9月28日 NHK海外ネットワーク
危険ドラッグはアメリカでは合成ドラッグと呼ばれ深刻な問題になっている。
日本よりは規制は進んでいるが根絶には程遠いのが現状である。
(危険ドラッグ関連のニュース)
警察のよりますと運転手から危険ドラッグとみられる成分が検出されました
アメリカでも危険ドラッグの交通事故は多発していてメディアで大きく取り上げられることがある。
アメリカでは一昨年
より迅速に危険ドラッグを規制できるよう法律を改正し相次いで大規模な取り締まりを行っている。
今年5月にもアメリカの麻薬取締局が警察などと主に全米一斉に摘発を行った。
この時は150人以上を逮捕し危険ドラッグやその原料となる化学薬品を大量に押収したが
売る側とのいたちごっこが続いている。
(麻薬取締局担当者)
「我々が違法薬物に指定するたびに連中は成分を変えてくるんだ。」
12歳以上の人口のうち“大麻を吸った経験がある”が40%余にのぼるアメリカ。
西海岸にある喫煙道具の販売店の棚にはさまざまな種類のパイプやたばこの葉をまく巻紙が並んでいる。
若者だけでなく親子とみられるふたりも訪れていた。
店では危険ドラッグも以前は売っていた。
規制強化を受けて今は販売していないが町の若者たちに話を聞くと
「法律がどうあれお金になるから売る側は何とかして売る。」
「その筋にあたれば何でも買えるよ。」
なぜ危険ドラッグはなくならないのか。
その理由のひとつが“他の薬物ほど健康に害さない”という誤解が根強いからである。
また“青りんご”や“風船ガム”などまるで駄菓子のような商品名が多いことも若者たちの抵抗感を弱めている。
しかし危険ドラッグは一度手を出すと深みにはまりやすいのが実情である。
ロサンゼルス近郊にある薬物中毒者のリハビリ施設。
19歳の女性は15歳から薬物を使用。
薬物とアルコール中毒のため去年入所しリハビリのプログラムを受けた。
危険ドラッグを吸引したら意識がもうろうとしたり強い不安感に襲われるといった症状が出たと言う。
(リハビリを受けた19歳の女性)
「マリファナを吸おうと考えたら危険ドラッグの方が友だちから簡単に手に入った。
でもマリファナより危険だった。」
リハビリの担当者は危険ドラッグは安全だと勘違いしている若者の多さに警鐘を鳴らしている。
(カウンセラー)
「若者は危険ドラッグを安全と思いがちだが
実は成分がわからない分むしろ危険。」
危険ドラッグは吸引した本人だけでなく家族をも苦しめる。
エカートさん夫妻は今年7月に当時19歳だった息子のコナーさんは
吸引ドラッグを吸引したところ二度と目を覚ますことなく亡くなった。
コナーさんの部屋は亡くなった時のままである。
写真では笑顔のまま。
(ベロニカ・エカートさん)
「彼は社交的でユーモアがあっていつもみんなを沸かせていた。」
“危険ドラッグで子を亡くすつらさを繰り返してはならない”
若者にその川差を伝えようと病院で意識不明の状態で横たわるコナーさんの姿をフェイスブックで公開した。
(フェイスブックで公開中の映像)
彼は私たちの息子です。
19歳。
かけがえのない息子です。
公開直後から大きな反響を呼び世界中から3,500件を超えるメッセージが寄せられた。
(ベロニカ・エカートさん)
「私たちのようなつらい思いをほかの人たちにしてほしくない。
若い人たちの将来が奪われるのも見たくない。」
規制を強化してもなお若者たちをむしばむ危険ドラッグ。
根絶へはまだ遠い道のりである。