杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

浜名湖のCHANGEとは・・・

2009-09-20 10:28:52 | 朝鮮通信使

 17日(木)は午前中、浜名湖畔の村櫛にある田中造園さんにおじゃまし、竹の微粉末を土壌改良材として商品化する事業のパッケージデザインや展示会でのプレゼン方法などを検討しました。

 

 

 浜名湖立体花博(モザイカルチャー博)の開会式前日とあって、庄内・村櫛Dsc_0031 地区の各地に駐車場の案内看板や、地区の人々が自主的に設置したお手製モザイカルチャーが見られました。2004年の浜名湖花博のときにも導入されたパーク&ライド方式の駐車場。この地区には空地がたっぷりあって、04花博時と同じ場所に駐車場を作ろうとしたら、別の地権者が「今度はうちのほうを使ってくれ」とリクエストがあり、道を隔てた向かい側の土地に設置したそうです。04花博時の駐車場だった土地は草ボウボウの荒地状態。…もったいないなぁ、せっかく風光明媚な場所で観光スポットも近いんだから、有効利用すればいいのに、と思ってしまいました。

 

 

 聞けば空地のほとんどがもともとウナギの養殖池だったところで、地盤が弱すぎて建物が建てられないとのこと。その昔、この地をニースやサンフランシスコみたいなお洒落なマリンリゾートとして開発するプランが持ち上がったこともあったそうですが、養殖池の地権者たちは一切聞く耳持たず、だったとか。そのまんま、何の方策もなく放ったらかし。…地域開発の難しさって根っこは人間同士の価値観の対立であり、地域に根を張る者同士だからこそ、心情的な摩擦も深くなるんですね。

 

 

 

 高架橋問題で話題になった広島県の鞆浦に、朝鮮通信使のロケ以来、何度か遊びに行っており、昨年春、鞆の雛まつりを見に行ったとき、池田先生(鞆Img_3364 の浦歴史民俗博物館の元館長)のお宅で地域の皆さんがワイワイ集まって呑むからと誘われました。過去ブログでも書きましたが、そのとき、橋の建設賛成派と反対派の住民が一緒に酒を酌み交わしながら言いたい放題のことを言いあっていて、面食らいました。「みんなこの町で生まれ、同じ学校に通い、互いの家や仕事のことも知りつくしている者同士だから」と池田先生は笑っていました。

 

 

 

 高架橋問題が現在どうなっているのかわかりませんが、あの晩の?み会の熱気は今でも忘れられません。酔っ払ったおじさんに「ねえちゃん、この町が好きならこの町へ嫁に来てくれよぉ」と言われたことも(笑)。…いずれにしても、池田先生のように住民に尊敬される“ご老公様”のような重鎮が、地区にいるかいないかって大きいなぁと思いました。浜名湖周辺にいないんですかねぇ? 意見を異にする者同士も、「あの大将に呼ばれちゃ行くしかねぇな」と思わせ、一堂に集めて一緒に酒を呑ませるような重鎮が。

 

 

 

 

Dsc_0137  午後は、新居町の関所稲荷と浜名湖今切口の写真を撮りに行きました。ここも朝鮮通信使のロケハンで訪ねたことがあります。ロケハンは真冬だったので薄墨の風景の中に、お稲荷さんの赤の鳥居だけが際立って見えた印象が残っていますが、この日は夏の太陽の明るさが残り、視界全体がヴィヴィットカラーで、レンズ越しに見ると日向と日蔭のコントラストが際立ってきます。

 

Dsc_0034  …江戸時代の町の色彩は、今ほど鮮やかではなかったはず。その中に、ヴィヴィットカラーの装いの通信使一行がやってきたのですから、人々はさぞ面食らっただろうなぁと想像します。実際のロケが2~3月で、晴天でも陽光がやわらかく、その分、通信使の再現行列のイメージシーンが際立ったことを思うと、夏のロケじゃなくてよかったな…と改めて思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後、磐田市にあるヤマハコミュニケーションプラザを取材しました。ヤマハ発動機の展示博物館で、吹き抜けの1~2階フロアには1955年の一号機YA-1から最新モデルVMAXまで、ヤマ発の二輪車すべてのモデルが勢ぞろい。この磐田工場ですべてを組み立てたというTOYOTA2000GT(67年モデル)や、49年前の7馬力から現在の350馬力(世界最大)まで進化したボート船外機など、好きな人には垂涎のお宝展示物を、これでもか!というぐらい華やかに展示しています。

 

 

 

 

Dsc_0056  コミュニケーションプラザ館長と広報課スタッフに各フロアを丁寧に案内していただいたのですが、このジャンルはトンと疎い私には、「はぁ~」「へぇ~」「すごいですねぇ」の感嘆詞しか出てきません。

 

 1998年にオープンした同プラザ。「なんでヤマハ発動機博物館とか二輪車展示館ではなく、コミュニケーションプラザという名前なんですか?」と初歩的な質問しかできなかった私ですが、「もとは、社員同士、あるいはお客様と社員のコミュニケーションを図る目的で造った施設なんですよ」とのこと。事業が増え、社員がお互いの相互理解を得る機会が必要となり、ここに来れば自分が関わる仕事の話ができたり、外からのお客様にも説明やプレゼンがしやすくなる、そんなコミュニケーション醸成の場として生まれたそうです。

 

 

 当初は土日しか一般にオープンしていなかったプラザは、6~7年前から広報セクションの管轄となり、外向け―おもに地域の学校等にアピールするようになり、小中学生の校外見学や修学旅行先として、工場見学とセットで人気を集めるようになりました。平日も開館し、一般見学フリー(入館無料です!)。オートバイファンはもちろん、バイクで全国をツーリング中のライダーさんが必ず立ち寄るおなじみスポットとなり、レストランや休憩ルームもあるので、ヤマハ二輪車愛好会のミーティングの場にも活用されているそうです。

 

 

 オートバイという特定のジャンルでも、地域や世代を超えて人を集める場があるってすごい力だ…!と実感します。何でもかんでも揃えようとする“百貨店”ではなく、“専門店”の強みや深さが、ファンを根付かせ、地域イメージを高めるんですね。

 

 

 浜名湖にも、こういう“専門店”を引っ張ってくる、あるいは浜名湖に息づく伝統や価値をとことん究める、その潔さが必要なんだろうと思います。

 

 

 

 

 

 

 さて秋の大型連休、天候にも恵まれ、各地は賑わっているようです。モザイカルチャー博も展示物のクオリティが高いという評判ですね。

 私は21日から25日まで(社)静岡県ニュービジネス協議会海外研修の同行取材で上海に行ってきます。夜、時間があれば上海の日本酒事情を探ってみたいのですが、夜は台湾でハマった足つぼマッサージ通いしちゃうかも…(苦笑)。またご報告します。