日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

おふくろ定食を彩った名わき役

2015-02-15 08:17:22 | 編集手帳

2月10日 編集手帳

 

石屋の大将は焼き海苔(のり)が好物らしい。
「海苔と梅干がすたれるようじゃ、日本もおしまいだよ」。
往年のテレビドラマ『寺内貫太郎一家』の食事場面を向田邦子さんのシナリオから引いた。

食卓には、
きっとあの小さな醤(しょう)油(ゆ)びんが置かれているだろう。
焼き海苔や納豆、目玉焼き、目刺しなど昭和のごちそうをつつましく彩った名脇役である。
キッコーマン「醤油卓上びん」で知られる工業デザイナー、栄久庵憲司(えくあんけんじ)さんが85歳で死去した。

実家は広島市の爆心地から500メートルほどの距離にあり、
原爆で父親と妹を亡くしている。

終戦を迎えて海軍兵学校から自宅に戻ってみると、
風景が無残に消えていた。
「秩序のある、美しいモノの世界」に恋い焦がれて工業デザインの道に入ったと語っている。
赤いキャップの醤油びんは、
むごい炎を知る人が悲しみを代償にして、
津々浦々の平和な食卓にともしたロウソクの灯だったかも知れない。

飯島晴子さんに春の句がある。
〈結局みんなおふくろ定食竹の秋〉。
訃報に接し、
遠い日の卓(ちゃ)袱台(ぶだい)と、
布巾(ふきん)をかけたお櫃(ひつ)と、
おふくろ定食のあれこれを瞼(まぶた)に浮かべた方もあろう。

 

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思いを受け止める「漂流郵便局」

2015-02-15 08:00:00 | 編集手帳

2月8日 編集手帳

 

ザ・ドリフターズのいかりや長介さんは人気番組「8時だョ!全員集 合」の放映後、
よく父から電話を受けた。
「おい、見たぞ」。
それだけ告げて切れる短い電話だったが、
励まされた。

年を重ね、
鏡に映る自分の姿が亡父に似て くると、
〈いつもそばに付いていてくれるのだと一人勝手におもったりするようになった〉という。
自伝『だめだこりゃ』に記す。

「また、『見たぞ』って電話くれ」。
いかりやさんなら、
そんな文面だろうか。
届け先のないはがきを預かる場所がある。
漂流物が着く浜辺のように、
思いを受け止める「漂流郵便局」。

瀬戸内海に浮かぶ粟島(香川県三豊市)にある。
一昨年、
芸術祭への参加作品として旧郵便局舎を利用し、
局留めで募ったはがきを展示した。
はがきは今も届き続け、
3600通を超えた。
開館する第2・第4土曜に閲覧できる。
本紙夕刊(大阪本社版)で紹介していた。

亡き父母へ、
早く逝った子へ、
昔心を寄せた人 へ…。
〈いまだったら言える たくさんのありがとう〉
〈会いたい〉。
読んで、
涙を流す来場者もいるという。
心に大切な人を持つ温かさを、
かみしめた。

 

 

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お前と話そ夢に来(こ)よ

2015-02-14 08:00:00 | 編集手帳

2月7日 編集手帳

 

親を亡くした子供を孤児という。
伴侶を亡くした人を寡夫、
あるいは寡婦という。
子供を亡くした親を呼ぶ言葉はない。
なぜだろう。

「その痛みは言葉に尽くせないからだ」。
かつて〈9・11〉テロの追悼式典で、
当時のニューヨーク市長が述べた言葉である。
日本語だけでなく英語にも言い表す単語はないようである。

和歌山県紀の川市の空き地で、
小学5年生の森田都史(とし)君(11)が男に複数の凶器で襲われ、
殺害された。
言葉に尽くせない痛みをたとえ万分の一でも和らげる手だては、
犯人に罪を償わせること以外にはあるまい。

川柳作家の麻生路郎(じろう)に〈湯ざめするまでお前と話そ夢に来(こ)よ〉の一句がある。
病没した小学生の長男に語りかけた一周忌の作という。
病床で静かに命を終えた子にも、
残された親が「お前と話そ。おいで」と言えるまでには1年という時間がかかる。
胸を刺され、
全身に10か所もの傷を負って死んだわが子に夢で会い、
何を話せるだろう。
抱きしめて泣くばかりに違いない。

むごい人質事件で、
うなだれた父の背中と、
やつれた母の涙を見たばかりである。
名のみの春がいっそう寒い。

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バレンタインへの情熱 いったいどこへ?

2015-02-13 08:00:00 | ビズ プラス

2月8日 BIZ+SUNDAY

 

バレンタインの市場規模の推移は2012年を境に減少に転じている。

30年以上前のニュース映像には当時の女性たちのバレンタインに賭ける情熱が記録されていた。
Q、だれにあげるの?
「好きな人
「本命だけ
いま街の女性はバレンタインをどのようにとらえているのか。
「バレンタインはあげないですね。」
「毎年やらなきゃという感じは減った。」
「あげて告白しようとは思わない。
 バレンタインには。」
「そんなに特別な感情もってバレンタイン迎えてない。」
バレンタインの情熱はいったいどこへ行ってしまったのか。
冷めてしまった女心に再び火をつけたい。
ある方法で巻き返しを図ろうとしている東京渋谷の店。
売り場にあるQRコードをスマホで読み込むと
お前は俺だけを見てればいいんだよ
甘い言葉をささやく男性の動画が見られる。
この腕で君を抱きしめてもいいかな
さらに
バレンタイン向けに仕掛けられたあるイベントのための行列が出来ている。
Q,今日は何のために?
「キュンキュンしたいから
女性たちの目当ては壁ドン。
チョコレートなど1,000円以上買うと素敵な男性に壁ドンしてもらえるイベントである。
きょう呼び出してごめんね
言いたかったことがあるんだ
「バレンタインのことを意識する。
 お店に行ってチョコ見てみようかなと思う。」
「これを機に材料を自分で買って誰かに渡そうかなと思う。」
(東急ハンズ 渋谷店 木村隆利さん)
「売り上げは大体ずっと横ばい。
 なんとか少しでも多くのお客様に来てもらいもっと盛り上がって
 商品をたくさん買っていただきたい。」

 

 

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円安時代 企業の経営戦略 ②進む円安 製造業の国内回帰 

2015-02-12 08:00:00 | ビズ プラス

2月1日 BIZ+SUNDAY


生活用品メーカーのアイリスオーヤマ。
このメーカーは主に中国大連にある自社工場で家電製品や収納用品を生産。
低価格を武器に販売を伸ばしてきた。
しかし円安が進んだ今これまでの生産体制の見直しを社長の大山健太郎さんは始めている。
(アイリスオーヤマ 大山健太郎社長)
「今の為替に応じたものづくりをしようと思うと国内回帰
 これからいろんな企業で進むのではないか。」
なぜいま国内回帰を進めようとしているのか。
それは日本と中国の生産コストが変わってきているためである。
このメーカーではどちらの国で作ったほうが安いか
すべての商品で詳細に比較している。
(ペット・園芸事業部 佐藤耕平統括事業部長)
「一商品一商品 製造原価であったり物流コストも含めてかなり細かく項目を見て
 トータルどちらが得か判断している。」
3年前 1ドル=80円のころ中国の生産コストは日本を大幅に下回っていた。
しかし円安が進んだいま中国での輸送費と製造費は増加。
商品によっては日本の方が安いコストで作れる。
(アイリスオーヤマ 大山健太郎社長)
「中国で作る方がメリットがあるか
 日本で作る方がメリットがあるか
 ポイントが110円(=1ドル)。
 110円を超えると国内で生産した方がコストだけでなくリードタイム(品物を使えるまでの期間)
 プラスになる商品がある。」
園芸とペット用品の開発チーム。
次の新商品から中国ではなく日本で生産することを決めた。
さらにメーカーはこの円安の流れが変わることも視野に入れている。
(鳥栖工場 副島昌和工場長)
「ここは10人弱 人の工程を減らしたライン。
 無人ライン。」
主力商品のLEDの工場。
一部の製造ラインではすべての作業をロボットに切りかえ生産性の向上を目指している。
将来 仮に円高になっても日本に工場を残すためである。
(アイリスオーヤマ 大山健太郎社長)
「出来るだけロボットで人手を使わずに生産できるものは国内生産に変えたい。
 どちらに振れても収益がとれるような体制作りをしておきたい。」
為替の変動に生産体制を左右されない動きはいま国内に広がっている。
ロボットを使った生産ラインを手掛けるメーカー。
去年の秋から受注が急増している。
(アステック 有我敦司社長)
「昨年比で受注は140%近い。
 このままでいくと140%を超える。
 過去最高の受注額 売上額。」
生産コストを極限まで削り海外との競争に勝つ。
円安をきっかけに日本企業の先を見据えた動きが始まっている。
(アステック 有我敦司社長)
「自分のところの力をアップさせてグローブルで戦える形に持っていこうとしている会社が増えている。
 日本には力を持っている会社がいっぱいありますから
 海外との差別化はできる。」

 

 

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円安時代 企業の経営戦略 ①円安に負けない スーパーの戦略

2015-02-11 08:00:00 | ビズ プラス

2月1日 BIZ+SUNDAY


全国で約700店舗を展開するスーパーチェーン。
輸入食品や自社ブランドの製品など独自の品ぞろえで去年は2000億円を売り上げた。
「他のスーパーでおいていないようなものもある。」
「こちらのオリジナル商品が揃っている。
 よく利用している。」
ところが急速に進む円安が会社の経営を圧迫している。
商品の約3割を占める輸入品の仕入れ価格が上昇。
自社ブランド商品の原材料費も上がっている。
(神戸物産 沼田博和社長)
「どうしても為替の影響を強く受ける。
 1ドル70円後半のころから今を考えると何もしないと70~80億円の損失が出るだろう。」
このスーパーチェーンを運営する神戸物産。
円安の逆風に対抗し大胆な戦略を打ち出している。
多くのスーパーがコストが増加する中で商品の値上げを迫られているがあえて値下げに踏み切った。
たとえば鍋スープは原料の大豆などの価格が上がっているが約3割値下げした。
何故値下げで来たのか。
実はこの会社は全国各地に自社工場を持っている。
工場を24時間稼働させて生産量を倍増。
値下げが実現できた。
(神戸物産 STB開発部門 岡本道暁部門長)
「自社で加工したものを自社で販売する製販一体の流れが築き上げられている。
 圧倒的な生産量 圧倒的な価格で打ち出して勝負にいく。」
さらにこんな方法でも安値を実現している。
牛乳工場で作っているのはなんと水ようかん。
すでにある製造ラインを使うために牛乳パックにようかんを入れる。
これまでにない発想によって安値を実現した。
(神戸物産 STB開発部門 山先孝和さん)
「設備投資は新たに何もしていない。
 牛乳や乳製品を作るラインをそのまま生かして使用しているので
 十分な利幅は確保できる設計になっているので攻めていけると思っている。」
この会社には円安に対抗する戦略がもうひとつある。
他社が円安で輸入食品の扱いを減らそうとするなか逆に扱いを増やしている。
たとえばハラル商品。
j豚肉やアルコールを使わないなどイスラム教の戒律に対応した商品である。
今後 東南アジアや中東からの旅行者が増えれば需要の増加が見込まれるハラル商品。
開発チームではさらに品ぞろえを増やそうとしている。
円安という逆風の中であえて攻めの経営をする。
小さな積み重ねが業績アップにつながっていた。
(神戸物産 商品開発部門 松村敦子部門長)
「どの店舗も円安というのは同じなので
 その中でどれだけ上を行くか先を走れるか
 南アフリカとか今まで日本には商品を入れていないメーカーを探して
 そこを指導していい商品を安く入れてきている。」
(神戸物産 沼田博和社長)
「他社にない商品を作ってお客様に喜んでいただく。
 商品開発は日々チャレンジだと思うので
 チャレンジを繰り返しながらオリジナル性に磨きをかけていきたい。」


 

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常識破りの会議室で日本は変わる!

2015-02-10 08:00:00 | ビズ プラス

2月1日 BIZ+SUNDAY


結婚式場、お化け屋敷、銭湯、野球場
一見何のつながりもないようだが実は会議室として貸し出されている。

東京大田区にある400年の歴史がある由緒あるお寺。
鬼子母神が祭られているお堂が貸し会議室になっている。
法事の時以外はほとんど使われていなかったというこのお堂。
1時間1万円で借りることが出来る。
豊島区のオフィスビルでは屋上を会議室として貸し出そうとしている。 
企業が家人が所有するこうした空きスペースを会議室として貸し出しているのが
スペースマーケット社長 重松大輔さん(39)。
スペースマーケットが仲介する会議室は全国に1400か所。
インターネットで予約し料金を支払うだけで誰でも利用することが出来る。
(スペースマーケット社長 重松大輔さん)
「野球場は野球をするところ。
 固定概念をちょっとずらしてみるとなんかすごく面白いなと思って。
 『よし会議室で会議やるぞ』って言われて当たり前だとワクワクしない。
 『きょうは銭湯化しきって会議やるぞ』『きょうはお寺貸し切って会議だ』とか
 場所が変わるだけでワクワクするというか雰囲気とか意外性が刺激する。」
東京世田谷にあるお店 ドードーの空。
9時から16時まではカフェとして営業しているが
客足が減る17時以降23時までは会議室として貸し出されている。
この日会議を行っていたのはIT関連のベンチャー企業。
会議が終わればお店の調理場を使ってみんなで打ち上げの準備。
(利用者)
「日常の仕事の延長戦だと思いつかないことを思いついたりする。」
“会議が変われば日本は変わる”
つまらない会議に風穴を開ければ閉塞感漂う日本の起業にも変化が起きると重松さんは考えている。
(スペースマーケット社長 重松大輔さん)
「やっぱり場所だと思う。
 場所が違うだけでやっている内容は会議で
 もちろん一生懸命考えてみんなやるわけですけど
 意外な組み合わせで新しい感動というかワクワクする何かを生み出せると思った。」
大学卒業後 大手企業に就職した重松さん。
しかし自由な発想が少ない職場を窮屈に感じていたという。
「いろいろきっちりいろんなものが決まってて枠を外れてやると怒られたりとか。
 学生時代までは自由奔放にやってましたんで社会に出てハンマーで殴られたような。」
その後会社を退職し去年独立。
モットーは“世の中を面白くすること”。
(スペースマーケット社長 重松大輔さん)
「今 世の中的に日本が成熟してきたということだと思うが
 非常にきっちり統制が取れてきてまじめな社会になってきて
 私たちが子どもの頃ってもっといい加減だった気がする 日本って。
 世の中を面白くしたいと思って。
 面白いことを仕掛ける集団でありたいということは大切にしている。」
常識を打ち壊すことが新しいビジネスにつながると語る重松さん。
今でも毎日街を歩き新たなビジネスチャンスを探している。
「なんか世の中の常識と違うものを常に探していますよね。
 それ 世の中的にはみんなこう思っているけど
 あッ 実はこうだったんだみたいな。」
常識破りの会議室ビジネス。
重松さんはそこから世界に羽ばたくベンチャーが生まれてほしいと願っている。
(スペースマーケット社長 重松大輔さん)
「今の日本に足りないのはチャレンジする人。
 チャレンジする人の絶対数が足りない。
 新しくチャレンジして成功も失敗もあると思うが
 我々が介在して紹介したスペースを使って
 ゆくゆくはここから日本を世界を代表するような
 トヨタとかホンダみたいな世の中を変えるような企業をどんどん生み出していって
 ひいてはいま右肩下がりな日本ではあると思うがグイッと上げていけるような文化をカルチャーを作っていきたい。」

 

 

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ホロコースト“今こそ語り継ぐ”

2015-02-09 08:00:00 | 海外ネットワーク

 

2月1日 NHK海外ネットワーク


いまヨーロッパが揺れている。
フランスでのテロ事件をきっかけにイスラム教徒の移民など少数派を排除しようとする動きが広がっている。
第二次世界大戦の悲惨な経験を踏まえて
ヨーロッパは戦後
異なる宗教や民族との融和をかかげてきた。
その原点と言える場所が大戦のさなかナチスドイツによってポーランド南部に作られたアウシュビッツ強制収容所。
ユダヤ人という理由だけで約100万人もの人々がガス室で殺害されるなど
人類史上例を見ない大量虐殺ホロコーストの犠牲となった。
収容所が解放されて今年で70年。
戦後ヨーロッパの精神に逆行しかねない動きが出始めた今こそ
虐殺の悲劇を語り継ごうという取り組みが進められている。

1月 アウシュビッツ強制収容所で開かれた追悼式典。
かつて収容されていた人たち約300人が参加し当時の状況を語った。
(かつて収容された人)
「収容所での1分は1日のように長く感じた。
 同じような悲劇を次の世代が繰り返してはいけない。」
追悼式典はフランスやドイツでも開かれ
首脳たちはヨーロッパ中に移民を敵視する空気が広がっていることに強い危機感を示した。
いまドイツなどでは移民の受け入れ制限を求めるデモが相次いで行われている。
「イスラム教徒にはドイツにもうこれ以上来てほしくない。」
ホロコーストの反省から多様性を尊重してきたヨーロッパで
少数派の排斥につながりかねない動きが出ている。
こうした風潮の中でもホロコーストの悲劇を語り継ぐ取り組みが市民によって続けられている。
強制連行の犠牲者の名前を刻んだプレートをかつて暮らしていた場所に埋め
人々の記憶にとどめようというのである。
ネリー・ヘンリエッテ・ライスさん
1942年9月5日にベルリンから連行され8日に殺害された。
ヨハンナ・クレーマーさん
1945年にケルンから連行され殺害された。
(取り組みを提唱したグンター・デムニッヒさん)
「授業で“600万人のユダヤ人が虐殺された”と習うが大まかなことしか理解できていない。
 1人1人の運命をたどることで子どもたちの理解は深まる。」
収容所解放70年を前に新たにプレートが作られた犠牲者がいる。
当時19歳で殺害されたユダヤ人のクララ・ハベルさんである。
ハベルさんの人生ををたどりプレートを制作したのはゼバスティアン・プフルムさん(30)。
ベルリン市内で暮すブプルムさんは
普段通って言うrパン屋の近くにはプレートがあるのに自宅前には一つもないことが気になっていた。
近所に強制連行された人がいたのではないか。
1年近くかけて調べハベルさんの存在を突き止めた。
最初は名前しかわからなかったが遺族などとも連絡が取れ
強制連行までの詳しいいきさつがわかった。
ハベルさんはナチスから逃れようと親戚の家に身を寄せ3年間息をひそめるように暮らしていた。
しかし1941年の11月に連行っされて森の中で銃殺されたのである。
ハベルさんのプレートが完成したこの日
ブフルムさんの呼びかけでプレートづくりに必要な寄付をした市民などが集まった。
現在イギリスで暮らすハベルさんのおいもかけつけた。
(ハベルさんのおい)
「私たちの家族の苦しみが繰り返されないようにという人々へのメッセージになってほしい。」
ブフルムさんはいまの時代こそホロコーストの悲劇を風化させないことが大切だと考えている。
(ゼバスティアン・ブフルムさん)
「ドイツではいま難民への対応が課題だ。
 この取り組みで外国人を排除する考えが少しでも無くなればと思う。」
路上に静かに輝くプレート。
多くの人たちが犠牲になった過去を忘れてはいけないという市民1人1人の思いが込められている。

 

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湯島天神の白梅 

2015-02-08 08:00:00 | 編集手帳

2月5日 編集手帳

 

学問の神様・菅原道真をまつる東京の湯島天神には、
早咲きの白梅の下、
合格祈願の絵馬が鈴なりである。
欲張りな<実力以上の力を出せますように>にいったん苦笑し、
<父母より>と続くのを見てほろりとする。

進学を応援したくても、
家計が許さぬ親御さんもいるだろう。
吉川英治は父が事業に失敗し、
小学校を中退した。
奉公先で角帯前垂れ姿を笑われ、
声をあげて泣いた。

職を転々とした青少年期を振り返り、
<正当な学歴を、
 順当に通ったよりは、
 この方が、
 人生見学にも、
 習得にも、
 たしかにぼくを益してくれた>
 (『焚き反古の 記』)と記している。

弱者に寄り添った国民的作家は、
疎開先の東京西部・吉野梅郷の素朴な暮らしを好み、
戦後に塩や焼酎が手に入るようになると、
真っ先に梅干しを漬け、
梅酒を造った。
そんな吉野の梅も、
昨春を最後にほとんどが伐採された。
果実が変形するプラムポックスウイルスの感染が広がったためである。
さぞや寂しい春になろう。

湯島の梅は、
今のところ感染を免れている。
花咲かぬ境内では縁起も悪い。
受験生のため、
道真公には愛する梅を守ってほしい。

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不屈の報道者魂よ どうか安らかに

2015-02-07 08:00:00 | 編集手帳

2月2日 編集手帳

 

福豆を商う店か、
街で鬼のイラストを見かけた。
豆から逃げる表情に哀愁がある。
長谷川櫂さんに〈節分の鬼も恐るる我らかな〉の句があるが、
絵の鬼に口があれば「鬼以下の人間もいるのに」と言うだろう。

「イスラム国」がフ リージャーナリスト後藤健二さん(47)とみられる男性を殺害する映像をネット上で公開した。
平和の尊さを訴えつづけて誰ひとり傷つけなかった人を、
鬼以下である。

やりきれぬ思いと深い喪失感のなかで忘れてはならないことが一つある。
敵の心理戦に乗せられて憎むべき相手を見誤ってはいけない、
ということで ある。

日本政府に圧力をかけろと日本国民を脅した。
ヨルダン政府に圧力をかけろと日本政府を脅した。
イスラム国は内輪もめを誘っている。
罪と罰のすべてを引き受けるべきは非道の犯罪者であり、
日本やヨルダンの政府ではない。
ましてや、
後藤さんの解放を心から祈ってくれた多くのイスラム教徒ではない。
間違えれば相手の思うつぼだろう。

今はただ、
鬼を含む一字を胸に刻むのみである。
その人の晴朗にして不屈の報道者“魂”よ、
どうか安らかにと目をつむる。

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奮闘!タイの日本語パートナーズ

2015-02-06 08:00:00 | 報道/ニュース

1月28日 キャッチ! 


去年 東南アジアから日本を訪れた観光客数は過去最高を記録した。
現地で日本語を学ぼうとする機運も高まっている。
これを受けて東南アジアの日本語教育を支援するプロジェクトが日本政府主導で始まった。
名付けて日本語パートナーズ
2020年までに日本語教育のパートナーとして補助的な先生を東南アジア各国に3000人派遣する計画である。
タイではいま日本のアニメが大人気でその主題歌の専門番組もこの春からスタートするほど盛況である。

バンコクから来たに500キロ離れたプレー県。
「日本語パートナーズ」日野友香さん(35)。
授業で日本のアイドルグループAKB48の曲を生徒と一緒に踊る。
「とても楽しいです。
 日本人のように上手に歌いたい。」
日野さんは日本ではJ-POPやアニメの曲を歌う歌手として10年以上活動している。
日本のアニメが人気のタイで歌を通じ日本語の魅力を伝えたいと考えた。
(「日本語パートナーズ」日野友香さん)
「音楽は国境や言葉を超えてみんなで共有し合える最強のツール。
 それを使って私が出来ることがたくさんあるはず。」
一緒に教えるのはタイ人のスラサック先生(29)。
英語を教えながら2年前からは日本語の教師もしている。
まだ日本語は基本的な会話しかできないが子どもたちと同様J-POPの大ファンである。
(日本語教師 スラサック先生)
「AKBの歌が大好きでマンガはドラえもんや聖闘士星矢が好きです。
 日野さんが来て日本語の会話も上達しています。」
スラサック先生と二人三脚の授業。
日野さんがこだわっているのはただ日本語の発音を教えるだけでなく
歌詞の意味を十分に理解してもらうことである。
学習意欲の高い子どもたちには励まされると言う。
(「日本語パートナーズ」日野友香さん)
「リズムとメロディーがついてどんどん新しい言葉を覚えてくれるのでやりがいを感じます。
 歌詞に深味がある曲は日本人ではない学生には楽しみ方がまだ伝わらないかなと思って
 これから頑張っていこうと思う。」
パートナーズに応募できるのは日常英会話ができる20歳~69歳まで。
特別な経験や資格は必要ない。
バンコクの高校で教えているのが猿田多摩夫さんは最高齢の69歳。
猿田さんは自動車などの製造ラインを手掛ける会社に勤めマレーシアに9年駐在していた。
現地の様々な人たちとの出会いにずいぶん勇気づけられたと当時を振り返る。
人々の役に立ちたいを定年退職を機にパートナーズに応募した。
(「日本語パートナーズ」猿田多摩夫さん)
「海外の方に恩返しがしたいと広告を見てすぐこれだと。」
派遣先の学校で日本人は猿田さんただ1人。
タイ人のトン先生と組んで約90人の生徒に日本語を教えている。
漢字の書き順や読み方を指導していく猿田さん。
授業はトン先生のリードでどんどん進んでいく。
(「日本語パートナーズ」猿田多摩夫さん)
「トン先生のキャラクターでうまく私を引き出してくれた。
 少しずつ慣れていかないと。」
帰宅した猿田さんは必死に生徒たちの名前や特徴を覚えていた。
(「日本語パートナーズ」猿田多摩夫さん)
「その子の特徴をつかんでいくこと。
 名前をはっきりと呼んであげるとちゃんと答えが返ってくる。」
生徒との距離を縮めようと教室を出ることも。

休日を利用して生徒と一緒に過ごす猿田さん。
この日訪れたのは動物園。
生きた日本語を学んでもらおうと様々な場所に生徒と出かけ日本語の会話に挑戦するよう励ましている。
(「日本語パートナーズ」猿田多摩夫さん)
「課外活動は彼らにとって勇気を出してしゃべる。
 有意義だったと思う。」

政府の肝いりのプロジェクトとの背景には
第一に東南アジアでの日本語教育のニーズの高まりを受けて日本政府がこれに応えようとしていること。
第二に東南アジアで中国語教育が浸透していることがある。
中国政府は年間1000人規模の中国語教師をタイの中学・高校に派遣している。
猿田さんたちが派遣された学校でも第二外国語の主流は中国語で複数の中国人教師が派遣されており
教師たちは中国とタイとの友好関係のシンボルだとして誇りを持って指導していた。
一方日本語はタイの高校での日本語学習者の数が約9万人とこの5年で20%も増えている。
しかし教師の数は600人余と不足しており
このうち3割はわずか10か月の日本語育成研修を受けたタイ人教師で
他の教科と掛け持ちで指導しているのが実態である。
日本語のレベルは必ずしも高いとは言えない。
(国際交流基金バンコク日本文化センター 福田和弘所長)
「中国語のネイティブの先生はいるけど日本語の先生はいないという声をよく聞く。
 タイ人の日本語の先生が一人で頑張っている状態の学校がたくさんある。」
今回派遣されている29人は日野さんや猿田さんのような個性豊かな人たち。
日本語の歌や「よさこい」の踊りを教える大学生など
それぞれの特性を生かしてタイ人教師と協力して授業を展開していて派遣先の学校からの評判も上々だと言う。
身近に日本人がいて単に日本語を教えるというのとは一味違ったアプローチで
日本文化とともに日本語を教えてくれるほか
現地の教師の日本語レベルの向上にもつながっている。



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デフレの瀬戸際 混迷する欧州経済

2015-02-05 08:00:00 | 報道/ニュース

1月27日 キャッチ!


(フランクフルト 22日 欧州中央銀行 ドラギ総裁)
「各国の国債を含む幅広い資産を月600ユーロ(約8兆円)で買い入れる。」
ヨーロッパ中央銀行は各国の国債を買い入れる量的緩和導入に踏み切った。
来年9月までに日本円で約150兆円の資金を市場に供給。
ユーロ圏がデフレに陥るのを防ぐため最後のカードを切った形である。
ドラギ総裁は
量的緩和がユーロ圏の需要を拡大させ物価を押し上げる
と効果に自信を示した。
一方 世界各国から2500人にのぼる政治と経済界のリーダーが集まって24日まで開かれたダボス会議。
ヨーロッパ中央銀行の量的緩和がどこまで効果を上げるのか高い関心を集めた。
出席した各国のリーダーたちからは歓迎の声があがった。
(フランス オランド大統領)
「ヨーロッパは将来を見据えた重要な決断をした。
 量的緩和によって企業に資金が回るようになる。」
(日本銀行 黒田東彦総裁)
「思い切った量的緩和を決定したのは非常に適切だったのではないか。
 世界経済あるいは日本経済に対する影響は基本的にポジティブだと思う。」

量的緩和を歓迎する背景には瀬戸際にあるユーロ圏の経済状況がある。
スペインのマドリード。
靴屋ではショーウィンドウにはあらゆる商品に根下げ札がつけられている。
デフレを象徴する値下げ競争。
政府の財政緊縮策の影響で消費が冷え込みこの店では値下げを繰り返している。
まさにデフレのスパイラルに陥っている。
(店主 コンチャ・アロンソさん)
「競争が激しいので値下げしないと売れません。
 このまま続けば生き残ることも難しくなります。」
生花店でも値下げをすることで何とか客を呼び込んでいる。
店を開いて20年余。
最も厳しい経営状況だと言う。
(店主 マメン・サンチェスさん)
「店を始めたのは1992年ごろで当時も経済危機でしたが今ほど厳しくはなかったです。」
スペインの失業率は23%を超え高止まりしている。
とりわけ若者は半数が仕事に就けない深刻な状況となっている。
消費者の間で買い控えが広がるなか12月の消費者物価指数は-1,1%にまで落ち込んだ。
さらにユーロ圏をけん引してきたドイツ経済も減速が鮮明になっている。
原油価格の値下がりを受けてロシア経済が失速。
通貨ルーブルの急落がドイツの輸出企業を直撃しているためである。
産業用ファンを製造する大手メーカー。
ロシア経済の成長を見込んで去年10億円をかけて工場を新設した。
専門のチームも立ち上げロシア関連の売り上げは全体の12%にまで伸びていた。
しかしルーブル安とロシア経済悪化の影響で今年のロシア関連の売り上げは半減する見込みである。
(製造会社CEO ピーター・フェンクルさん)
「ルーブル安が急速に進行したため大きな損害を受けました。
 ロシア国内では投資が落ち込み需要も減少しています。」
デフレへの懸念に加えてドイツ経済の減速。
信用不安から持ち直しつつあったユーロ圏経済は再び大きな試練を迎えている。

ギリシャ議会選挙根結果は
ユーロ危機がギリシャの財政問題をきっかけに始まっただけに悪夢の再来かと各国は神経をとがらせている。
EUとりわけドイツとしてはギリシャの緊縮策を緩和すれば南ヨーロッパの他の国でも財政規律が緩む恐れがあり
信用不安の再燃が懸念される。
その一方でドイツが譲歩しなければユーロ離脱が現実のものになりかねない。
今年 議会選挙が行われるスペインでも反緊縮を掲げる政党が急速に支持を拡大し
イタリアやポルトガルでも同様の動きが出てきている。
ギリシャがきっかけで南北分裂が深刻化し南ヨーロッパでユーロ離脱の動きが広がるのではないか
といった懸念も出始めている。
ドイツそしてEUにとってはいずれもいばらの道が待ち構えている形で金融市場の波乱要因になる恐れがある。
ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁は量的緩和を決めた理事会の会見の中で印象的は発言をしていた。
(欧州中央銀行 ドラギ総裁)
「ユーロ圏各国は成長を支援する財政政策を可能な限り実施すべきだ。」
この発言には
我々は責務を果たしたのだから次は各国政府がデフレを防ぐために行動する番だ
というドラギ総裁の強い意志が込められている。
しかしダボス会議で講演したドイツのメルケル首相は
量的緩和によってユーロ圏各国の構造改革や財政再建が遅れることに懸念を示したように温度差があるのも事実である。
デフレ ロシア失速によるドイツの減速 そしてギリシャを巡る不透明感
ユーロ圏経済を取り巻く環境が厳しさを増すなかこれまでと異なるアプローチが必要になる。
今回デフレを阻止するため欧州中央銀行が動いた。
ユーロ圏の安定とユーロの信認の維持に向けて次はドイツが動くかどうかにかかっている。




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日本発の世界ブランドを メード・イン・ジャパンの技術力

2015-02-04 08:00:00 | ビズ プラス

1月25日 BIZ+SUNDAY


12月 通販サイト「ファクトリエ」を運営する山田敏夫社長(32)が銀座に開いたお店。
岩手県の工場が手掛けたマフラーはイタリアの高級ブランドに使われてきた編みの技術が取り入れられている。
青森県で200の工程を経て縫製されたトレンチコートはイギリスのブランドを手掛けた技術である。
高級ブランドと比べて価格は抑えめ。
30~40代に人気がある。
「海外のものイタリアのものと比べても遜色がないぐらい。」
「手触り重さ軽さ 含めて納得感が得られた。」
客はこの店で試着をしインターネットで注文をする。
高い技術を持った工場との連携から生まれる洋服。
今年度の売り上げは1年前の5倍の3億円を見込んでいる。
3年前に会社を立ち上げた山田敏夫社長。
ビジネスを始めるにあたり各地の工場を回ったtき驚いたことがあったと言う。
(山田敏夫社長)
「世界のこんなに多くのブランドが日本でものづくりをしていることに驚いた。
 その工場に全ブランドの仕様書がある。
 ということはそこにはすごく知見がたまっていたり
 ブランドの無茶な要望に応えられる技術力を持っているのが前提。
 そこの幅がある工場というのはすごく珍しく
 その技術をどれだけ使えるのか。」
山田さんの実家は熊本県にある老舗の婦人服店。
子どものころからアパレルの世界で働くことを夢見ていた。
パリのブランドショップで見習いの仕事をしていたころ同僚に言われた言葉にショックを受ける。
日本には本物のブランドがない
(山田敏夫社長)
「世界のグッチだったりエルメスだったりヴィトンだったりほとんどがものづくりの工場とか工房から出来てきている。
 その時はただ悔しかったし
 世界の人が知っている代名詞となるブランドを日本のものづくりから作りたい。」
世界に通用するブランドを日本から発信したい
有名ブランドなどの洋服を作ってきた14の工場と提携
アジアとの価格競争で苦しい経営を強いられてきたが高い技術を持っている。
熊本県でシャツを作っている工場は丈夫で長持ちするよう細かく丁寧に縫う特殊な縫製技術を持っている。
新潟県の工場はニットを生産している。
なめらかな肌触りと着心地の良さを70年にわたり追求してきた。
「そで下の部分ですけど深いマチを入れることによって袖を上げたときにここが一緒につり上がらない。」
(山田敏夫社長)
「日本の良さは単純に技術だけではなく
 下で支えている仮縫いのあとだったり肌にあたる部分がケアされているとかそういうところも実は見ていて
 そこはたぶん“”心遣い」だと思う。」
山田さんは商品の価格を決める際工場の意見を取り入れることにしている。
通常はメーカーが価格を決めるが工場と一緒に決めることでやる気を引き出すねらいである。
これまで工場と消費者の間には商社や卸などが入るため工場の利益は1割程度だった。
山田さんは工場から直接販売することでコストを削減。
そのぶん工場の利益を増やすことが出来るようになった。
(ニット工場 川島幹生社長)
「ものを売ることに関しては非常に無知な部分もある。
 作り手としてはモチベーションが上がるひとつだと思う。」
(山田敏夫社長)
「工場は全部の力を注いでほしい。
 僕らが世界ブランドになるんだったら
 最高の技術を余すところなく使ってきちんと儲かるように利益も得てくださいと。」
日本の工場から世界ブランドを。
山田さんは提携する工場を今後も増やしその技術に光を当てていくつもりである。
(山田敏夫社長)
「工場は技術力があって境と戦える工場で
 だからその技術を僕らが伝えられるか
 きちんとビジネスとして販売できるか
 それを本当にまじめにやっていくだけ。」



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地方の人材不足 「女性」を掘り起こせ

2015-02-03 08:00:00 | ビズ プラス

1月25日 BIZ+SUNDAY



北海道に新たな企業がやってきた。
売り上げ17億円の医療機器メーカー ユニシス。
注射針などを作っている。
注射針の検査をするのは女性従業員。
計画通り15人を確保することが出来た。
会社は当初 従業員を十分に確保できるか不安だったと言う。
(ユニシス 齋藤英也代表取締役)
「ものづくり 製造業が北海度は少ないということで製造業に人が集まるかどうか
 どういうチャンネルを使って集めればいいか非常に悩んだ。」
人材を確保できたのは北海道が今年度から始めた支援策があったから。
その名もものづくりなでしこ
女性に製造業への関心を持ってもらうことで新たな労働力につなげるのが狙いである。
(北海道 産業振興課 安本晶子さん)
「工場で働くというと昔のイメージだと3Kだとか体力がないときついとかそういうイメージがある。
 正しいイメージを持ってもらうのが事業の狙い。」
いま製造業の現場ではIT化によって労働の負担が減り女性が働きやすくなっている。
そこで女性を対象に製造現場の見学ツアーを企画した。
さらに現場で働く女性を高校などに講師と派遣する出前授業を実施。
ものづくりの魅力を伝えることで就職先に製造業を選んでもらおうという狙いである。
実際に就職を決めた学生も出始めている。
「女性の方も働いているって聞いたので考えていたイメージと変わりました。」
女性に就職してもらおうと企業も新たな取り組みを始めている。
大手自動車部品メーカーのデンソー。
この会社が力を入れているのが女性が働きやすい職場づくりである。
トイレには従業員一人一人に専用のロッカーを設置。
化粧品などが置ける。
更衣室のセキュリティーも万全である。
「最初は男の人ばかりで汚いイメージが強かった。
 とてもきれいな環境で働けているので昔のイメージは全くない。」
こうした取り組みによって入社を希望する女性の数は以前の3倍に増えたと言う。
(デンソー北海道)
「今後ともこれまでのように優秀な人材を確保し続けるためには女性の活用が不可欠。
 もっともっと女性を増やしていきたい。」

 

 

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地方への企業移転 人材不足の壁

2015-02-02 08:00:00 | ビズ プラス

1月25日 BIZ+SUNDAY


去年11月 鳥取県に新たな企業が進出した。
売上130億円のフィギュアメーカー グッドスマイルカンパニーである。
この企業では3年間で100人の雇用を計画している。
しかしスタッフを確保するのは容易ではない。
フィギュアの加工には1ミリ以下で色を塗り分けるなど高い技術が必要だからである。
(グッドスマイルカンパニー 鳥居周平さん)
「スキルの擁する生産現場になるがそれに特化した人間はまだまだ足りない。
 のどから手が出るほど欲しい。」
企業誘致を積極的に進めこの5年で55件の誘致に成功した鳥取県。
しかしいま人材不足という課題に直面している。
この日 県の担当者が訪ねたのは従業員約100人のIT企業 LASSIC。
この企業ではアプリなどを開発する技術者を今年度一気に47人採用する計画を立てていた。
しかし実績22名 達成率46%と苦戦している。
リーマンショック以降加速した大手メーカーの地方からの撤退。
鳥取県でもサンヨー電機などの撤退が相次いだ。
県内の企業などに勤める従業員の数は7000人減少。
専門的な知識を持った技術者などが都市部に大量に流出した。
(鳥取県 雇用人材総室 就業支援室 小林靖尚室長)
「設計開発技術者 IT系の技術者 そういった分野の人材が不足してきている。
 プロフェッショナル人材を確保していくのが一番の重要な課題だと認識している。」
このままでは企業を誘致しても地域経済の再生にはつながらない。
危機感を募らせた県は人材の確保に乗り出している。
12月 IT企業やメーカーなど12社と共に都内で説明会を開いた。
都市部に流出した技術者の獲得が狙いである。
この日説明会に参加したのは60人。
しかし企業が求める人材はほとんど見つからず苦戦が続いている。
(鳥取県 雇用人材総室 就業支援室 小林靖尚室長)
「難しい現状だが1人でも多くの技術者を鳥取県の企業にマッチングさせたい。
 継続的に取り組んでいくことがそこにつながっていくと考えている。」

 

 

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