昨日(22日)はJALT(全国語学教育学会)交流イベント第2夜。グランシップ大ホールの奥3分の1ほどのスペースで、篠田酒店プロデュースの静岡地酒の試飲&販売大会です。用意したのは白隠正宗(沼津市)、英君(静岡 市由比)、正雪(同)、臥龍梅(静岡市清水)、初亀(藤枝市岡部)、磯自慢(焼津市)、喜久醉(藤枝市)、開運(掛川市)、國香(袋井市)の9銘柄。
このうち、試飲コーナーでは白隠正宗の高嶋さん、正雪の望月さん、初亀の橋本さん、磯自慢さん(社員)が駆けつけて、参加者に直接造り手メッセージを伝えてくれました。販売コーナーでは、試飲でお気に入りの銘柄をその場で買えます。篠田酒店の社長会長ほか計4名のスタッフが、手書きのタレ幕でコーナーをにぎやかに飾ってくれました。
篠田さんも各蔵元さんも、始まる前は、語学力がないからなぁと心配顔でしたが、参加者は日本で語学教育に携わる方々なので、「たどたどしい英語でしゃべろうとするとかえって恥をかくから、堂々と日本語で応対すればいいですよ。相手は語学のプロだから、丁寧に話せばちゃんと通じますよ」とアドバイス。私は英君さんのブースをお手伝いしたのですが、隣の白隠正宗さんは、プログラムの番号がナンバー1だったので、1から順に試飲するものと思った参加者がブワっと集まって、次から次へと瓶がカラになっていきました。
しかもブースに居る高嶋さんが自ら造った酒だとわかると、参加者が大喜び。他の蔵元にはない山廃タイプの酒も好評でした。高嶋さん、昨日までソウルで開催中の静岡県物産展に参加されていたそうで「たまたま原料米の入荷が伝票のトラブルで1週間延びて、出られるようになった。今夜帰って作業開始です」と見た目通りの?タフさを発揮していました。今朝(23日)の静岡新聞にバッチリ写真が載っていましたね!頑張る人はちゃんと報われるのです!
Tasting night は、16時30分から20時まで3時間半の長丁場。途中、17時45分ぐらいから、グランシップ2階の映像ホールで、『吟醸王国しずおかパイロット版』の試写を行いました。…といっても、試飲が始まって参加者は呑むのに夢中で、2階映像ホールへの行き方もややこしかったせいか、ホールに来てくれたのはたった一人! すごーく立派な映像ホールに、私と通訳さんとコーディネーターの中村悦子さん合わせて4人だけの贅沢な?試写会になりました。2週間前にNBサロンで開催した試写は、狭い会場で音が出ず、50余人の参加者をガッカリさせたことを思い返すと、なんとも皮肉…(苦笑)。
そのたった一人の参加者・ハンスさんは、ドイツ出身で、オーストラリア人の奥さまと現在は相模原市の学校で英語を教えていらっしゃるとか。SAKEは最近呑み始めたばかりでよくわからないけど…と言いながら、ちゃんと映画を観て勉強しようと足を運んできてくれたんですね。さすが私が敬愛するマイスターの国・ドイツの方らしい!
ハンスさんを囲んで私と通訳さんと中村さんが座り、私が用意したパイロット版の構成台本を、中国人留学生の通訳さんが「漢字はわかるけど、吟醸?杜氏?の意味が・・・」と戸惑いながらも、中村さんのサポートも得て英訳してくれました。日本酒通の中村さんがそのまま訳してくれれば楽なのに、と思いましたが、中国人留学生の彼が、私の日本語の台本をドイツ人ハンスさんのために一生懸命英訳しようとする様子に、「・・・これも留学生の彼にとっての語学勉強なんだ」「これこそが国際交流なんだ」と心が熱くなってきました。
ハンスさんは「素晴らしく美しい映像」「映像と音楽が“結婚した”ようにぴったり合っている」と褒めてくれました。酒造りのウンチクはわからずとも、静岡の酒造りが外国の方に「美しい」と評価されたことにジーンときました。成岡さんのカメラワークの確かさと、1年2年と四季を通じて撮り重ねてきた“量”の恩恵だと思います。
大ホールの試飲会場に戻った後は、会場のスクリーンで繰り返し流れる『吟醸王国しずおかパイロット版』の映像に、今度はハンスさんが別の方に解説をしてくれています。中村さんはパイロット版のPRや募金活動に貢献できず申し訳なかったと恐縮されていましたが、私は英君ブースを担当しながら、亡き英君の望月英之介社長が「英君を飲む人が、100人中一人しかいなくても、そのたった一人の飲み手を裏切らない酒を造る」と真摯に語っておられたことを思い出し、「たった一人の観客でも、心に残る映像を」との思いを噛みしめ、一人熱くなっていました。
中村さん、篠田さん、参加蔵元のみなさま、JALTスタッフのみなさま、そして今回静岡の酒を楽しんでくださった参加者のみなさま、本当にありがとうございました。