年もおし迫っていますが、連日日替わりテーマで取材や打ち合わせに出掛け、脳がパニクりかけています・・・。ここでのご報告も数日遅れ気味。でも、忙しいときほど、ここで少しでも文字化しておかないと翌日真っ白になりそうで、眠い目をこすりながら書いてます。
19日(土)は、先日の告知どおり、浜名湖地産地消検定会の第1回講習会が浜松市舞阪文化センターで開かれました。10月の中日新聞全国新聞大会 特集面で取材させていただいたNPO法人はまなこ里海の会が、静岡県と共同で開催するもの。地元に根をはるライターを自認しているくせに、県内のご当地検定の勉強をするのは初めてです。いやぁ、知らないことアリ過ぎで、ホント、恥ずかしかった。
まず、「シラス」って、当たり前のようにイワシの稚魚のことだと思っていましたが、本来は「魚の赤ちゃん」という意味なんですね。ウナギの稚魚なら「シラスウナギ」、アユの稚魚なら「シラスアユ」って言うんです。
ちなみに、シラス(イワシの稚魚)にも、カタクチイワシ、ウルメ、マイワシに分かれていて、静岡県でよく獲れるのはカタクチイワシ。顔が丸っこいのが特徴です。マイワシは顔がやや尖がっているそうですね。
舞阪漁港に水揚げされるシラスは、2艘船曳網漁法といって、船2艘ペアになって網でガーッと曳いて獲ります。水揚額は、過去10年で見ると毎年10~16億円ぐらいあり、平成16年だけ海流の影響か6億円台にガタ落ちしました。漁師さんにとっては死活問題になるところですが、浜名湖が恵まれているのは、シラスが不漁でもアサリでカバーできること。ほとんどの漁師さんが、アサリとシラス両方の操業免許を持っていて、平成16年のシラス大不漁の時は、アサリがなんと大豊漁。こういう恵まれた漁場は、全国でも例がないそうです。
恵まれた漁場は、恩恵を受ける者同士が共有財産として大切に守っていく義務があります。アサリ漁は日の出から正午まで、シラス漁は冬は朝7時30分から正午まで、春は6時30分から、夏は6時から、秋は7時からと、操業時間を厳しく決めています。
“遠州とらふぐ”で地域ブランド化しつつあるとらふぐは、操業する船をくじ引きで決め、時間は日の出から午後1時まで。700g未満の小サイズは放流します。5年おきぐらいに豊漁になるそうで、直近では平成19年度がピーク。あと数年後に次の豊漁期が来るみたいです。
浜名湖といえばウナギ。日本の養殖ウナギ発祥の地です。なぜこの地が養殖に成功したかといえば、シラスウナギが浜名湖や天竜川河口付近でよく獲れ、養鰻に適した豊富な地下水が出て、餌となる小魚もたっぷり。この3要素がバッチリそろっていたからです。
といっても今現在、静岡県の養鰻量は鹿児島、愛知、宮崎に次いで全国4位。天然ウナギにお目にかかれるのは7~9月で、土用の丑の頃よりも、夏を過ぎ、涼しくなってからのほうが脂が乗って美味しくなるそうです。・・・う~、真夜中だというのに、書きながら無性に食いたくなってきたぁ(笑)。
以上のようなお話を、はまなこ里海の会会員の漁師さんや浜名漁協の担当者が、懇切丁寧に教えてくれて、お昼は漁協婦人部のお母さんたちが風味満点のアサリの味噌汁、アオノリの酢の物、タチウオのフライをふるまってくれました。
タチウオは6~9月が漁期で、3枚におろして冷凍保存しておいたそうですが、冷凍モノとは思えない美味しさでした!
お昼をはさんで約3時間、実に有意義な講座。一般参加者は私のほかに親子連れ1組だけで、アサリもフライもお代りし放題。しかもすべて無料。なんともぜいたくな1日でした。
次回は1月16日(土)10時から、舘山寺ホテル山喜を会場に、浜名湖周辺の農産物をテーマに地元農家のお母さんたちがお話&地元料理をふるまってくれます(くわしくはこちらを)。
講座終了後、次回の予習にと、この日の講座を受講していた農家のお母さんたちと、講師役の漁師のお父さんたちが、「せっかく同じ地域に住んでいるんだから、これからも一緒に何かやろうよ」と意気投合していた姿が微笑ましかった!。
そう、静岡県って海の幸も山の幸もホントに豊かだけど、漁師と農家が直接コラボする機会ってあんまりないんですよね。浜名湖は一つの食のエリアとしてまとまりがあるし、何より個々の食材のレベルが高いんですから、生産者同士がなんとかうまく融合してほしいな。
はまなこ里海の会事務局長の窪田さんは自然保護活動家だし、今回の検定会企画では地元ホテルの料理人さんも関わるようなので、彼らのような立場の人々が積極的につなぎ役になれば、と期待しています。
私は私で、地域食の担い手や応援団のみなさんとのご縁を広げながら、ライターとしての情報ストックを厚くして、ついでに地酒応援にもつなげていければな、と思っています。