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ハンガリーに医学留学

2014-10-26 10:30:00 | 海外ネットワーク

10月19日 NHK海外ネットワーク


海外で医学を学ぶというとアメリカやドイツへの留学を思い浮かべるが
実は今注目を集めているのはハンガリー。
ハンガリーは外貨を獲得する狙いもあって1980年代から留学生を積極的に受け入れてきた。
アメリカなどに比べると入学の門戸が開かれているとして日本の学生の間で人気が高まっている。

ヨーロッパ中部ハンガリー。
4つの国立大学の医学部で約270人の日本人留学生が学んでいる。
首都ブダペストにある国立センメルワイス大学は400年近い伝統を誇る名門である。
大学では現在60以上の国や地域から留学生を受け入れている。
学生の3割を留学生が占めている。
(イタリアからの留学生)
「病院で実習をする機会が多くいい訓練になる。」
(ノルウェーからの留学生)
「教育のレベルが高いので国に戻ってからも医師になりやすい。」
この大学の医学部に4年前に入学した加藤佑介さん(24)。
国際的に活躍できる医師を目指している。
当初は日本の大学の医学部への進学を希望していたがあきらめた。
国公立大学の入試には不得意な科目があり
私立の大学は学費の負担が重すぎたからである。
(加藤佑介さん)
「頑張れば私立の医学部に行けるかもと思ったころ学費の高さを知った。」
 親に話したら『この学費では行かせてあげられない』と言われて
 どうしようと。」
加藤さんがハンガリーへの留学を決めた大きな理由は日本に比べて入学しやすいことだった。
入試では面接を重視しやる気を高く評価してくれた。
学費が日本の私立大学に比べて安いことも魅力だった。
日本の私立大学の医学部を卒業するには1年間の平均の学費は最低でも約350万円かかるが
ハンガリーではその半額程度の約180万円で抑えられる。
(加藤佑介さん)
「ここなら行けるかもしれないと思ってその日のうちに決めて親に相談した。
 『頑張ってみれば』といってもらえてそれで決めた。」
さらにハンガリーでは授業が英語で行われることも留学生の人気を集める理由となっている。
将来アメリカなどで活躍する可能性につながるからである。
しかし日本の学生の中には英語で行われる専門性の高い授業についていけず退学する人も少なからずいる。
同じ時期に入学した59人の日本人学生のうち17人がすでに退学した。
加藤さんは順調にいけば2年後に卒業する。
日本とヨーロッパでそれぞれ医師免許を取得するための試験に挑戦するつもりである。
加藤さんを支えているのは日本から応援している友人たちの存在である。
「 色紙だと大事なテストに持っていくわけにいかない。
 高校の同級生が『パンツならはいて行ける』とくれた。
 医師国家試験にはいて行けたらいいと思っている。」
「医師になれたら最初は日本で働こうと思っている。
 ヨーロッパの医師免許がとれるから
 機会があれば日本の良い医学をヨーロッパに伝えて
 ヨーロッパの医学を日本に持って帰ってこられたらいい。」

今年の日本の医師国家試験ではハンガリーの大学の卒業生4人が合格したということである。

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澄んだまなざし

2014-10-26 08:15:00 | 編集手帳

10月23日 編集手帳

 

「瞳」という字は目に童(わらべ)と書く。
詩人の堀口大学によれば、
フランス語では「ラ・ピュピル・ド・ロイユ」(目のなかの人形)と呼ぶらしい。

〈ときに東洋人も西洋人も、同じ見方、感じ方をする〉と随筆『捨(すて)菜籠(なかご)』 に書いている。
小さな子供と往来で行き会えば、
無事に車道を渡れるか、
誰かにいじめられていないかと気にかかる。
洋の東西で言葉の成り立ちが示すように、
いたいけな子供の姿は大人の瞳に映りやすい。

それはそうなのだが、
心が利己に傾くとき、
たちまち曇るのが瞳である。
わが身の生死が危ういなかで、
見ず知らずの子供を瞳に映し、
手を差し伸べられるかと問われれば、
自信がない。

御嶽(おんたけ)山(さん)の噴火に遭った横浜市の会社員近江屋洋さん(26)は避難のさなか、
「寒い」と訴える愛知県の小学5年生長山照利(あかり)さ ん(11)に自分のジャンパーを着せたという。
ともに亡くなった。

二人のご遺族には、
1枚のジャンパーを介してのふれあいも、
新たな涙を誘う悲しい物語かも知れない。
11年という照利さんの短い人生を最後に温めただろう近江屋さんの澄んだまなざしに、
こうべを垂れて目をつむる。

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