12月20日 NHK「おはよう日本」
宮城県石巻市北上町。
震災後 北上川を望む日当たりのよい高台に木が植えられた。
たわわに実を付けていたのは暖かい気候を好むオリーブ。
石巻市と地元の農家が連携して栽培に取り組み
今年で4年目を迎えた。
その成長を誰よりも楽しみにしている男性がいる。
地元の農事組合法人みのり 代表 千葉さん(70)。
「やっとここまで来たという感じ。
去年と比べたら
だいぶ実の付きが違う。
希望が持てる。」
千葉さんが生まれ育った地区には小学校があり
およそ80世帯が暮らしていた。
しかし東日本大震災の津波により集落は壊滅。
千葉さんの自宅や農地も大きな被害を受けた。
高台に住宅地が造成されたが
再建したのは千葉さんを含めわずか10世帯のみ。
故郷に活気を取り戻したい。
千葉さんは震災から2年後の2013年
千葉さんは仲間とともに農事組合法人を起ち上げた。
コメや大豆
野菜を作り
少しずつ規模を拡大していった。
(千葉さん)
「誰かがやらなければいけないから。
被災した人たちを何人かでも雇い入れれば
それだけ地域も潤う。」
そんな千葉さんのもとに市から新たな提案が持ち掛けられた。
オリーブの栽培である。
他の地区の農家とともに勉強会を開き
オリーブの本場の四国に見学にも行った。
植樹からずっと指導を続けている香川県のオリーブ農家の荒井さん。
「香川でも雪は降ります。
積もります。
それでもオリーブは持ちこたえますので
この宮城県の石巻で
雪が1週間程度で溶けるんだったら問題ない。」
荒井さんの指導のもと
まんべんなく太陽が葉にあたるよう小まめに選定したり
枝に虫がついていないか1日おきに木を1本1本見てまわったりした。
これまで茨木が北限と言われていたオリーブ。
4年目となる今年は高さ3メートルまで成長した。
(千葉さん)
「オリーブを植えて緑が増えていけば
地元の人も帰ってきて
うちの屋敷の跡がこうなっているんだって
うれしく思うと思って。」
収穫は11月
今年も順調に生育し500キロの収量を見込んでいた矢先
台風19号が襲った。
強風でオリーブの実は落ち
枝も根元から折れてしまった。
被害は200本近くにのぼった。
11月中旬
収穫の日を迎えた。
地元の人たちやボランティア
およそ50人が手伝いに駆け付けた。
収穫できたのは予定していたのよりも少ない100キロだった。
(千葉さん)
「全部残ってなくても
収穫できて喜びもひとしおってところだね。」
地区にはこの秋 新たにオリーブ専用の加工場も作られた。
収穫したばかりの実を使ってオイルを絞る。
石巻で育ち石巻で絞られたオリーブオイルである。
「いい香り
ばつぐんだね。」
「味としては香りがいいようだね。
こういうおいしい
すばらしいものができたことは
これからに向けて作りがいがある。」
(千葉さん)
「石巻のブランドで
“北限のオリーブ”として売り出せれば
挑戦ですよね。
本当に今でいうチャレンジですよ。」