昨年の秋に飲んだ時、
コスパがよくてウマイ!と感心したワイン生産者
「Domaine GAYDA」 (ドメーヌ・ガイダ)がこのたび初来日し、7月26日に試飲会が開催されたので出かけてきました。
Tim FORD from
Domaine GAYDA (France, Brugairolles)
ドメーヌ・ガイダは、南仏ラングドック、カルカッソンヌの南西、トゥールズの南東に位置するブリュゲロールに2004年に設立された新しいドメーヌです。
ガイダのワインについて、共同経営者の一人ティム・フォード氏は、
「我々はまず何よりもフード(食事)が最も重要と考えている。ワインが主役ではなく、食べ物が主役。そういうワインづくりをしている」と言います。
今回は、初めて飲む白ワインも登場しました。
白はフィギュール・リーブルシリーズからフリースタイル・ブランとマカベオの2アイテム。
左)
Figure Libre "FREESTYLE" Blanc 2010 Domaine Gayda
右)
Figure Libre Maccabeo 2010 Domaine Gayda
フリースタイル・ブランは、グルナッシュ・ブラン43%、マカベオ20%、ルーサンヌ20%、シュナン・ブラン14%、ルーサンヌ3%のブレンド。ブドウをひとつひとつ見ながら収穫時期を決め、ブレンドをしています。
バトナージュを行い、オーク樽で9カ月熟成後、最良の樽をブレンドし、大樽で3カ月熟成後、瓶詰めしています。
樽のニュアンスがエレガントに感じられ、ふくよかでリッチで、余韻も長いワインです。
マカベオは、標高450mの花崗岩土壌で有機栽培したブドウを使用し、50%はオークの新樽で、50%は1、2年のオーク樽で10カ月熟成。2011年ヴィンテージは、2011年8月に最良の樽をブレンドし、瓶詰めしています。
新樽を使っていますが、樽のニュアンスはあまり感じません。酸がキリリとし、厚みのある辛口です。個人的には酸のキレのあるこっちの方がやや好み。アルコール度数もフリースタイル(13.18%)よりマカベオ(12.14%)の方が低め。
ティムさんに料理とのマリアージュを尋ねると、フリースタイルの方は魚介料理、ソースは軽めがよく、マカベオの方は強めのソースを使った魚介料理が合うとのこと。
以前飲んだことのあるのが、フリースタイル・ルージュ2009年でした。
今回は2010年になり、新しいカベルネ・フランも紹介してくれました。
左)
Figure Libre Cabernet Franc 2010 Domaine Gayda
右)
Figure Libre "FREESTYLE" Rouge 2010 Domaine Gayda
カベルネ・フランは、標高200mのブリュゲロールの砂岩質土壌で栽培し、3年後にオーガニックに転換。熟成はオークの1年樽を使用。MLFを行ない、15カ月バトナージュを行い熟成し、いい樽のものを選んでブレンドします。
果実味がしっかりしていますが、フルティーでエレガント。濃厚ですがやさしいタッチの赤ワインです。
フリースタイル・ルージュは、シラー60%、グルナッシュ・ノワール22%、ムールヴェドル9%、カリニャン6%、カベルネ・ソーヴィニヨン3%のブレンド。ステンレスタンクで発酵後、オーク樽で9カ月熟成。それぞれ最良の樽をブレンド後、大樽で3カ月熟成後、瓶詰め。
果実味、酸味、タンニンそれぞれがしっかりし、かつバランスがよく、スパイシーさもある赤ワインです。ほどよい飲みごたえがあります。2009年よりも、よりストラクチャーがしっかりしてきているように感じました。
ティムさんによる料理とのマリアージュ提案は、フリースタイルは力強いワインなので脂身のある肉料理がよく、カベルネ・フランは脂身の少ない肉のステーキなどが合うとのこと。
赤ワインは、
果実味、酸、ストラクチャー、タンニン、の4つのバランスを大事にしている、とティムさんの談。
そこで、
ガイダのトップレンジ、
“シュマン・ド・モスコー”の登場です。
トップレンジなのに、Vin de Pays d'Oc
Chemin de MOSCOU 2008, 2010 Domaine Gayda
私が以前飲んだのは2008年でした。
非常にしっかりとしたパワフルなワインで、それこそフードが必要だと思いました。
今回は新しい2010年を持参してくれたので、飲み比べしました。
2010年はシラー63%、グルナッシュ35%、サンソー2%のブレンド。手摘み収穫後、粒の大きさを揃え、マセラシオン・カルボニックを2週間行なっています。
シラーは畑ごとに樽を変えて仕込み、新樽で9カ月、グルナッシュとサンソーは2、3年樽で9カ月の熟成を行います。それぞれ最良の樽を選び、ブレンドして12カ月の樽熟成を行なっています。
2008年は果実味もタンニンも濃密で、なめらかさがあり、酸もしっかりしています。
2010年は果実味がきれいでジューシーで、酸もタンニンも若々しい!余韻も長く、今でも飲めなくないですが、まだ一体感に欠けているので、もう少し熟成が必要です。
料理とのマリアージュは聞きはぐりましたが、これも肉料理、甘辛いタレのすき焼などが合うように思います。
なお、
“Chemin de MOSCOU 2008”は
「International Wine Challenge 2011」で金賞を受賞しています(ティムさんが右手に持っている額縁に注目)
また、
“Figure Libre "FREESTYLE" Rouge 2009” は
「日本で飲もう最高のワイン2012」で、ベストワイン賞・プラチナ・ゴールドを受賞しています。
ガイダのワインを飲んで感じたのは、
どれも酸がしっかりしている ということ。
南仏ラングドックというと、ボリュームはあるけれど、ぼよ~んとしたワインになりがちですが、ここのは酸の支えがしっかりあるため、非常にバランスの取れたスタイルに仕上がっています。
ティムさんが、「最初に食ありき」と言っていましたが、どれも食事が欲しくなるタイプです。エレガントで飲み飽きしませんし、なによりもコストパフォーマンスにすぐれているのが嬉しいですね。
空を飛んでいるのではなく、水の中を泳いでいる?!(笑)
なお、ガイダではオーガニックに取り組んでおり、
2012年ヴィンテージからはオーガニック表示になるとのことでした。
ここは今後もずっと見守り続けたいワイナリーのひとつです。
(輸入元:株式会社エルフェン)