杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

幻のニュービジネス大賞推薦論文

2009-11-14 19:01:31 | 地酒

 前回の記事でご紹介した静岡県ニュービジネス大賞。実は私も1件、推薦論文を提出したのです。最終審査には残れなかったので申し訳なかったのですが、改めて読み返してみて、(ちょっと未練たらしいけど)ニュービジネスの審査員のハートは射止めずとも、この内容にグッと来てくれる人が、当ブログ読者ならいるかも・・・と思い、掲載させていただこうと思います。

 論文作成にあたり、推薦させていただいた杉井酒造の杉井均乃介社長には多大なご協力と(落選による)ご迷惑をおかけしました。改めてお詫び&お礼申し上げます。

 

 

 

 

 

 

杉井酒造の地場農産物の再生と循環に貢献する、地域ブランド焼酎の多品種小ロット生産

 

 

1.  会社・事業の概要

◆会社設立年月日 天保3年(1843

◆事業の概要

日本酒・焼酎・みりんの製造販売。販売先の主力は静岡県中部(志太地域)で西部・東部地区にも販売店あり。近年の地酒人気に伴い、北海道、首都圏、名古屋圏、関西、九州地区にも販路拡大中。主力銘柄は清酒「杉錦」、みりん「飛鳥山」、焼酎「才助」。

◆従業員数 9人(うち男子5人、女子2人、パート2人)

 

 

2.  事業の特徴

    得意とする商品・サービス・ノウハウ・技術(主要特許等を含む)など

主力製品である日本酒は、静岡県内酒造会社が得意とする現代的で洗練された味わいの「吟醸酒」、全国的にも少なくなった古典的製法による「山廃」「生酛」とタイプの異なる日本酒を、社長の杉井氏自らが杜氏となって醸す。酒類の製造において、過度の合理化や大ロット生産では望む味わいが得られないと考え、小仕込みに徹している。

 

 

 

②業態・特色・業界内地位など

 

○創業以来、160年余、「亀川」「杉正宗」「杉錦」と銘柄を変えつつ一貫して酒造業を継続。戦前より全国新酒鑑評会で金賞を受賞するなど品質にも定評があり、戦時中多くの酒造会社が企業統合・廃業する中も独自経営を貫き、戦後、桶売り―地方の中小酒蔵の多くが灘・伏見・新潟の大手の下請けとなって未納税酒をOEM供給する時代も安易に桶売りに走らず、地元で地道に「杉錦」を製造販売し続ける。

 

 

 

○昭和50年代に静岡県が開発した「静岡酵母」によって、県内の吟醸酒造りの技術が飛躍的に向上。高コスト(高価な原料米、高度な職人技術、冷蔵管理等)を要する吟醸酒で脱桶売りの生き残りを図った。それから20年余を経て、県内の酒蔵は職人の高齢化や市場ニーズの多様化等、ふたたび経営環境の変化に直面し、体力に格差が生じ始めた。

杉井酒造では岩手県から招いていた南部杜氏の引退を機に、社長自らが杜氏となり、会社そのものを個人の裁量で製造から販売まで目が行き届くボリュームにスリム化することを決意。「吟醸酒」のほかに「山廃」「生酛」といった個性的な酒を次々に発表する。平成21年静岡県清酒鑑評会では純米の部県知事賞(首位)に輝くなど、技術レベルの高さも証明した。

自身の右腕となる若手製造社員を正規雇用し、6年前より、日本酒造りがひと段落する春から秋にかけ、新規に焼酎製造に参入。焼酎製造ではなかなか受け入れるメーカーが少なかった小ロット・高品質での委託醸造に取り組む。これまで委託を受け、製造した焼酎は以下のとおり。

ブランド

団体

地域

原料作物

富士山幻の瀧

小山町役場産業観光課ほか

小山町

蕎麦

いもおとこ

ながいずみ観光交流協会

長泉町

大和芋

玉楠