杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

5日酒と匠の文化祭(テイスティング編)

2010-12-09 06:45:12 | しずおか地酒研究会

 引き続き酒と匠の文化祭報告です。

Photo_11  5日はポカポカ陽気に恵まれ、11時の開会前からお客さんが集まって、ひなたぼっこしながらお買い物を楽しんだり新酒や甘酒の試飲を楽しんだり、藤枝在住のトランペット奏者・マスターコバさん、サンシン奏者シアンさん、飛び入り参加の津軽三味線・福居八大さんの生演奏を楽しんだりと、ほんと、の~んびりのどかな休日の文化祭気分を満喫していただきました。

 

 

 

 プログラムをつくり、素材を集めるので精一杯だった私をフォローし、現場を指揮してくれたのは、ホテル勤務経験のあるフリーアナウンサーの神田えり子さん。ブライダルをはPhoto_12 じめ、さまざまな地域イベントの企画もこなす、その道のプロです。

 お着物姿ばっちりの存在感で、多くのお客様はえり子さんが主催者だと思って声をかけてました 

 「あちらが主催者ですよ」とえり子さんがジーパン前掛け姿の私を指すので、お客様的には「え?こんな地味なおばさんが?」と思われただろうと内心、恥ずかしくなりました。私も着物で走り回れるくらい着こなせるようになりたいですぅ・・・(笑)。

 

 とにかくえり子さんの機転で、陽のあたる中庭に急きょテーブルと椅子を出してもらい、お客様にくつろいでいただきました。

 

 

 

 

 

 甘酒は、午後の酒粕料理ワークショップを担当するイーハトーヴォの後藤英和さんが、初亀の酒粕と仕込み水で作ってくれたもの。ふつう、甘酒はお湯に溶かす前に酒粕をミキサーかフードプロセッサーにかけるか、私の場合は味噌汁を作る要領で別のボールに熱湯で漉してから鍋に移しますが、今回は酒粕らしさを残そうと、かたまりのまま鍋に入れて温めながら溶かしたそうで、もろみに融けなかった米粒が残るトロッとした食感。甘みは三温糖で上品につけたようで、飲み応えがあるけどクドくなくて、何杯でもお代りできそうな味でした。実際、燗番男のタカシマさんが何杯もお代りしてました

 

 

 Photo_13 後藤さんの酒粕料理ワークショップは、23人の参加者を集め、楽しく開催しました。

 メニューは酒粕とおからにシソを混ぜ込んでネタにしたヘルシーコロッケ。事前に試食したときは、おからのシンプルな味が酒粕の風味を活かし、シソがアクセントになっていて、ソース類を付けずともそのまま酒肴になりそうな大人のコロッケって感じ! 甘めのケチャップやマヨネーズをトッピングすれば子ども向けおかずにもなります!

 会場の柏屋体験工房(調理室)は、ふだん、豆腐やこんにゃくしか作らないそうで、油を使う料理は初めてとのこと。後藤さんも大変気を遣って、必要な材料や器具はすべて持参し、油汚れやゴミ一つ残さず、丁寧に使ってくれました。

 

 ホントは参加者にも実際に調理してもらえればよかったんですが、そんなわけで、後藤さんの実演を見ていただき、完成品を試食し、レシピと酒粕&おからをお土産に持って帰っていただきました。

 

 私はオンエアを見なかったのですが、11月27日の静岡新聞夕刊で後藤さんの酒粕料理を紹介した直前に、NHK『ためしてガッテン』で酒粕の効能を放送Photo_14 して、翌日から酒粕が品薄状態になったと聞きました。・・・後藤さんには何かと無理をお願いしてしまいましたが、メディアの思わぬ援護射撃がありがたく思えました。

 

 

 

 

 

 

 

 一祥庵内では、蔵元さんが寄付してくれた新酒の無料試飲と、夜の朗読会Photo_16 で取り上げる9銘柄の通常商品の有料試飲を行いました。顔なじみのお客様の感想を聞くと、どうも新酒は若いというか渋いというのか、好みが分かれるみたいでした。通常商品(吟醸以上)はどのラインナップもさすがの出来栄えのようです

 

 

 たまたま柏屋に休憩で立ち寄ったツーリング途中のライダーさんや、ウォーキングの中高年グループなんかも興味深げに覗いていました。「私たちこれから山登りなんだけど~」と逡巡しながらも、「1杯だけなら」とニコニコ顔で杯を手にする山ガール姿のおばさまたち。「あそこで飲んだお酒、美味しかったわねぇ」と旅の思い出にしていただけると嬉しいですね

 

 有料試飲酒は後藤Photo_15 さん(ときわストア)に用意してもらったんですが、実際に販売を担当したのはなんと篠田和雄さん(篠田酒店)。パートナーの小楠享司さんとともに11時から夜20時30分までぶっ通しで酒の売り子をやっていただきました。

 いくらこちらが強引にお願いしたとはいえ、同業他店のためになかなか出来ないことですよね・・・ほんと、頭が下がります。

 

 

 

 私、後藤さんと篠田さんが後々、同業他店からアレコレ言われないためにも、各蔵元さんから静岡・志太の取り扱い酒販店リストを聞いて一覧表にし、200枚印刷して持っていったのです。が、カバンから出し忘れてしまって、夜の朗読会開始直前に気づき、朗読会参加者だけにはなんとかお配りすることができました。…両面印刷するため印刷会社にわざPhoto_17 わざ特急でお願いして準備したのにぃ~

 

 

 

 酒販店別ではなく、銘柄別に、取り扱い店を並べたリストです。多少なりとも酒販店さんのPRに役立ち、かつ飲み手にとっては『○○○』が買える店はどこか探すのに便利な一覧表になればと思い、徹夜で作りました。興味のある方はご一報ください。

 

 

 

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 なお12月10日(金)11時からオンエアのFM-Hi(76.9MH)『ひるらじ静岡情報館』に出演し、酒と匠の文化祭についてお話します。夜の朗読会で自分も聴いてて涙ぐんでしまった、あの蔵元物語を、パーソナリティTJさんに特別に朗読していただきます 11時20分ごろからのコーナーですので、お聴きになれる方はぜひ


5日酒と匠の文化祭報告(ノミの市編)

2010-12-08 12:37:37 | しずおか地酒研究会

 5日の大旅籠柏屋・酒と匠の文化祭の報告が遅くなってすみません。翌6日は高熱が出て午前中はダウンしてまして(やっぱり年齢かな~、無理が効かなくなった・・・)、午後はそれでも後片付けをしたり、各方面へ礼状を書いたり写真の整理をしたりで終わってしまい、7日は一日、三島へ取材。夜、やっと落ち着いて5日の会計をして、スタッフに報告しました。

 

 この間、スタッフの櫻井美佳さんが、吟醸王国しずおかブログ『杯が満ちるまで』のほうに詳細なレポを書いてくださったので、他人事のように楽しんで読んでしまいました。他、スタッフでブロガーでもある後藤英和さんオフィストイボックスさん もレポしてくれてますので、よかったらチェックしてみてくださいね

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 今日はまず、『お宝ノミの市』について紹介します。

 映画資金カンパのため、吟醸王国しずおか映像製作委員会のメンバーが、それぞれ提供してくれた商品のフリーマーケット。9月の清水・篠田酒店さんの蔵元を囲む会、藤枝はしご酒でチャレンジして以来、私もスタッフも“お店やさんごっこ”気分が板についてしまって(実際に御商売をされている方には失礼な物言いで申し訳ありませんが)、○○酒造の△△は人気があるな~とか、◇◇酒造って昔こんなノベルティを作っていたんだ!とか、□□店の☆☆って意外に知られてないんだ~とか、いろんな発見も楽しめました。

 

 

 5日は、やっぱりというか、地元岡部の『初亀』さんグッズの人気がダントツでしたね。蔵の奥に眠っていたというレトロ徳利。9月の藤枝はしご酒のときに提供していただいたんですが、藤枝駅前で販売したときは2本ぐらいしか売れなかったのに、ここ柏屋ではあっというPhoto_10間に売り切れ、「もうないの?」とリクエストをいただきました 

 

 そういえば、藤枝駅前では、『杉錦』さんグッズの人気が高かったなあ~。おんなじ藤枝の蔵元でも、人気エリアのカテゴリーがあるんですね

 

 『磯自慢』さんが、前日搾ったばかりという貴重な酒粕をパッケージしてたくさん提供してくださいました。たぶん酒通が集まる酒の会では、ものの数分で売り切れるところでしょうが、『初亀』の酒粕はないの?と聞かれたりして・・・。

 

 もっとも、私がノミの市で店番していたのは昼前後のわずかな時間だったので、午後~夕方にかけ、パイロット版試写や朗読会目当てに来てくださる真性地酒ファンの方々からは『磯自慢』や『喜久醉』グッズが評判だったことは、後から聞きました。私がにぎやかしに置いた自作の詩画も、何点か売れたみたいで、地酒ファンの方々の存在がありがたいなぁとしみじみ

 

 

 

 

 面白かったのは、会員の佐藤隆司さんが趣味で集めたぐいのみをたくさん提供してくPhoto_4ださって、値段のつけようがなかったので、その場でお客さんと価格交渉したこと。

 (100円ショップものとは違い)窯元や作家から買ったそれなりの作品でしたが、佐藤さんが「100円から1000円ぐらいでいいんじゃないの?」とおっしゃってくださったので、剛腕店番?の櫻井さんが、「100円以上、おいくらでも。募金にさせていただきますので」とお客さんに上手にプレッシャーをかけ、櫻井さん曰く「想定以上の価格で売れた」そう。

 

 吟醸王国しずおかオリジナルおちょこは原価ギリギリの300円Imgp2673_2で売らせてもらい、こちらは某酒屋さんが「店でも売るから」とたくさん買ってくださいました。 ありがたいですぅ~

 

 

 

 

 サプライズは、島田の伊久美で週末ファーマーをやってPhoto_5いる県の石上さんと水口さんが、朝どり大根や唐辛子を持って来てくれたこと 「実がちっちゃいから」と1本50円の破格値で売ってくれました(100円にして50円分寄付してくれてもよかったのに~)。“松下米”の松下明弘さんが両名とさっそく畑談義に花を咲かせていました。新鮮野菜が並ぶと、“市(マルシェ)”って雰囲気が出ていいですね

 

 

 

 ノミの市に並べるのは申し訳ないのに、「隣でいいよ」とおっしゃってくれたのが、『蔵・クリ・クラ(酒蔵×クリエイターズクラフト)』出展の作家さんたち。陶芸の日比野ノゾミさん、一級建築士でもある野木村敦史さん、インテリアデザイナーでもある山内靖浩さんが、小粋な酒器やクラフト作品を直接持ち寄Photo_7 ってくださいました。隣で100円のぐいのみを売っているようじゃ、作家さんたちの営業妨害そのもの・・・と冷や汗をかきましたが、みなさん、文化祭を楽しんでくださったよう。

 終了後、「こういう場所でしか会えないいろんな分野のみなさんと話が出来て一日あっという間でしたよ」と感想メールをくださり、ホッとしました。

 

 

 

 

 

 

 今回のスペシャル出品は、倉島麻衣さんがこの日のために作ってくださっ たハンドメイドエプロン。『小夜衣』蔵元の森本均さんに書いていただいた『吟醸王国しずおか』のタイトルロゴを、完璧に刺繍で再現して、1枚1枚丁寧に縫いつけてくださったのです

 腰に巻きつけるカフェエプロンタイプで、生地は丈夫なコットン。色や模様もさまざまですが、酒蔵をイメージされたのか、渋めでPhoto_8 落ち着いたカラーが多いですね。でもこのレッドストライプのもクリスマスっぽくて可愛い

 

 

 麻衣さんは國本良博さんのお嬢様です。國本さんがフリーになられて初めて挑戦された10月末の朗読会(袋井市の月見の里)にうかがったとき、主宰者の主婦グループがバザーをやっていて、國本さんの奥さま和子さんが手作りせっけんを、麻衣さんが手作りエプロンを出品されていたのです。そこで見つけたエプロンが可愛くて、ダメ元で「うちのオリジナルエプロンって出来ます?」と頼んでみたら、思Photo_9いがけず快諾してくださって・・・

 

 最初はロゴマークをアイロンか何かでプリントする程度で簡単に作ってもらえればと、軽い気持ちでお願いしたのですが、森本さんの筆跡を大切に活かしたいと思われ、こんなに丁寧に仕上げてくださったのです。試作品を見た時はビックリするやら感激やらで・・・。

 

 

 『吟醸王国しずおか』に関わってくださる方は、本当に誰ひとり、手を抜かないといいますか、プロの方は、カメラマンの成岡さんしかり、デザイナーのオフィストイボックスさんしかり、イベントプロデュースの神田さんしかり、100%以上のスキルを発揮されるんですね。これは、つねに100%以上のスキルを発揮して素晴らしい酒を醸し出そうとする蔵元や杜氏さんへのリスペクトが、関わる者すべての心根にあるからだと思うんです

 

 5日も、國本良博さんと倉島麻衣さん父娘のプロのスキルをしかと見せていただき、そのことを改めて確信しました。

 

 

 ノミの市の場では、やっぱり蔵元グッズのほうに人気が集まり、麻衣さんのエプロンを十分ご紹介することができませんでしたが、「森本さんの書を、國本さんの娘さんがハンドメイドで再現してくれた世界に1枚しかないエプロンだ」という付加価値を、これからしっかりと伝えて行きたいと思っています。

 1枚2500円。クリスマスやお正月のギフトや、お酒好きの方へのプレゼントにいかがですか?「買いたい」「お店に置いてみたい」という方がいらしたら、ご連絡をお待ちしています


酒と匠の文化祭参加御礼

2010-12-06 13:41:49 | しずおか地酒研究会

 一昨日(4日)は静岡市クリエーター支援センターで『朝鮮通信使』上映会を、昨日(5日)、大旅籠柏屋にて「酒と匠の文化祭」を無事開催いたしました。自分が初めて関わった映像作品2本を2日連続で公開する機会に恵まれ、本当に幸せな週末でした。

 

 

 昨日はポカポカ陽気に恵まれ、11時のスタート前からお客様がいらっしゃいました。何人いらしたのかカウントしてなかったので正確な数字はわかりませんが、本当に大勢の方に来ていただけました。

 師走の日曜、何かとご多用のとき、最寄駅から距離のある会場まで足をお運びいただき、お買い物や試飲や体験参加を通して、映画制作へ温かいお気持ちを頂戴いたしました。

 

 

 最後のプログラム・國本良博さんの吟醸王国リーディングの最後の朗読が終わった後、お礼の挨拶で思わず泣いてしまいました。
 人前で泣くなんてお葬式以外、経験したことがなく、お恥ずかしい限りですが、たぶん、國本さんの朗読に感激したのと、お忙しい中、駆けつけてくださった蔵元さんがいらしたことと、朗読でも紹介した、もう二度とお会いできない蔵元や杜氏さんへの思いと、文化祭が無事終わったことへの思いがゴチャゴチャになったのでした・・・。

 

 

 今朝は、知恵熱といえば聞こえがいいかもしれませんが、頭や体を使う大仕事が終わった後に高熱が出る習性で、起きたり寝たりで、今日はちゃんとした報告が出来そうにありません・・・。

 

 

 詳細は改めて、ということで、まずは、ご来場くださったみなさま、開催にあたって多大なご協力をいただいたみなさまに心より御礼申し上げます。
 本当にありがとうございました。

 

 

 なお、当日の模様は、吟醸王国斗瓶会員の櫻井美佳さんが、こちらへUPしてくれましたので、まずはご参考にどうぞ。