イタリアチーズの魅力を再発見【紹介編】 からの続きです
イタリア産チーズの知識を深め、その魅力を伝えることを目的に、業界関係者を対象に6月に開催されたイタリアチーズ料理講習会の「イタリア産チーズ料理」について、もう少し詳しく説明します。
500種以上のイタリアチーズがある中、今回は日本でおなじみの4種のイタリアチーズを使い、5つの料理メニューが紹介されました。
4種のイタリアチーズ
「グラーナ・パダーノDOP」(左上)、「モッツァレッラ」(中央手前)、「ゴルゴンゾーラDOP」(右)、「マスカルポーネ」(左手前)
料理のデモンストレーションは西口大輔さん
「リストランテ ヴォーロ・コズィ」(東京都文京区)オーナーシェフ
※1993年に渡伊し4年間修業(ヴェネト州、ロンバルディア州)
2000年に再び渡伊、ロンバルディア州のリストランテのシェフを5年務める
今回のデモンストレーションもパパっと手際よく、さすがプロの料理人は違うわ~、と、感心することしきり。
1.グラーナ・パダーノDOPのコンポズィツィオーネ(計7品)
グラーナ・パダーノは、パルミジャーノ・レッジャーノと似た大型のハードチーズで、乳種は牛乳。
北部イタリアを流れるポー川の流域パダーノ平原が名前の由来で、イタリアのDOPチーズの中で生産量NO.1の、イタリアでは定番中の定番チーズ。
手に入りやすい定番チーズということで、西口シェフはひとつのチーズで7品のおつまみを作ってくれました。
奥の横長の大きなサイズのものが「テーゴラ」で、イタリア語で「瓦」のこと。
手前、左から ミニピッツア、ソッフィアート、ムース、バーチ・ディ・ダーマ トリュフ風味、グラーナ・パダーノのスライス、ビスコッティーニ、グリッシーニ。
個々の作り方は割愛しますが、一番簡単にできそうな「テーゴラ」(瓦)の作り方だけ紹介します。
グラーナ・パダーノの粉チーズを温めたテフロン加工のフライパンに円形に広げ、チーズに焼き色がついてきたらひっくり返して両面を焼き、温かいうちに取り出して麺棒でカーブをつけます。くるんとした形が「瓦」のよう、というのが名前の由来です。
材料はチーズだけ。簡単にできるのに見栄えがいいので、ホームパーティなどにも使えそうだと思いました。
2.天然真鯛とイタリア産モッツァレッラのファゴッティーニ
刺身用の鯛をスライスしたものをラップの上に並べ、モッツアレラチーズに重しをして水をよく切ったものを上に載せていき、チーズを包み込みように茶巾に絞り、ラップのまま冷蔵庫で20~30分寝かせておきます。
皿に載せ、トマトソース、トマトゼリー、キャビアを添えて完成。
「ファゴッティーニ」は「布で包んだ」の意味。
今回はチーズを鯛で包みましたが、他の魚でもOKとのこと。
フレッシュなモッツアレラチーズは魚と合わせやすいということなので、包む魚を変え、添えるソースを変えたら、いろいろなバリエーションのファゴッティーニができそうです。
3.ゴルゴンゾーラDOPのムース ヘーゼルナッツのクロッカンテとブリオッシュ添え
ゴルゴンゾーラは青カビチーズ。
マイルドなドルチェとピリリと刺激的なピカンテの2タイプありますが、これにはドルチェを使っています。
ゴルゴンゾーラと生クリームを鍋に入れて火にかけてチーズを溶かし、水で戻した板ゼラチンを加え、粗熱が取れたら泡立てた卵白を加えて混ぜ合わせ、型に入れて冷蔵庫で冷やし固めてチーズムースを作ります。
砂糖は入らず、チーズの塩気のみの味付け。なのにじんわりうまい
4.イタリア産マスカルポーネのロートロ
「ロートロ」は「巻く」料理。
今回は、マスカルポーネチーズをメインに、少量のグラーナ・パダーノを使い、ミートソースやパン粉、トリュフオイルなどと一緒に混ぜたフィリングを、赤チコリや茹でたキャベツなどとともにパスタ生地で巻いています。
巻いたものはのり巻きのような外見です。
冷蔵庫で休ませたロートロをカットし、120℃のオーブンで焼いたら完成。
パスタ生地で巻いているので、ひときれでもボリュームがありました。
5.イタリア産マスカルポーネのジェラート
簡単なのにおいしい!私も作りたい!と思った極うまデザート
マスカルポーネ(500g)に粉糖(200g)を少しづつ加えながらホイッパーで混ぜ合わせ、さらに生クリーム(360g)も少しずつ混ぜ合わせていきます。
冷凍庫で一晩ねかして冷やし固めれば完成
マスカルポーネの風味が濃厚でクリーミーなジェラート。
これもホームパーティーで出したら、絶賛の嵐になるでしょう
シェフのレシピでは量が多いので、自分で作る場合は量を調整しようと思います。
以上、デモンストレーション料理をざっくりと紹介しました。
見て、食べて、思ったのは、イタリア人はチーズを料理に本当に上手に取り入れているなぁ、ということ。
チーズ自体が調味料、だし、になっていて、特別な味付けをしていないのにしっかりおいしく、すーっと自然に身体に入ってなじむような気がします。
私がイタリアを旅する時はワインがメインになりますが、次は地元のチーズ三昧、なんていう旅もいいですね
余談ですが、イタリア滞在経験の長い西口シェフのお話でおもしろい!と思ったのは、「イタリア料理の温度」のこと。
イタリアでは、日本の料理のように可能な限りアツアツで、とか、冷たいものはキンキンに冷やして、ということはなく、温度に関しては少しゆったりめになるそうです。
そういわれてみると、ほどよく舌になじむ温度のソースのパスタとか、あるある、です。
コロナもあり、しばらくイタリアに行けなかったので、これはもう行かなくちゃです