日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

「おくの細道」を歩けば・・・

2011-05-31 11:24:20 | 編集手帳
  

  5月22日付 読売新聞編集手帳


  松尾芭蕉が江戸・深川から「おくのほそ道」の旅に出たのは元禄2年(1689年)、  
  陽暦で5月半ばのことだった。
  きょうあたりは栃木県の日光を過ぎ、
  いよいよ奥州入りが目前、那須・黒羽に逗留(とうりゅう)中の頃であろう。

  日光東照宮はにぎわいを取り戻しただろうか…。
  両陛下が那須御用邸のお風呂を開放され、
  避難中の人たちは喜んでいたな…。
  300年以上前の旅行記を改めて手にとれば、
  道中の地名に、この2か月余りの出来事が重なっていく。

  〈風流の初(はじめ)やおくの田植(たうえ)うた〉。
  白河の関を越えた所で一句したため、
  芭蕉の旅程は福島から宮城、岩手県へと進む。
  塩釜、松島、石巻、平泉― どこも、この大震災の被災地だ。
  今、同じ道を歩けば、
  俳聖はどんな句を残すだろう。

  田植えもままならない状況で風流に旅するわけには…
  と考えるのは、よろしくない。
  松島では湾内を巡る観光船が再開した。
  平泉は世界遺産に登録される見通しだ。
  東北三大祭りも開催されるという。

  インターネットのブログなどで、
  現代版の「おくのほそ道」がたくさん発信されるといい。
  東北を楽しむことが、
  一番の応援になる。
コメント