10月12日 BIZ+SUNDAY
世界ももっとも著名な投資家の一人ジム・ロジャーズ氏。
ジョージ・ソロス氏 ウォーレン・バフェット氏と並び
世界3大投資家のひとりとされ総資産は1兆円を超えていると言われている。
シンガポールの高級住宅街。
7年前にニューヨークから家族とともに移り住んだジム・ロジャーズ氏(71)。
これまで2度世界一周旅行をし自分の目でさまざまな国を見て投資する独自のを築いてきた。
常にマネーの動きを先読みし
アメリカのブラックマンデーや日本のバブル崩壊を予見したことでも知られている。
Q.今月アメリカは量的緩和を終了させるが世界のマネーの動きはどのように変わる?
(投資家 ジム・ロジャーズ氏)
「国債の買い入れをやめれば価格は下がり心配するくらい金利は上がるだろう。
それは中央銀行が驚くようなレベルかもしれない。」
量的緩和の終了で悪化に向かう景気。
中央銀行は再び金融緩和を行わざるを得なくなるとロジャーズ氏はみている。
「中央は言うでしょう。
みなさんを助けるためにもっと紙幣を刷ると。
来年か再来年にはバブルになっているかもしれません。
みなさんも注意して準備しておいた方がいいですよ。」
山高ければ谷深し。
バブルのあとにくる次の不況はかつてない深刻なものになると予言する。
「次の不況は最悪でしょう。
国の借金も紙幣の発行も多すぎるからです。
経済危機は常に生まれるものでアメリカでは建国以来4~5年周期で経済の減速が起きています。
政治家が何とかするから心配するな。
二度と不況は起こらないと言いますが必ずまた起こるのです。
リーマンショックはITバブル崩壊の時より悲惨でした。」
深刻な不況に陥れかねないと警告するロジャーズ氏。
各国の中央銀行の金融政策を厳しく批判する。
「彼らは紙幣をばらまくことが人々を支えると思い
史上初めて日本・アメリカ・イギリスなど主要な中央銀行すべてが大量の紙幣を発行している。
しかしこれは人工的で実体を伴ったものではありません。
人工的に海の水位を上げているようなものです。
それが終わるときみんなひどく苦しむのです。」
ロジャーズ氏がシンガポールに移住したのは成長し続けるアジア経済に注目しているからである。
幼い娘には中国語を学ばせていると言う。
誇らしげに見せてくれたのは中国語でスピーチをするお嬢さんの写真。
「みんな『なんて賢いんだ』と言っていたよ。」
ロジャーズ氏は日本経済をどう見ているのか。
したたかな投資家の目でこう答えた。
「私も日本企業の株を持っていますが株価は大量に紙幣を発行しているおかげでもっと上がるでしょう。
ただ私は3年以内に手放すかもしれません。
いま日本がやっていることは円の通貨価値を下げることです。
一時的に輸出産業を潤しますが
歴史上 通貨価値を下げて成長した国はありません。」
Q.日本は量的緩和を終えることができると思うか?
「不可能ではないですね。
痛みは伴います。
しかし本来早めにやめるべきです。
日銀がすでに大量の紙幣を発行しているので日本国債の金利は低く抑えられています。
利回りは無いに等しく
日本で貯蓄をしている人にとっては破滅的なことです。
多額の借金をする人たちを助けるために人工的な低金利によってひどい目に合っているのです。 」
日本への厳しい言葉を並べるロジャーズ氏だが親日家としても知られている。
最後に日本経済復活への期待を語った。
「日本はすべてが快適できれいで効率的です。
食事も最高だし女性は美しく男性は頭がいい。
素晴らしい国です。
残念ながら今は通貨が下落し借金が増え人口も減少していますが30~40年前は素晴らしい国でした。
私は日本にあるものが大好きでそれが無くなってほしくないのです。
もし日本がダメになったら私は何処で寿司を食べたらいいのですか。」