GR 11 Reserve Shiraz 2006」 を合わせる贅沢さよ!
ここまで来たら、もうこれでシメでしょう、と思ったところに、リースリングのレイトハーヴェストの甘口ワインが登場しました。
Bethany Select Late Harvest 2005
すでに思考は止まっています(笑)
濃厚かつピュアな甘さを堪能させていただきました。
Plum Granite(スモモのグラニテ)
最後は、ハチミツ入りのグラニテでさっぱりと。
Bethany (ベサニー)の名前の由来は、1844年に移住してきた際に住んだ村“ベサニー村”から。当時は80人の小さな村でした。
それから137年後の1981年に、5代目となったジェフと弟のロバートは、かつて石切り場だった土地を利用してワイナリーを建てました。ワイナリーは、重力を利用したグラヴィティシステムにより、自然なワインづくりができる構造になっています。
【前編】でも記述したように、現在、「Bethany Wines」は国内外で高い評価を受けています。しかしながら、現在、日本には輸入されていません。かつては輸入されていた時代もありましたが、今は日本国内で入手できないのが残念です。
今回ベサニーのワインを、ワインメーカーのジェフと一緒に日本で飲むことができたのは、ベサニーと親交の深い「Ristorante tono;4122」のシェフ&マダムのおかげでした。シェフ&マダム、ありがとうございました!
私が以前にリースリング・リザーヴ1999年を飲んだのも、この店でした。
店のセラーには、ベサニーのワインがまだこっそりと眠っているかもしれませんね
Ristorante tono;4122
東京都文京区千駄木4-1-22
http://www.tono4122.com/
先週来日した豪州バロッサのBethany Wines のジェフを囲んだ会では、赤ワインだけでなく、白ワインもありました。
“料理と一緒に楽しむワイン” がベサニーの哲学ですから、白ワインは料理とともに紹介します。
[Riesling Flight]
左)Bethany Riesling Eden Valley 2012
右)Bethany Eden Valley Reserve Riesling 2009
「バロッサ・ヴァレーの東側には標高の高いイーデン・ヴァレーがあり、バロッサの中でも涼しいエリア。ブドウに酸がしっかりと残り、この酸がワインにきれいに出るため、リースリングに向く」と、ジェフの談。
リースリング好きの方なら、バロッサの“イーデン・ヴァレー”の名前はお馴染みですね。
スタンダードのリースリングはまだまだ若々しく、タッチが非常に繊細。
リザーヴ・リースリングはリースリングの特性がよく出ていて、ミネラル感で引き締まりますが、芯にあるのはしっかりとした果実味。1995年からスクリューキャップに変えたそうです。
ベサニーの祖先はシレジア(現在のポーランドのあたり)からのドイツ系移民です。
そのため、ドイツのスタイルにのっとったワイン をつくっています。
このリースリングも、もちろんドイツスタイルを意識しています。
「味わいはドライで、シトラス、ライム、少しリンゴの風味があり、デリケートなワインなので、料理もデリケートなものが向く。甲殻類はよく合い、熟成したリースリングなら、ハーブを使ったものもいい」と、ジェフ。
Scallop & Snow Crab Tartare (北海道産ホタテとズワイガニのタルタル)
リースリングに合わせたのは、パクチーとニョクマムが使われたエスニックなタルタル!
パクチーは意外でしたが、思いのほか合いますね!
[White Flight]
左)Bethany Chardonnay 2011 右)Bethany Semillon 2011
セミヨンはピリリとしたスパイス感があり、シャルドネは酸がクッキリとし、リッチすぎないスタイルで、どちらもボディにメリハリがあります。
セミヨン が豪州に最初に植えられた頃は、甘いワイン用だったそうですが、現在は辛口の白ワインとしてのスタイルが確立しています。
ベサニーのセミヨンは、オークの新樽を使い、オリの上で3カ月熟成させています。
「セミヨンはデリケートなフルーツの味わいがある。魚介料理や、チキン、ポークにもオススメ」と、ジェフ。
ベサニーの シャルドネ は、バロッサ・ヴァレーとイーデン・ヴァレーのブドウを50%ずつブレンドするのが例年ですが、2011年はバロッサ70%+イーデン30%。冷涼な年だったため、トロピカルな果実味と香りが華やかなバロッサのブドウの比率を高め、フレッシュで酸がキレイに出るイーデンのブドウとのバランスを取っているとのこと。収穫時期は、バロッサの方が約2週間早くなります。
「2つの産地のブドウが合わさることで退屈な味にならない。フランスのシャルドネと似ているかも?」と、ジェフの談。
“Mitsuse-Dori" Stewed in Light-Cream (みつせ鶏の軽いクリーム煮こみ)
セミヨンとシャルドネに合わせたのは、チーズの風味を加えたクリーム煮込み。
みつせ鶏は佐賀県の地鶏。みっちりした肉質で、クリーミーなソースとの相性バッチリでした。
オーストラリアでの白ワインのトレンドをジェフに訊いたところ、
「以前は濃厚なシャルドネが人気だったが、その次にソーヴィニヨン・ブランが人気となり、今はまたシャルドネに戻ってきている。ただし、リッチすぎないもの。ベサニーのシャルドネも、フレンチオークを使うけれど、すべて新樽ではなく、何年か使用したニュートラルオークを使う」
白だけでなく、赤も 「バロッサはエレガントな方向に向かっている」と、ジェフは続けます。
ベサニーでは流行を追ったワインづくりは行ないませんが、元々のベサニースタイルが、現代のオーストラリアの人々に支持されているようですね。
さて、せっかくですので、この後の料理も紹介しましょう。
Pizza with Petite Tomate & Bacon (プチトマトとベーコンのピッツァ)
スパイシーで滋味な 「Bethany Old Vine Grenache 2009」 に合わせて。
ベサニーのグルナッシュとピッツアとの組み合わせ、キケンすぎるほど進みます(笑)
Penne with Berkshire Pork Rague (鹿児島黒豚のラグーのペンネ)
黒豚のバラ&肩肉を使ったラグーソースがからんだ、ガッツリ食べごたえのあるペンネには 「Bethany Shiraz 2010」 がピッタリでした。
House made Bread with tono`s Original Dukkah (自家製パン&tonoオリジナル・ダッカー)
Medallione of “Eden-Hope Wine Lamb” (エデンホープ・ワイン・ラムのメダリオーネ)
肉の香りと旨味をシンプルに味わうこの料理には、ナチュラルでしなやかな 「Bethany LE Shiraz 2008」 がよく合いました。肉をかみしめ、ワインを飲み、また肉…。至福です。
Formaggio Misto:Beemster Classic (18month)、Tete de Moine、Delice D`argental
(チーズの盛合わせ:ベームスター・クラシック、テット・ド・モアンヌ、デリス・ダルジェンタル)
チーズと 「Bethany GR 11 Reserve Shiraz 2006」 を合わせる贅沢さよ!
ここまで来たら、もうこれでシメでしょう、と思ったところに、リースリングのレイトハーヴェストの甘口ワインが登場しました。
Bethany Select Late Harvest 2005
すでに思考は止まっています(笑)
濃厚かつピュアな甘さを堪能させていただきました。
Plum Granite(スモモのグラニテ)
最後は、ハチミツ入りのグラニテでさっぱりと。
Bethany (ベサニー)の名前の由来は、1844年に移住してきた際に住んだ村“ベサニー村”から。当時は80人の小さな村でした。
それから137年後の1981年に、5代目となったジェフと弟のロバートは、かつて石切り場だった土地を利用してワイナリーを建てました。ワイナリーは、重力を利用したグラヴィティシステムにより、自然なワインづくりができる構造になっています。
【前編】でも記述したように、現在、「Bethany Wines」は国内外で高い評価を受けています。しかしながら、現在、日本には輸入されていません。かつては輸入されていた時代もありましたが、今は日本国内で入手できないのが残念です。
今回ベサニーのワインを、ワインメーカーのジェフと一緒に日本で飲むことができたのは、ベサニーと親交の深い「Ristorante tono;4122」のシェフ&マダムのおかげでした。シェフ&マダム、ありがとうございました!
私が以前にリースリング・リザーヴ1999年を飲んだのも、この店でした。
店のセラーには、ベサニーのワインがまだこっそりと眠っているかもしれませんね
Ristorante tono;4122
東京都文京区千駄木4-1-22
http://www.tono4122.com/