12月16日 NHK「おはよう日本」
世界遺産 仁和寺はかつて皇室出身者が住職を務めた格式の高い寺院である。
国宝の金堂や重要文化財の五重塔など
貴重な文化財が残る。
しかし去年の台風などで境内も大きな被害を受けた。
寺では仁和寺の今の美しい姿をなるべく多くの写真に残そうと取り組みを始めた。
世界遺産 仁和寺。
平安時代に創建された。
国宝の金堂をはじめ貴重な文化財が人々を魅了する。
仁和寺の僧侶 金崎義真さん。
文化財を未来に引き継いでいくにはどうしたらいいのか
危機感を募らせている。
(仁和寺 金崎義真さん)
「台風21号でこの屋根の部分が風でめくれて
直系2~3mくらいの大きな穴が開いた。」
相次ぐ台風の影響で重要な建物のあちこちに大きな被害を受けた。
(仁和寺 金崎義真さん)
「台風や災害がないと考えるよりも
来てはいけないけども
あると考えて
景色風景を含めて記録をどんな形でもいいので記録を残しておく。
記録がないと後の人が追うこともできません。」
多くの人が撮影する仁和寺の姿は貴重な記録につながるのではないか。
金崎さんは写真の投稿サイトを運営する会社に相談した。
東京カメラ部の塚崎秀雄さん。
美しい写真を撮るための環境づくりも手掛けている。
電柱が邪魔をしていた北海道のケース。
町と協力して電線が写り込まないように移設をした。
今まで見たことがないに仁和寺の姿を撮影してもらおうと
塚崎さんたちが動き出した。
計画したのは撮影のためだけの夜間拝観である。
なるべく多くの人に貴重な文化財を美しく記録してもらうことが目的である。
文化財と紅葉が最も映える照明を探る。
(東京カメラ部 塚崎秀雄さん)
「ここだけスポットが当たっているので目で見えるより差がある。
ここが暗い。
変えないと。」
「ここから簡単にきれいに撮れるんだったら
我々が前もって撮れる環境として整備する。」
紅葉越しなど建物が最もきれいに写るアングルを見つけていく。
参道にたたずむ若い僧侶を撮影してみると
写真の右側に寺が設置したライトが写り込んでしまうことに気がついた。
「ライティングがちょっとゴツいな。」
「これはきびしい。」
ライトが見えない位置まで移動することにした。
11月 紅葉があでやかに境内を彩る。
初めての試みとなる夜間拝観が始まった。
「わあ すごいね 貸し切り!」
「めっちゃいい!」
多くの寺で使用が禁止されている三脚の使用もOKである。
この日は僧侶
そして特別に舞妓も登場した。
寺の魅力を引き立てる。
(拝観客)
「静かな中であらかじめ撮影に特化した雰囲気を楽しめるというのは
すごく良かったです。」
およそ1か月間で1千人以上が訪れた。
今まで撮られたことがなかった夜の仁和寺。
SNSを通して世界に発信される。
(東京カメラ部 塚崎英雄さん)
「いま撮っておかないと
昔記録を残してくれたことが後世にバトンがつなげない。」
(仁和寺 金崎義真さん)
「残る可能性があるんであったら
それに対する努力はいとわない。
皆さんが大切にデータを保管するって言いながら帰っていく姿は良かった。」
多くの人が写真に収めた仁和寺の姿。
貴重な記録として未来に伝わってほしい。
仁和寺の試行錯誤は続く。