6月22日 キャッチ!
フランスでは近年の日本食ブームに合わせ日本酒の輸入量が増えていて
この3年間で約10倍になっている。
パリ中心部にある和食レストラン。
いまフランスの食通の間で人気が急上昇しているのが日本酒である。
(客)
「今夜は2種類の日本酒を飲みました。
フルーティなのに力強いのでいろいろな料理に合いますよね。」
この店の常連客の1人 シルバン・ユエットさん。
フランスでは数少ない日本酒の専門家の1人で
ブログで最新情報を発信したり
日本酒を紹介するイベントを開いたりしている。
(日本酒の専門家 シルバン・ユエットさん)
「日本酒は酸味が少なく赤ワインのように渋みもないので
西洋の料理によりマッチするはずです。」
18年前に初めて日本を訪れてから日本酒のとりこになったというユエットさん。
案内されたのは多くの日本酒を取り扱っている食料品店。
1960年代にフランスに輸入されるようになった日本酒は
90年代
日本の地酒が多く紹介されたこともあってブームに。
近年は有機野菜を使った健康志向のフランス料理に合わせやすいまろやかな味わいの大吟醸など
高級酒も好まれるようになっている。
(店員)
「日本酒には様々な種類や味があるので
さらなる可能性を感じますね。」
ユエットさんがやって来たのはパリの日本文化会館。
この施設が主催した日本酒の試飲会での講演を依頼されたのである。
昨今の日本酒ブームを物語るように会場は満員。
(日本酒の専門家 シルバン・ユエットさん)
「これは精米の違いによる種類を示していますが
より精米した方が品質が良くなり価格も高くなります。」
試飲会で紹介されたのは
秋田や島根など5つの県にある酒蔵の高級酒。
参加した人たちもそれぞれの味わいに満足げだった。
(参加者)
「日本酒の味は私たちにとって非常に興味深く
香りや酸味
繊細さが大好きです。」
ユエットさんは日本酒の魅力を正しく理解してもらうことが大切だという。
(日本酒の専門家 シルバン・ユエットさん)
「日本酒は“アルコール度数が強い”とか
“蒸留酒”とか思っている人が多いです。
そういうイメージを変えるのが渡井の使命です。」
一方フランス料理と組み合わせることで日本酒を楽しんでもらおうという試みも始まっている。
フランス料理のシェフ ギー・マルタンさん。
業界の関係者を招待して
自ら選んだ日本酒と共に創作料理をふるまった。
マルタンさんはレストランの格付けで知られるミシュランガイドで2つ星を獲得した店の料理長である。
これまで100回にわたって日本を訪れる日本通で
日本酒を使ったメニューも数多く生み出してきた。
提供されたのは地元の食材を使った料理の数々。
(シェフ ギー・マルタンさん)
「スズキのタルタルと酢漬けの野菜にソバの実をのせた料理です。」
日本酒に何時間もつけたカモ肉の皮を焼いて季節の野菜を添えた料理。
柔らかくなった肉に掛かるのは伊勢えびのソースである。
飲み物としてだけでなく料理にも日本酒を生かそうと考案した。
この日集まったのは料理を専門に取材する地元の記者たち。
マルタンさんの腕前に魅了されたようである。
(記者)
「今回の料理と日本酒の組み合わせに
私の認識は完全に覆されました。」
マルタンさんは自分の創意工夫を生かして日本酒の魅力を今後も伝えたいと考えている。
(シェフ ギー・マルタンさん)
「私の創作料理が持つ日本酒の香りや食感は私の店でしか味わえません。」
フランスで広がる新たな日本酒ブーム。
そこには日本酒を愛するフランス人の情熱が息づいていた。