6月17日 経済フロントラインン
家具や日用品を販売するニトリの技術開発室。
この日担当者が始めたのは商品の電子レンジの分解である。
部品を1つずつバラバラにして
耐久性や設計どうりに作られているかを調べる
通称“全バラ検査”。
電化製品やキッチン用品など
安全性が問われる商品の多くを対象にしている。
部品にどんな材料が使われているのかを調べる検査機器など
この10年で1億円を投資。
スタッフを100人に増員した。
ニトリが品質管理に力を入れることになったのは
10年前に中国製の土鍋を自主回収したことがきっかけである。
土鍋のふちについていた物資を消費生活センターが調べたところ
鉛やカドニウムが検出されたのである。
商品の品質統括責任者 杉山清さん。
自動車メーカーで開発を担ってきた手腕を買われ引き抜かれた。
(ニトリホールディングス 品質統括責任者 杉山清さん)
「当時の品質検査は文字通り“検査”だった。
見ていいか悪いか以上のものはできなかった。
私たちはメーカーと同等の技術を持って検証できるようにした。」
杉山さんは届いた商品を調べるだけでなく
月に2度は海外の下請け企業に出向きチェックを行っている。
さらに独自に開発した品質保証マニュアルを海外の下請け企業にまで公開。
ノウハウを下請け企業に伝えることで
さらにその先にある孫請け企業などにもチェックが及ぶように考えたのである。
(ニトリホールディングス 品質統括責任者 杉山清さん)
「全部を含めて全方位的にやらないかぎり
漏れが出てくる。
モノづくりのグローバリゼーションをやるときには
必ずうちだけでなく
うちの考え方を理解してくれるような取引先や従業員の育成
上から下まで同じ考え方を持ちながら進んでもらうということをやらざるを得ない。」
品質管理にどれくらい労力をかけるのか。
専門家は“経営トップの決断”しだいだという。
(中央大学理工学部 経営システム工学科 宮村鐡男教授)
「実際に実行するためにはトップのコミットメント(かかわり)
リーダーシップが不可欠になってくる。
積極的に対応していく
そういう必要性が高まってきている。」