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フィリピンで論争 “ゴールデンライス”の是非

2014-10-10 07:15:00 | 報道/ニュース

9月29日 キャッチ!


フィリピンではゴールデンライスという遺伝子組み換えによって作られたコメの研究が進んでいる。
ビタミンA欠乏症を亡くすことにつながり
途上国の子どもや妊産婦を救うことにつながると期待される一方
人体や環境への影響を懸念し反対する声も上がっている。

途上国ではビタミンAの欠乏症が蔓延栄養失調の子どもや妊産婦の命を奪っている。
毎年50万人以上の子どもと数十万人の女性たちが視力を失ったり命を落としている。
ビタミンAを最も効果的に摂取する方法は肉屋葉物野菜を食べることだが値段が高いため口にすることはほとんどない。
そこでフィリピンでは主食であるコメにビタミンAを添加しようとしている。
しかしそのコメがいま遺伝子組み換え作物をめぐる激しい議論を呼んでいる。
マニラから南へ66キロ離れた国際稲研究所。
収穫量の多い品種や害虫に強い稲などが伝統的な品種改良によって作られてきた。
しかしゴールデンライスはこれらの稲とは全く異なる。
(国際稲研究所 トレンティーノ氏)
「トウモロコシの性質をイネに組み込むことでベータカロテンを含む稲を開発しています。」
コメの色が黄色くなるためゴールデンライスと名付けられた。
人体の中でベータカロテンはビタミンAに返還される。
しかしトウモロコシ地中の微生物の遺伝子をイネの遺伝子に組み込むため
多くの環境保護活動家が懸念を感じている。
2013年8月 環境活動家数百人がフィリピン政府の運営するゴールデンライスの試験場を襲撃した。
彼らはすべての稲を引き抜き破棄した。
ダニエル・オカンポさんは持続可能な農業を広める運動をしている。
遺伝子組み換え稲が他の作物を汚染するとのおそれからゴールデンライスに反対している。
(グリーンピース東南アジア オカンポ氏)
「いったん遺伝子組み換え作物が環境中に広がったら回収することは不可能です。」
試験場襲撃にオカンポさんたちは関わっていないとしつつも抗議活動には理解を示した。
(オカンポ氏)
「環境や健康への長期的な影響が心配です。
 安全だという証明はないのですから。」
アルフォンズさんは反対派の疑う安全性について調べている。
フィリピン農務省の稲研究所 通称フィルライスでゴールデンライスのプロジェクトのリーダーを務めている。
フィルライスはゴールデンライスが人と環境に安全かを検査している。
破壊された農場はフィリピン国内に15か所あるうちの一つだった。
研究者たちは元に戻すことは科学的には可能だとしつつもプロジェクトに対する心理的・政治的な打撃について心配している。
(フィルライス アルフォンズ氏)
「試験場の襲撃は心痛む出来事でした。」
アルフォンズさんは何千年も続いてきた従来の品種改良と遺伝子組み換えの違いは何もないと言う。
(アルフォンズ氏)
「なぜこの方法がいけないのでしょう?
 安全性を懸念しているとのことですが
 科学的にも証明された実績のある方法で安全性を確認しています。」
しかし遺伝子組み換え作物反対派は反論する。
(環境科学者 メディーナ氏)
「推進するのはまやかしだと思います。」
環境科学者メディーナさんは農民科学者パートナーシップ 通称マシパッグに所属している。
メディーナさんはゴールデンライスでなくてもビタミンは摂取できるとしている。
マシパッグが従来の品種改良した米。
サツマイモにも多くのビタミンAが含まれていると言う。
しかしフィリピンの主食はあくまでコメ。
研究所はコメの栄養価を高める研究を続けている。
(国際稲研究所 トレンティーノ氏)
「今後も試験や研究を続けていきます。
 そしてデータは科学者だけでなく閲覧を希望するすべての人に公開します。」
反対派が試験場を破壊したため多くの人の命を救う可能性のあるコメの開発は遅れることになった。
反対派は自らその立場を不利にしたのかもしれない。


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