杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

アカデミー賞作品鑑賞

2012-06-06 09:50:23 | 映画

 このところお出かけ取材が多くてバタバタしてましたが、今週は連日おこもり執筆中。化粧もせず、ジャージルックで、午前と午後、NHKの「みんなの体操」なんかしちゃってます(苦笑)。今日は、お出かけ取材の合間に、何本か観た映画について書きます。

 

 今年のアカデミー賞ノミネートになった秀作が、現在、何本か公開中ですね。静岡では6月23日からシネギャラリーで公開予定の『裏切りのサーカス』 、一足先に名古屋で観てワクワクしたことはこちらで報告しました。

 

 シネギャラリーでは8日まで、アカデミー最優秀外国語映画賞を受賞した『別離』 が公開中です。イラン映画と聞いて、ある種のイメージを持って観たのですが、テーマは夫婦の離婚と子どもと親の介護。本当に身近でどの国の人でも共感できるし、「夫婦のどっちが正しい?」「誰かがウソをついているはず」「事実は違ってもここは丸くおさめたほうが・・・」と観る者に推理的・審判的な要素も与え、ザワザワと心が揺さぶられました。

 宗教的なバックボーンは必要最小限に抑制され、なおかつ肝心なところでスパイス的に効いており、古い慣習が残る戦後間もない日本の地方都市に置き換えても、十分通用すると思いました。製作・監督・脚本のアスガー・ファルハディという人は、まだ40歳そこそこだそうですが、小津安二郎や黒澤明あたりを観て育った人なのかなあ・・・。とにかく凄い才能です。

 

 

 アカデミー最優秀脚本賞を受賞したウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ』 はMOVIX清水で公開中です。ハリウッドの売れっ子脚本家が滞在先のパリで1920年代にタイムスリップして、ピカソやヘミングウエイに出会い、クリエイターとして大いに刺激を受けるというストーリー。ウディ・アレンにしては意表を突いた設定だなと思いましたが、その設定が、真に伝えようとしたある種の“人生哲学”を一層引き立て、観る者に真に迫る・・・。このヒネリの掛け方が実に粋でオシャレなんですね。観終わった後、とても豊饒な気分になりました。日本なら三谷幸喜監督あたりが手掛けそうなテイストです。

 

 

 ネットで検索してみたら、映画賞嫌いで滅多に授賞式には出ないウディ・アレンが、『別離』のアスガー・ファルハディ監督を絶賛し、彼に会いたいという理由で某授賞式に参加したというエピソードを発見しました。・・・いいですねえ、作品を純粋に評価し合えるクリエイターのつながりって。お時間の許せる方は、ぜひ映画館へ!

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