杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

上海研修ツアーその1

2009-09-26 14:57:05 | ニュービジネス協議会

 21日(月)から25日(金)まで4泊5日の日程で(社)静岡県ニュービジネス協議会上海研修ツアーに参加しました。

 年1回開催するニュービジネス協議会の海外研修は、昨年はロシア極東、一昨年はフランス、その前はドバイ、ベトナム等など、注目の国や都市を訪問しています。私はこの協議会の広報担当で機関誌を執筆編集していますが、取材経費が出ず参加費も全額自己負担なので、そうしょっちゅうは参加できません。過去3回、参加費がリーズナブルだった香港&シンガポール、上海&深圳&香港、サンフランシスコ&シアトルの視察に参加しています。

 

 

Dsc_0207  上海を訪れるのは1995年の視察以来。95年当時の日系進出企業数は約600社で、オフィスや駐在員用住宅や通訳スタッフが慢性的に不足していると聞きましたが、2008年調査では進出企業数7200社と劇的な変化。万博開催を間近にするほど成長発展する都市の勢いというものを、まざまざと実感しました。

 

 当時の会報誌に、参加者から「かつてフランス領だった名残の古い町並みを残す傍らで、高層ビルがどんどん建てられている。建設中のビルの足場は竹。噂に聞いていたがホントに驚いた。見た目にも、とても人命第一とは言い難い。ともあれ人手は十分、活気十分、車はクラクションを鳴らしてかっとばし、その隙間を自転車が平気で横切って行く。市民の暮らしぶりは終戦直後の日本といった感じだろうか。でも人間のパワーはものすごかった」「10年後に同じルートを視察したらどんな変化が見られるだろうか」という紀行文を寄せてもらっていました。今回は、これを地で行くツアーとなりました。

 

 

 

 さて、上海に上陸する前に、3か月ぶりに訪れた富士山静岡空港の印象から。ちょうど大型連休中とあって、搭乗客よりも見物客の数が圧倒し、駐車場にたどり着く前、長い渋滞が出来ていたのにビックリ。危うく見学者車両の渋滞の列に並んでしまうところでした。

 

 お昼時だったので1つしかないレストランが混んでいたのはやむを得ないとして、ビジネスクラス客向けの当日有効食事券をもらった鴇田勝彦ニュービジネス協議会会長が、「この券で展望デッキでビールでも飲もう」と誘ってくださったのに、食事券はレストラン内しか使用不可と言われ、ガッカリ。時間のない搭乗者には、もうちょっと便宜を図ってくれてもいいのに…と思いました。

 

 Imgp1374

 2階の県の展示コーナーには、静岡県の地酒展示コーナーが新設されていました。地酒通の県職員がプッシュしたのかなぁとも思いましたが、なにせ空き瓶の展示だけじゃねぇ・・・。しかも紹介文は

 『県下各酒販店で購入できますが、店舗によっては取扱い蔵元が限定されています』

 『地酒は早くて12月からその年の新酒を販売しますので、取扱商品も一定ではありません』

 『お目当ての蔵元については空港案内コーナーにあるパンフレットを参考にしてください』

 『どの蔵元も小規模のため品切れ等のため購入でいない場合もありますのImgp1377 で御了承願います』

とデカデカ書かれています。

 

 

 この文章をパッと読んだ人は、「静岡の地酒って買いにくいのか」と思うでしょう。確かに人気銘柄が地元で買いにくい状況は変わっていないけど、蔵元も酒販店も一生懸命努力しているし、せっかく目立つ場所でPRするのに、なんでこんな不親切で否定的なコピーをデカデカ載せるんだろう…。しばらく眺めているうちにだんだん不愉快な気分になってきました。

 

 

 たとえば、『静岡県の蔵元は、小規模ながらも手間ひまかけ、品質を高める努力をしています。県下酒販店では、蔵元の出荷状況に応じ、ベストな品質でお客様にご紹介する努力をしています。詳しくは空港案内コーナーのパンフレットをご覧ください』というふうにサラッと書けばいいと思うんだけど・・・。

 

 

 

 仏頂面をしていた私を、鴇田会長が「(展望デッキで売っていた)ハイネケンがどうしても飲みたいから」ともう一度デッキまで誘ってくださって、紫芋コロッケをつまみにご馳走になりました。 

 通産官僚時代、アフリカに赴任し、「休日は何もすることがなくて、大使館のテニスコートで汗を流した後、ハイネケンを水代わりにガボガボ飲むのか唯一の楽しみだったんだ」と懐かしそうに喉を鳴らす鴇田会長。…確かにハイネケンって水みたいにスルスル飲めるし、全然酔わない。アルコールを飲んでいるって重い気分にならないのがいいのかなぁ。

 

 静岡の酒は食中酒向きのきれいで飲みやすい酒ですが、ガボガボ飲む低アルコール酒と競争できるわけじゃないし、かといって「地酒は特別な存在で、気軽に買える代物じゃありませんよ」なんてお高くとまるのは絶対オカシイ。

 先日の地酒サロンでも参加者から「日本酒が美味しかった、日本酒を飲んで楽しかったという記憶が大切」という声を聞きました。空港のような日本酒未経験者・非経験者の多いパブリックスペースならなおさら、いい記憶を持って帰ってもらえる仕掛けが必要だなと実感します。

 

 …上海ツアーのことを書くつもりだったのに、離陸前の酒の話で終わってしまいました(笑)、すみません。