フランスのボルドーから若い世代を迎え、日本のワイン界キーパーソンとのパネルディスカッション が。9月12日に都内で開催されました。
ボルドーから来日したのは、
生産、研究、販売、それぞれの分野の
若手3名。
生産 -
Anais Maillet (アナイス・マイエ) ※画面左端
Chateau Lafon-Rochet AOCサン=テステフ 格付け第4級 栽培担当
研究 -
Axel Marchal(アクセル・マルシャル) ※画面右から2人目
2010年にボルドー大学醸造学博士号を取得後、研究員を経て、現在はコンサルタントとして活動。
販売 -
David Siozard (ダヴィッド・シオザール) ※画面右端
Vignobles Siozard 輸出営業担当
20代後半から30代の若い世代の彼らを迎えるのは、ちょうど1年前にマスター・オブ・ワインとなった
大橋健一さん(左から3人目)と、山梨県甲州市のワイナリー「中央葡萄酒」の栽培醸造責任者である
三澤彩奈さん。三澤さんはボルドー大学醸造学部留学の経験があり、アナイスたちと同世代です。
テーマ
「ボルドー新世代表 × 日本のワイン界キーパーソンが語る ボルドーワインの近未来像 」
1. ボルドーワインのニュートレンドとしての辛口白ワイン
2. エコロジーと持続可能な発展
3. ボルドーワインの多様性&輸出マーケットに向けての戦略とマーケティング
4. ワインのオークへの影響
各分野それぞれの代表者(ボルドー若手)が、ボルドーの過去・現在・未来について語り、日本の2人がそれを受けて語る、というパネルディスカッションでした。
ボルドーは
赤ワインのイメージが強い産地ですが、昔は
白ワインも約半分の生産シェアがありました。
現在のボルドーの辛口白ワインの生産シェアは
12%ですが、著名シャトーが実験的に白の生産に着手する動きがあり、ボルドーの白ワインは要注目です。
最近のボルドーの辛口白ワインを飲むと、私がワインを飲み始めた頃のボルドー白とはずいぶんとスタイルが違っているのを実感します。
近年の白ワインは、果実味がピュアで、クリーンで、透明感があり、アロマにも濁りがなく、明るい美しさを感じます。
この変化は、ボルドー大学ワイン醸造科学研究所長の
ドゥニー・デュブルデュー教授の功績によります。残念ながら、教授は今年7月に亡くなられましたが、直の弟子であるアクセルが教授の遺志を継いでいます。
エコやサステーナブルな視点については、これに取り組む生産者は世界でますます増えています。
ボルドーでも同様ですが、規模が大きい生産者が多く、オーナーが別にいるなどの点もあったり、小さな生産者は費用も人手確保が難しく、すんなりとはいっていません。
それでも、ボルドー全体の45%がなんらかの減農薬農法の認証を持っているとか。
産地が広いだけに、生産者個々ではなく、産地全体での取り組みが必須です。
マーケティングも非常に興味深いテーマです。
ボルドーといっても、小さな無名シャトーとメドックの一握りのトップクラスのシャトーとは深刻度が違います。
この難題に若い世代はどう取り組んでいるのか?
今週は、私もフランスでボルドー地方を回ります。
小さなシャトー、若手の生産者にも会えるようなので、じっくり見て、聴いてきたいと思います。