6日(日)は品川プリンスホテルアネックスタワー5階プリンスホールに、1000人を超えるファンを集め、静岡県地酒まつり IN TOKYO 2009が開かれま した。私は例年どおり下手な素人司会で進行のお手伝いをさせていただきました。まずはご来場のみなさま、21社の蔵元のみなさま、本当にありがとうございました&おつかれさまでした。
今回の地酒まつり。12回目を迎えますが、10周年記念で2年前に東京国際フォーラムで1200人集めた時以来の巨大会場。毎年参加されるお客様には「広々ゆったりできる」「落ち着いて試飲できた」と大変好評でした。
中には、わざわざ司会席まで来て、「こんな広い会場を借りるのは大変だったでしょう、でもおかげさまで本当にじっくり試飲出来た。いやぁ感謝しますよ」とお礼をおっしゃるお客様も。試飲を楽しみにいらした方々に喜んでいただけたのは、主催者の静岡県酒造組合静酉会も頑張った甲斐があったと思います。
今回初めてインターネットでのチケット販売を試み、新しいお客様が3割ぐらい増えました。しかもすごく若返ったみたい。「若い女の子が増えたねぇ」と実行委員長の中村保雄さん(浜松酒造)も満足そうでした。
一方で、この手の試飲イベントに初めて来られた方が試飲そっちのけで料理に行列を作ったり、料理がホテルの標準的な宴会料理だったので日本酒に合わないとクレームを言われる方がいたり、酒肴が少ないのを知っていた常連らしき方がつまみを持ち込んで、他のお客様がわざわざ「あれ、みっともないよね」「注意したら?」と言いに来てくれたりと、お客様が増えれば増えるだけ、いろいろな問題も生じました。
まぁそれでも、酔っ払って体調を崩すお客様もなく、目立ったトラブルもなく、1000人強のお客様を、蔵元従業員とホテルスタッフだけでおもてなし出来た というのは、初めての会場にしては及第点だと思いました。
「今、東京で一番チケットが取りにくい地酒イベントになったね」とか、「他県の酒造組合が、9月6日は静岡県とバッティングするから客が集まらないだろうと他の日に変えたそうだよ」なんて聞くと、我が事のように嬉しくなってしまいます。
13時から16時の3時間、司会をしながら広い会場を走り回り、大勢のお客様のお褒めとクレームを交互に受けながら、隙を見てハンディカメラで会場を撮影。…おかげで終了後はドッと疲れてしまいました。顔見知りの方にも満足にごあいさつできず、失礼をしました。ホントにすみません。
16時にお開きとなり、片付けを終えた後、10月8日に『吟醸王国しずおかパイロット版』の試写会を開いてくださる羽田エクセルホテル東急の吉岡さんと、トークゲストにお招き予定の喜久醉・青島孝さんで打ち合わせ。その後、青島さんと丸の内に移動して、コンラッド東京日本総料理長の斎藤章雄さんと久しぶりにご一緒しました。
斎藤さんは、ホテルセンチュリー静岡料理長を務めておられた10数年前、取材でお会いして意気投合し、静岡酒をガンガンアピールして、喜久醉ファンに“洗脳”し、六本木ヒルズのグランドハイアット東京へ移られた後、「喜久醉を味わう夕べ」を企画していただいたことも。現在お勤めのコンラッド東京日本料理店「風花」では、開運、磯自慢、喜久醉を扱っていただいています。
その斎藤さんが、このほど東京都から卓越技能者“東京マイスター”―通称・江戸の名工を授与され、6日にそのお祝いの会と重なってしまったため、終了後、お時間があったらお祝いを述べさせてくださいとお願いしてあったのです。別のお誘いがあった青島さんも、斎藤さんにお祝いをするならぜひ、と他をキャンセルしてお付き合いくださいました。
結局、新幹線の最終1本前まで、日本料理や日本酒の技を伝える価値と難しさについて、3人で密度の濃い語り合いをし、「いずれ日本酒をきちんとした料理と一緒に味わえる店を自分で出したい」という斎藤さんの夢を肴に、大いに盛り上がりました。
東京という情報過多の大消費市場の中にも、静岡の酒を通し、自分なりにいろんな夢や楽しみ方を持っておられる方が確実にいて、私のような小さな個人とも10年15年と切れることなくつながってくれる…。地酒まつりの会場が、いつもより大きく、密度が薄かっただけに、斎藤さん青島さんと過ごした狭くて濃密な時間が一層深く心に浸み入ってきました。