ワインの超初心者も、ある程度飲んできた人も、ワイン選びは常に悩みの種。
悩みと言っても、嬉しい悩み、という方も多いかもしれませんが
何気なく飲んだ1杯のワインからハマっていく場合もあり(先月取材した方がそうでした)、ワインとの出合いが人生を変えることもあります。
現に、この私も以前は普通の会社員でしたが、縁あってこの仕事に携わるようになり、早20年が過ぎました
自分がこれまでに知らなかったワインに出合えるかも?というのが、達人たちがセレクトしたワインガイドブックで、イタリアワインの場合は、「ガンベロロッソ」誌が1988年版から出している「イタリアワインガイド」が有名です。
ワイングラスの数で品質を評価し、最高は3グラス(トレ・ビッキエーリ)。
イタリアワインファンの間では、3グラスを獲得したワイン、という表現が、会話のそこここに出てきます。
最高の3グラスでなくとも、2グラス、1グラスでも、ガンベロロッソのワインガイドで紹介されているなら、その品質が評価され信頼度が高いワイン、ということで、ワイン選びの指標のひとつになってくれます。
さらに近年では、オーガニックやビオディナミ栽培の認証を受けた3グラスワイン「トレ・ビッキエーリ・ヴェルディ」(ヴェルディはイタリア語で「緑」)もあり、ナチュラル系ワインを選びたい人の指標になりますね。
また、特にコストパフォーマンスにすぐれたワインには「*」(アスタリスク)が付けられていますので、コスパ重視の人には嬉しい目印です。
といったガンベロロッソのイタリアワインガイドですが、新しい年度のランク発表、ガイドブック発売後に、これまで日本でも大きな試飲会が行なわれてきました。
ただし、この2年は新型ウイルスの感染拡大で実施されませんでした。
が、2022年度版ガンベロロッソ受賞ワインセミナーが昨年12月に都内で開催されましたので、それを取材してきました。
受賞セミナーは、3つの内容で行なわれましたが、そのうちのひとつのセミナーを紹介します。
私が取材したセミナーでは、13の受賞ワインが取り上げられました。
セミナー会場とイタリアをオンラインでつなぎ、各ワイン生産者のプロモーションビデオや解説などを視聴しました。
まずは、スパークリングワインと白ワイン。
ワインは左から順に解説していきます。
BiancaVigna Conegliano Valdobbiadene Rive di Collalto Extra Dry 2020
(VENETO)
2004年設立で、兄妹で運営しているプロセッコのワイナリーです。
実はここ、以前に訪問したことがありますが、とても新しい設備でした。
密閉タンク方式(シャルマ)で、シュルリーを数カ月と長く行なうため、細かい泡になります。
Rive(リーベ)は区画名を名乗れるもので、このCollaltoは2020年が初ヴィンテージ。
試飲すると、フルーツと泡、ミネラルの骨格、酸がしっかりあり、キレがあるけれど甘みが余韻に感じられ、キレイなスタイルでおいしい!
マッチョな兄を懐かしく思い出しながら飲みました。いつか再訪できるかしら。
Ferghettina Franciacorta Dosaggio Zero Riserva 33 2013
(LOMBARDY)
1991年に先代が設立し、現在は娘のラウラさんが引き継いでいます。
ベースワインが100以上もあり、それをブレンドして7種のフランチャコルタを生産。
ラウラさんの息子マテオがオーガニック栽培を実践し、2016年にはワイナリーを拡張し、テイスティングルームも備わったそうです。
このキュヴェはシャルドネ100%。ドサージュゼロなので辛口ですが、アタックはソフトで、スムーズに口の中に入りました。ほのかな塩味も感じ、香りがとても複雑。
瓶内二次発酵84カ月!ヴィンテージは2013年ですが、フレッシュ感がありました。
Panizzi Vernaccia di San Gimignano 2020
(TUSCANY)
40年前にロンバルディア出身者が創設したワイナリーで、サンジミニャーノのパイオニアのひとつ。長期熟成に力を入れているそうです。
トスカーナを代表する白ブドウ、ヴェルナッチャを使った白ワインで、品種の特徴であるフローラル感(エニシダ、リンドウなど)があり、ライムやグレープフルーツの皮のニュアンスを出し、ミネラル感があり、シャープで、少々スモーキーなトーンを出しているとのこと。
飲んでみると、香りが華やかで、豊かなフルーツと柑橘の皮のビターな余韻があり、シャキッとしておいしい白ワインでした。
トスカーナというと赤ワインのイメージが強いですが、こういう白ワインもあるんですね。
Francesco Tornatore Etna Bianco Pietrarizzo 2020
(SICILY)
エトナ北部のワイナリーで、1865年からブドウを栽培し、ブドウはずっと売っていたそうです。
が、ITで成功したオーナーが故郷のシチリアでワインをつくろう!と、近代的醸造を行なっているワイナリーです。
単一区画ピエトラリッツオのカリカンテを使い、木樽発酵、シュルリー5カ月。
テイスティングすると、香りはふわり。重心は上に感じました。少々苦みのある、柑橘、特に和の柑橘の皮のニュアンスが感じられ、酸がしっかりあってフレッシュでイキイキとしていながら、ふくよかさもあり、複雑味のあるワイン、という印象を受けました。
Cantina Terlano A. A. Terlano Nova Domus 2018
(ALTO ADIGE)
ハプスブルクの時代の19世紀末、ドイツ語圏のドロミテ渓谷に設立された協同組合ワイナリーです。
協同組合ってどうなの?と思うなかれ。
テルラーノはドイツらしい几帳面さで、上品なミネラル感があり、30年くらいは長期熟成する可能性を持つテロワールでワインづくりをしています。
広い産地なので、色々なテロワールがあり、色々なブドウを栽培しています。
このNova Domusは、ピノ・ビアンコ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランをブドウごとに醸造し、12カ月後にブレンド、ボトル熟成を3カ月してから出荷。
試飲あする前からアロマが華やかに香ります。パイナップル、トロピカルフルーツ、レモンピール、アニス、ハーブ、などなど。
アタックがとてもなめらかで、桃を思わせる甘美な風味があり、とてもエレガント。ボディはふっくら、かつ、しっかり。複雑味があり、余韻が長く、うっとり~の1本でした。
この後、まだ9アイテムあり、長くなるので、本日はここまで。