米カリフォルニア州のモデスト(サンフランシスコの約150km東の都市)に、
アーネストとジュリオのガロ兄弟(ゆえに、E.&J. Gallo)によって1933年に設立された
「E.&J. Gallo Winery」(
E.&J. ガロ・ワイナリー、以下 ガロ社)は、今や従業員数は6500人を超え、その売り上げ金額はアメリカNO.1!
現在は世界110カ国で販売され、押しも押されぬ、世界最大規模のワイナリーです。
とにかく巨大、お手頃価格のワインが多い、というイメージがありますが、1
00以上のブランドを傘下に持ち、しかも
プレミアムワイナリーが勢ぞろい、ということは、あまり知られていないかもしれません。
先月、ガロ社のアジア・パシフィック担当副社長のビル・マクモラン氏と、同社のグローバル・ソーシング・ディレクターで、マスター・オブ・ワインの称号を持つニコラス・パリス氏が来日。
左)
Bill MacMorran 右)
Nicholas Paris MW
パリスMW厳選のクオリティワイン3ブランドを、フードペアリングの提案とともに紹介してくれました。
William Hill Napa Valley Chardonnay 2016
ウィリアム・ヒル (William Hill) は、1972年創立で、2007年にガロ傘下となりました。
典型的でありながら、テロワールを最大限に生かした独自スタイルを確立したワインが特徴です。
ナパ・ヴァレー シャルドネ2016は、1年半アメリカンオークで熟成され、トロピカルフルーツのフルーティーさと、ほどよいオーキーなニュアンスのバランスが取れています。こってりしすぎない軽やかさ、なめらかさがあり、食事とも合わせやすいスタイル。
フェンネルの鉢植え仕立て 味噌とサワークリームのディップ添え
パリスMWのペアリングのオススメは、サーモンや大トロなど、リッチな味わいのシーフード。
酸味のあるサワークリームは、リッチさをカットするので、シャルドネ向きの食材。
ナッツ類もカリフォルニアのシャルドネにオススメ。
画像を撮り忘れましたが、
William Hill Napa Valley Cabernet Sauvignon 2014 もあり、凝縮感があって、かっちりとしたスタイルの正統派カベルネでした。
果実味も豊かで、ふくよかさもあり、リッチで複雑。
このタイプのカベルネに合わせる料理として、パリスMWのオススメは「和牛」。
黒毛和牛上クリ肉のロースト 黒トリュフ香るマデイラソース
和牛は安心感のあるペアリングで、甘みのある煮詰めたマデイラソースが、よりマッチングを強めているとのこと。
たしかに、これは最強のペアリング
※William Hillの輸入元:サントリー
MacMurray Russian River Pinot Noir 2016
マクマレー (MacMurray) は、1941年にソノマに移住してきたポーター家がプラム栽培を始めた農場でしたが、後継者がいなくなり、1941年に当時の人気俳優フレッド・マクマレーが買い取ったことから始まったワイナリーです。
ソノマのピノ・ノワールに特化したプレミアムブランドで、1996年にガロ社が買い取りました。
MacMurray Russian River Pinot Noir 2016は、海に近い4つの畑(100%自社畑)のブドウをブレンドしたピノ・ノワール。
ピュアな果実味と爽やかな酸、上質な苦みのあるタンニンが複雑に組み合わさり、それでいてやさしい味わいの赤ワインです。合わせる料理は、あまり味の強くないものがよさそう。
鴨の冷製スモーク ドライフルーツ添え
パリスMWのオススメは赤身肉、ビーフ、ラム、ダック、チキン、軽めのポークなど。
今回は、鴨をうすくスライスし、ピノ・ノワールの軽さと合わせました。
また、ドライフルーツを添えることで、酸+果実味+苦みのバランスをより複雑にし、より長い余韻を感じられるとのこと。私も、ドライフルーツはいい働きをしていたと思います。
※MacMurrayの輸入元:サントリー
Orin Swift mannequin 2016
オリン・スィフト (Orin Swift) は、1998年に設立されたユニークなワイナリーです。
その革新的アプローチと芸術性で「ナパの新たな伝説」と呼ばれています。
ラベルが「マネキン」の
mannequin(マネキン)はシャルドネの白ワインで、新樽40%のフレンチオークで9か月間シュル・リーを行なっていますが、樽のニュアンスはあまり感じませんでした。
こだわりがたっぷり詰まったワインですが、これだけで色々と書けるほどですが、今回は涙を飲んで割愛します。
アサリ・ムール貝・アワビのタブレ仕立て フロマージュブランとタラゴンの香り
タブレにはキヌアが使われていて、粒々の独特の食感がありました。
フロマージュブランの酸味、スパイス、アワビのキモが、果実の甘みを抑える働きをしてくれます。
Orin Swift abstract 2017
グルナッシュ、プティ・シラー、シラーをブレンドした赤ワインで、アルコール度数15.7%。
新樽30%のフレンチオーク樽で8カ月間熟成しています。
濃いけれど、やわらかさ、ゆとり、遊びのあるワインで、飲んでいて、ほっとします。
とにかく、エチケットが楽しい!
アナゴのスパイス煮
ワインにやわらかさがあるので、アナゴはいい選択。
ソースがスパイシーで甘めなのもマル。
みずみずしさのあるワインなので、身の詰まった肉より、しっとり系の料理がオススメ。
Orin Swift PAPILLON 2016
ボルドー全5品種、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、、プティ・ヴェルド、マルベック、カベルネ・フランのブレンドで、アルコール度数15.7%。
新樽45%のフレンチオーク樽で15か月熟成。
濃密で、なめらかな、パワーのある赤ワインです。
パピヨンは「蝶」のこと。エチケットは「手」ですが、「蝶」のように見えますね。
牛ほほ肉の赤ワイン煮込み
超フルボディな赤ワインには、こっくりした煮込みはお約束。
パワフルなペアリングが楽しめますが、暑ーい夏は厳しいでしょうか。
でも、今年のような梅雨寒なら、この組み合わせも悪くありませんよね。
※Orin Swiftの輸入元:ピ―ロートジャパン
今回のプレミアム3ワイナリーの紹介で、ガロ社のイメージがかなり変わりました。
もちろん、いい方向にです。
実に素晴らしいワイナリーが選ばれています。
選んでいる人のセンスがいいのはもちろん、舌も確か。当たり前です。
今回のワインの中で、私の一番のお気に入りは「abstract」
味わいもエチケットも、文句なく気に入りました。
他のワイナリーのワインも飲んでみたいですね