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岡山県宇野港と高松港を結んだ 宇高連絡船

2020-01-16 07:00:00 | 編集手帳

12月15日 読売新聞「編集手帳」


 海面に、
横倒しの船体がかすかに見える。
懸命にはい上がろうとする大勢の生徒たち。
正視するのもつら過ぎる写真が本紙大阪版の1面に載った。
1955年5月、
高松市沖で起きた宇高連絡船・紫雲丸の沈没事故である。

濃霧の中で貨車航送船と衝突、
修学旅行生ら168人が犠牲となった。
航送船から写真を撮った乗客の手記が翌日の紙面にある。
シャッターを切る以外一体、
何ができる。
泳げ、
生きよ、
涙しながら、
ただ叫んだ…

岡山県宇野港と高松港を結んだ旧国鉄・JRの連絡船は明治以来、
瀬戸大橋が架かるまで2億5000万人を運んだ。
かつての大動脈は今、
フェリーが日に5往復するのみで、
その定期便も、
きょうを最後に休止するのだという。

消えゆく宇高航路の名に、
改めて四国と本州とが海に隔てられていた時代を思う。
春、
瀬戸の海はしばしば霧が立ちこめて、
事故が起きやすい。
本四架橋の計画は紫雲丸を始めとする数々の犠牲が後押しした、
とも言われる。

けれど事故から数十年の時を経た法要の場で生存者が語ったそうだ。
「同級生たちは、
 橋のために生まれてきたわけじゃない」と。



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温暖化が広げる格差 “気候アパルトヘイト”

2020-01-15 07:00:01 | 報道/ニュース

12月15日 NHK「おはよう日本」


世界各地で相次ぐハリケーンや洪水などの災害。
温暖化との関連も指摘され
対策を求める声が高まっている。
スペインで行われた温暖化の対策会議 COP25。
危機感を強める世界の若者たちも声を上げた。
そこで注目されたのは“アパルトヘイト”というキーワードだった。
「私たちからみれば温暖化は環境の人種差別であり
 アパルトヘイトです。」
人種差別に使われる“アパルトヘイト”がなぜ温暖化の会議で出てきたのか。
“アパルトヘイト”という言葉は
今年国連が出した地球温暖化についての報告書
“Climate change and poverty(気候変動と貧困)”で使われた言葉である。
温暖化が貧困を生み格差を広げていると指摘していて
このままでは人種差別と同じような事態となりかねないと
強い危機感を表した言葉である。
この言葉はいま途上国だけでなく先進国でも強く意識されるようになってきている。

去年 大規模な山火事に相次いで襲われた米カリフォルニア。
1年間で7,000回以上の山火事が起き
死者は100人にものぼった。
火事のあった地域は今もその焼け跡が生々しく残っている。
ところがその山火事に襲われた一角に
何事もなかったかのように立ち並ぶ高級住宅街がある。
住人はラップ歌手のカニエ・ウェストさんとキム・カーダシアンさん夫婦などの
いわゆるセレブ。
その高級住宅を守るのに一役買ったとっされるのが・・・。
今アメリカでは“プライベートの消防隊”が富裕層の間で人気を集めている。
山火事が発生すれば
住宅の周りの木を切って延焼を食い止めたり
燃えない特殊な物質を散布したりして
高級住宅を迫り来る火の手から守る。
しかし1年で100万円ともいわれる保険料を払えればの話である。
一般の住民からは冷ややかな声も聴かれる。
「お金を持っている人は消防隊を呼べるが
 お金がなければあきらめるしかない。」
それでもこうしたサービスを始める保険会社は増えていて
業界団体は今後も需要は増えるとみている。
(保険情報機関)
「山火事などを防ぎ食い止めるサービスは
 より高い関心を集めていると思います。
 高級住宅の所有者は被害を防ぐ方法を探していますから。」
“温暖化は経済活動によって引き起こされているのに
 守られるのは富裕層ばかりで
 貧しい人々は放置されている。”
アメリカではいま若者を中心にこうした格差の拡大に怒りの声が広がっている。
(高校生)
「気候変動はお金のある人よりもお金のない人に影響します。
 貧しい人はより貧しくなって
 格差は拡大するでしょう。」
デモの主催者の1人でニューヨークに住む大学生のアイーシャさん。
スウェーデンの活動家 グレタさんともデモを行うなど
アメリカ政府に温暖化対策をとるよう呼びかけを続けている。
(温暖化対策求める大学生 アイーシャさん)
「もう待てません。
 待っていれば手遅れになってしまいます。」
アイーシャさんが気候変動と貧困の因果関係を痛感したのは
7年前にアメリカを襲ったハリケーン“サンディ”がきっかけだった。
ニューヨークを直撃し
市内だけでも50人以上が死亡した。
アイーシャさんが暮らすコニーアイランド地区は
海岸に近く海抜の低い地域。
住民の3割近くは移民などの貧困層である。
自宅はハリケーンによる高潮で壊れるなど大きな被害を受けた。
(アイーシャさん)
「家に水が入ってきて
 1階が半分まで水につかり
 家具など全て壊れてしまいました。」
その後ニューヨークの他の地区が輝きを取り戻すなかで
アイーシャさんの地区は
住民に経済力も政治力がないことなどから復旧工事も遅れがちになっているという。
(アイーシャん)
「すでに貧しい街だったのがさらに貧しくなりました。
 復旧工事は何年経っても終わりません。
 そのまま放置されています。
 まるで捨てられた街のように感じています。」
住民の多くは災害が不安でも家賃が高い他の地域に移ることができない。
“財産”の有無によって人が差別され
繰り返し気候変動の影響にさらされている。
アイーシャさんはその理不尽さは“アパルトヘイトのような差別に近い”と感じている。
(温暖化対策を求める大学生 アイーシャさん)
「住んでいる人が悪いのではありません。
 財産がないだけです。
 これは不正義です。
 完全に不正義です。
 被害にあった人を忘れてしまうのは人だと思っていないからです。
 同じ人間だと考えるなら後回しにはできないはずです。」

国連に専門家によると
こうした同じようなことは他の国でも起きていると指摘する。
国連の報告書で最初に“気候アパルトヘイト”を指摘した
ニューヨーク大学のオーストン教授は
“再生可能エネルギーなどへの転換などとともに
 温暖化で被害を受けた人たちへの補償も必要だ”と指摘している。
(国連特別報告者ニューヨーク大学 フィリップ・オーストン教授)
「裕福なエリートが何もせず
 化石燃料への投資から利益を得続けている限り
 われわれは“気候アパルトヘイト”という体制のもとにあります。
 しかし重要なのは
 南アのアパルトヘイトが崩壊したのと同じく持続不可能だということです。
 政府は化石燃料から再生可能エネルギーに転換する計画を進めなければなりません。
 温暖化が進めば財産を失ってしまう人たちに
 何らかの保証を与えることもできるのです。
 これには本当に大きな経済再編が必要です。」





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梅宮辰夫さん

2020-01-14 07:00:00 | 編集手帳

12月13日 読売新聞「編集手帳」


梅宮辰夫さんは1985年から3年ほど『くいしん坊!万才』という番組に出演し、
旅先で地元の人たちを手伝って見事な包丁さばきを見せた。

ほかの料理番組からも出演依頼が次々舞い込み、
本来は俳優なのに板前さんと思われないかと心配していたとき、
ある刑事ドラマで署長役が回ってきた。
だが脚本を読み、
「やっぱり」と苦笑いした。
犯人逮捕より今晩の食事のメニューを考えることを優先する役柄だったという。

愛称は「辰
兄にい」「辰ちゃん」――
俳優業はむろん料理や釣り、
軽妙なトークでお茶の間に親しまれた梅宮さんが81歳で亡くなった。

東映ヤクザ映画「県警対組織暴力」を思い出す。
菅原文太さん演じる腐敗した同僚を追い詰める清廉な刑事役を演じた。
菅原さんをはじめ松方弘樹、
山城新伍さんといった強烈な個性の俳優が居並ぶなかで、
深作欣二監督は、
凜(りん)として悪に染まらない役を存在感をもってやれるのは梅宮しかいないと考えたらしい。

一人娘のアンナさんを思い、
心配するパパの顔もおなじみだった。
皆さんにとって、
やっぱりと思う梅宮さんの顔は何だろう。
愛された人が逝った。



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気候変動“待ったなし” 中東「鉄砲水」対策

2020-01-13 07:00:00 | 報道/ニュース

11月28日 NHKBS1「国際報道2019」


約2,000年前
貿易で栄えた王国の中心都市だった中東ヨルダンのペトラ遺跡。
アメリカの人気映画「インディ・ジョーンズ」のロケ地としても有名である。
しかしこの遺跡で去年11月
局地的な大雨いわゆるゲリラ豪雨による鉄砲水が発生して
遺跡内にいた日本人を含む外国人観光客ら3,000人以上が避難する事態となった。
乾燥地帯の中東は雨の量がそれほど多くないにも関わらず
最近はゲリラ豪雨が頻発していて
大きな問題となっている。
その背景には地球温暖化があると
国連は危機感を強めている。

中東ヨルダンの南部 砂漠地帯にあるペトラ遺跡。
ヨルダンで最も人が集まる観光地である。
去年11月ここをゲリラ豪雨による鉄砲水が襲った。
天候が急激に変わり一気に道に濁流が流れ込み
大勢の観光客が避難を余儀なくされた。
(観光客)
「警察がやってきて
 上に登れと。
 岩と一緒に大量の水が流れ込んだ。」
近年ヨルダンでは鉄砲水によって多くの人命が奪われている。
ヨルダンの医師 アブシードさん(64)。
14才の娘サラさんを鉄砲水の被害で失った。
サラさんは去年10月
学校の遠足で訪れた観光地で高さ数メートルの鉄砲水に襲われた。
崖に登って避難しようとしたが鉄砲水に飲み込まれたという。
教師や生徒合わせて16人が犠牲となった。
娘を失ったアブシードさんは
早急に鉄砲水への安全対策をとるよう国に訴えている。
(アブシードさん)
「政府が対策をとっていなかったのは誤りだ。
 その結果が娘の死だ。」
こうしたゲリラ豪雨は中東やアフリカで相次いでいる。
レバノン ベイルートの中心部。
雨が降り始めてわずか3分で道路は川のようになった。
乾燥地帯が広がる中東は年間を通した雨の量が限られている。
ただ地域によっては短時間の間で激しい雨が降るケースが増えている。
その結果 頻発しているのが鉄砲水である。
この15年で大幅に増加している。
国連は“気候変動による影響が表れている”と指摘する。
(国連 西アジア経済社会委員会 アラブ気候変動制作センター マジュダラニ センター長)
「明らかに強力な鉄砲水は気候変動によって起きている。
 こうした気候減少は頻発し断続的に起きている。
 各国は十分な備えができていない。」
局地的な雨の影響は別の問題にも及んでいる。
集中的な雨が岩盤を侵食。
岩に亀裂を作り出しているのである。
多くの観光客が通るペトラ遺跡の周辺では
国連が岩が崩落する危険性を指摘。
60か所以上に機器を設置して監視を続けている。
(ユネスコの担当者)
「集中豪雨は岩の浸食の引き金となっている。
 水の流れはいま全くコントロールが効かなくなってしまった。」
気候変動の脅威にさらされている中東地域。
この地域で大雨による被害を調査している
京都大学防災研究所の角哲也教授。
中東の乾いた土地で岩盤が露出し表面はコンクリートのように固くなっている。
このため雨が地面にしみこまないまま谷へに流れ込み
強力な鉄砲水を引き起こすという。
とりわけペトラ遺跡は山の渓谷の中にあり
降った雨が集中しやすい地形である。
雨は地面に浸透することなく
大半が山のふもとに流れる構造となっているのである。
(京都大学再研究所 角哲也教授)
「いったん山に降った雨がなかなかしみこまずに全部地表に出てきてしまう。
 川に流れ込んで集まって
 下流の川の水位が急激に上がってしまう。」
“今後対策を進めなければ各地で深刻な被害が生じる”と角教授は言う。
(京都大学防災研究所 角哲也教授)
「洪水の頻度が増えているので
 対策は待ったなしの状態。」
急がれる対策。
鉄砲水による事故を防ぐ対策が一部で始まっている。
ヨルダンの大学が日本の大学と共同で設置した施設。
鉄砲水が発生しやすい場所の近くに水の逃げ道を作り
農業用の貯水池に引き込もうというのである。
データを集めながらより効果的な対策を目指し
手探りの実験が進められている。
(ヨルダン ムータ大学 モハウシ教授)
「鉄砲水は全く予測できない状況で突然やってきます。
 年内には実践的に使えるようにしたい。」



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“天空の聖地”でクラフトビール

2020-01-12 07:00:00 | 報道/ニュース

12月13日 NHK「おはよう日本」


厳粛なお寺とビール。
一見 無縁そうだが
この意外な組み合わせで地域の活性化を目指そうという動きが
真言密教の聖地 高野山で始まっている。

和歌山県北部に位置する
世界遺産 高野山。
弘法大師が1,200年前に開いた山上の宗教都市には120もの寺が集まっている。
11月 その高野山で行われたのはあるクラフトビールのお披露目会。
会場には僧侶の姿もある。
「弘法大師も
 高野山は冬 寒いので
 お酒の一杯ぐらいええんやないかとおっしゃっていると聞きましたから
 よろしんじゃないでしょうか。」
このクラフトビール
地元高野町でとれたホップを使っていて
フレッシュな香りが楽しめることが特徴である。
ホップは冷涼な気候でしか育たないため
日本では東北地方や長野県など限られた場所でしか生産されていない。
このビールで使われているホップを高野町で栽培しているのが尾上さん。
仲間とともに会社を起ち上げ
3年前からホップの栽培を始めた。
新鮮なホップを使った高野山だけで飲めるビールを作ることで
人口減少や耕作放棄地の増加に悩まされている地元に
新しい産業を作りたいと考えたのである。
(尾上さん)
「高野町富貴は標高が高いので
 温度も年間通じてそんなに暑くならない。
 これだったら育つんじゃないかと。」
約2,000㎡の耕作放棄地を借りて始めたホップの栽培。
しかし初めてのホップづくりは苦難の連続だったという。
耕作放棄地の畑は養分が足りず
最初はホップが大きく育たなかった。
(尾上さん)
「土自体の地力がなかった。
 学者や先生たちに聞きながら
 ミネラル入れたり微生物入れたり
 土づくりから勉強して
 今も継続している。」
ホップの栽培を始めて3年目の2019年
尾上さんたちはようやく本格的なビールの醸造にこぎつけた。
ビールは麦芽をお湯に混ぜたものに香り付けのためのホップを入れ熟成させてつくる。
ようやく出来上がったビールの味は
「おいしい。」
「香りが上がってますね。」
「コクもあるしフレッシュさもある。」
この日 珍しくスーツを着込んだ尾上さんたちが完成したビールをある場所に運び込んだ。
高野山 真言宗の総本山 金剛峯寺である。
地元の特産品として高野山を代表する寺にも後押ししてもらおうと考えたのである。
ビールにつけた名前は「天空般若」。
“聖地で作られたお酒”という意味がある。
奉納は無事に終わり
宿坊の利用客にこのビールを出せることになった。
(高野山真言宗 宗務総長)
「高野山も周辺の村落が過疎化で農業が衰退している。
 こういう形で新しい産業に成長するものができるのは
 我々にとっても非常にうれしい。」
(尾上さん)
「聖地 高野山で
 金剛峯寺に奉納させてもらって
 本当に感謝している。
 ビールを通じ農業や町が元気になってほしい。
 高野山の魅力を感じてほしい。
 そのようなビールになってほしい。」
世界遺産 高野山だけで飲める特別なクラフトビール。
地域活性化の起爆剤になるか
期待が高まっている。



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伝統か差別か オランダの祭り

2020-01-11 07:00:00 | 報道/ニュース

12月11日 NHKBS1[キャッチ!世界のトップニュース」


オランダでは毎年クリスマスより早く各地で盛大な祭りが行われる。
しかしこの祭りの伝統が社会に大きな波紋を広げている。

11月 オランダ デンボス。
赤い服に長いひげ。
シンタクラース」と呼ばれ
サンタクロースの原型と言われている。
オランダ各地では11月半ばから12月にかけて盛大な祭りが行われる。
そしてシンタクラースのお手伝いのズワルト・ピート(黒いピート)も人気者。
子どもたちにクッキーを配って回る。
(市民)
「オランダ人には大切な伝統の祭りです。」
この祭りをめぐってオランダでは論争が続き
「ズワルト・ピートの論争 ヒートアップ」とニュースでも盛んに取り上げられている。
楽しいはずの祭りがなぜ論争の的となっているのか。
その謎を解くカギがベルギー王立図書館にあるという。
ベルギー王立図書館の書庫。
1897年のクリスマスに発行された新聞の挿絵。
「オランダのクリスマス」と題されている。
シンタクラースの横には黒人の少年が描かれている。
さらに1943年の版画では黒人の少年が重い荷物を背負わされている。
ズワルト・ピートのルーツはシンタクラースに仕える黒人奴隷だったと考えられている。
奴隷制度を思い起こさせるとして
激しい論争となっているのである。
ズワルト・ピートに反対する全国的な運動がある。
率いるのはガーナ出身のジェリーさん。
「これら携帯電話とPCが私の武器です。」
ジェリーさんは今から28年前
10歳の時に父親とともにオランダに渡ってきた。
伝統の名のもとに
“黒人は白人に仕えるもの”という構図が保たれ続けているのはおかしいと
9年前に反対運動を始めた。
ズワルト・ピートを廃止しようという支援者は年々増え
今年は国内12の都市でデモを行った。
(反対運動を率いるジェリーさん)
「1850年ごろ
 奴隷の労働力を得てから今の形に変わってきました。
 黒人は2級市民でいるべきだということなのです。」
この日ジェリーさんは仲間とオランダ中部の町でデモを行うことにした。
これまで警察による排除で何度も手荒くされケガも負ったことがあるジェリーさん。
仲間に細心の注意を払う。
「事前に決めたパートナーと離れるな。
 弁護士の電話番号を腕に書いておくこと。」
到着するとジェリーさんたちは祭りに集まった人たちに呼びかけた。
しかし運動を快く思わない人たちも多くいる。
(市民)
「伝統なのに
 反対する人を見ると胸が痛みます。
 異なる人たちがやって来たから緊張が高まっているんです。」
(反対運動を率いるジェリーさん)
「この国が目覚めるまで
 黒人が対等になるまで戦い続けます。」
こうした対立を避けるため
今年行われたアペルドールンの祭りでは新たな試みが取り入れられた。
真っ黒ではなく顔の一部だけやや黒いズワルト・ピート。
“煙突のすすで横れた”ということにしたのである。
(市長)
「子どもたちは肌の色など気にしません。
 伝統はこれまでも変わってきました。
 小さな変化ですがとても重要なのです。」
しかし沿道の脇に現れたのは
真っ黒な顔の昔ながらのズワルト・ピート。
移民に反対する極右団体のメンバーである。
伝統どおりに祭りを行なうことを訴え続けていくと主張している。
(極右団体「ぺギータ」代表)
「何十年と続く伝統だ。
 これを見て育った。
 ルールを決めるのは我々だ。
 移民ではない。」
専門家は
単なる文化論争にとどまらず社会の分断を反映していると指摘する。
(ティルフルフ大学 アフテルベルフ教授)
「文化的に寛容であるか
 拒絶するか。
 教育レベルの違いに大きく関係し
 その違いはますます広がっています。
 この分断線はオランダだけでなく
 フランスやイタリア スイス ドイツでも見られるものです。
 これは新たな政治的分裂なのです。」



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“黒のタイツも認めて” 高校性が変えた校則

2020-01-10 07:00:00 | 報道/ニュース

12月10日 NHK「おはよう日本」


・下着の色は白か黒
・生まれつき茶色の髪の生徒は証明書を提出しなければならない
このような“理不尽な校則”が問題になっている。
岐阜県のある県立高校では
今年
生徒たちが主体的に動き
伝統として続いてきた校則を変更した。

校則の見直しに取り組んできた生徒たち。
中心メンバーのHINAさん。
校則で認められているストッキングやタイツの色はベージュのみ。
ベージュのタイツは今の若者はほとんど履かない。
そのため履きなれている黒いタイツも認めてほしいと訴えてきた。
(HINAさん)
「飛騨は寒いのでストッキング1枚だと登校の時に足が真っ赤になってしまう。
 ベージュのタイツは肌の色が不自然に見えたり
 女子高生という多感な時期に受け入れがたい。」
岐阜県高山市。
県立斐太(ひだ)高校は130年以上の歴史を誇る進学校である。
学校の校則で
白いソックスの下に履くことができるのはベージュのタイツを含むストッキングだけ。
高校のある高山市は冬場はマイナス5度を下回ることもある。
しかしベージュのタイツは履くのが恥ずかしいと
女子生徒の多くは素足に靴下で登校していた。
ベージュだけでなく黒いタイツも認めてほしい。
HINAさんら生徒会は
今年4月 まず校長に要望してみた。
しかし
“どれくらいの人が望んでいるのか分からない”と認めてもらえなかった。
そこで校長の許可をとって
生徒と保護者にアンケートを実施。
合わせて1,300人余の意見が集まり
生徒と保護者の9割近くが黒タイツの着用に賛成した。
保護者からは
“校則が改正されないことが不思議”
“体を思いやってほしい”という意見が多く寄せられた。
この結果を受けて生徒会は
7月
改めて好調に見直しを訴えた。
しかしその2か月後
校長から出た回答は
“見た目については主観の問題で変更しがたい”。
黒のタイツは認められなかった。
(岐阜県立斐太高校 校長)
「白ソックス ベージュタイツということで
 これが斐太高校生だというふうにしてとらえていたものですから
 覆すだけの理由が出てこなかった。」
(元生徒会長)
「絶望ではないですけど
 くやしかったしいらだちもしました。」
(HINAさん)
「これだけアンケートもやらせてもらって9割近い賛成の意見をもらって
 その上で主観だって言われたら
 結局私たちの意見って何だったんだろう。」
しかし学校は保護者と卒業生を交えて校則を検討する会議を設けると約束。
そこで生徒たちは保護者や卒業生にも“校則を変えてほしい”と訴えて回った。
(HINAさんの父親)
「なぜダメなのか
 ちょっと思っていました。
 素足で真冬にいるのはものすごく寒いことだろうな。」
そして10月に開かれた会議で生徒・教員・保護者・卒業生の代表が話し合い
“黒タイツを認めてもいい”という結論になった。
(岐阜県立斐太高校 校長)
「保護者の意見さらに同窓生の意見を交えて出てきた意見ですし
 当然重く受け止めたい。
 ベージュである必要性とか
 それでなきゃいけないという理由はないだろう。」
11月ついに校則の変更が生徒に発表された。
「黒タイツを認めましょうということになりました。
 明日からもし履きたい人がいれば履いてきてもいいですよ。」
(生徒)
「めっちゃうれしかったです。」
「明日からすぐに履いてこようと思います。」
(HINAさん)
「寒い思いをしなくていいんだなというのが純粋にすごくうれしかった。」
そして翌朝。
「すごくあたたかいです。」
さっそく黒のタイツを履いて登校する生徒たちの姿が見られた。
「朝履いた瞬間に格段に違った。」
(HINAさん)
「やっと変わって
 本当にこの1年やって来たことが無駄ではなかったのだと実を結んだのが
 きょう実感したのがうれしい。
 学校生活を快適に過ごせそうです。」

岐阜県で県教育委員会が
生徒の生活を必要以上に制限する校則を廃止するよう県立高校に通知するなど
校則の見直しの動きが進んでいる。
(名古屋大学大学院 内田良准教授)
「昔から決まっているというのでは
 上から下りてきたルールをそのまま受け止めるだけの生徒になってしまう。
 今の時代にこのルールが必要かを考える生徒を育てることこそが教育の仕事。」

 


 

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小学生から“留学” 子どもたちは

2020-01-09 07:00:00 | 報道/ニュース

12月10日 NHK「おはよう日本」


英語だけの環境で1日を過ごす保育園。
各地でキャンセル待ちが出るほどの人気である。
(保護者)
「耳を養うのは本当に幼少期。」
「ただの保育よりいいのかな。」
海外留学のフェアで目立つのは小学生の親子連れ。
(訪れた保護者)
「国際的な感覚を身につける方がいいかな。」
(小学5年生)
「英語しゃべれるようになりたい。」
来年度から小学5,6年生で英語が正式な教科となる。
こうしたなか広がっているのが小学生や中学生など低年齢での海外留学である。

ニュージーランド最大の都市オークランド。
公立小学校のSt Thomas's Schoolでは
7人の日本人留学生が現地の児童に混ざって学んでいる。
「8才です。
 楽しい。」
約半数が日本を含む外国出身の児童。
ニュージーランドでは積極的に低年齢の児童を受け入れている。
(留学担当の政府機関 エデュケーション・ニュージーランド マクファーソン氏)
「年齢の低い留学生の教育について私たちは明確なルールを定めています。
 ニュージーランドは世界で初めて留学生の生活を保障する規定を作った国です。」
小学生たちはどんな生活を送っているのか。
今年4月から留学しているKOUKIくん(10)。
日本の公立小学校に通っていたが
“グローバルな視野を持ってほしい”という親とともに留学を決めた。
学校生活に慣れ楽しく通っているが
今でもつい日本人の友だちと遊んでしまうという。
(4月から留学 KOUKIくん)
「日本語しゃべれるひと優先で遊んでる。
 英語くそ~できない~って
 くやしいと思う。」
英語の聞き取りは上達したが話すのはまだ苦手というKOUKIくん。
日本人の補助教員が教えてくれる英語の授業が助けになっている。
ニュージーランドのほとんどの学校でこうしたESOL(英語が母語ではない児童のための授業)が行われている。
(日本人補助教員)
「保護者の中には
 海外に行けば2~3か月で英語が習得できる
 話せるようになると思っている方もいるが
 耳が慣れるのに半年かかります。
 1年経ったぐらいでようやく自分の意見を本当に少しだが言えるようになる。」
小学校入学に合わせて留学し5年が経つ女の子もいる。
REIRAさん(11)。
「日本語と英語だったら英語。
 あんまり日本語しゃべれないからunnderstand(理解)できないときもある。」
母親と弟の3人で暮らすREIRAさん。
父親は日本に残り留学生活を支えている。
母親は日本語で話しかけるが
「Problem solving(問題解決)の授業は何をするの?」
「(英語)クラスによって先生が違って課題を与えてくれる。」
子どもたちが日本語を忘れることに悩んだ時期もあったという母親。
せっかく留学したのだからと
英語に集中させることに決めた。
(母親)
「英語だけをやってきてそれが良かったかはわかりませんけど
 それぐらいした方が英語は絶対身につくし
 後悔するかもしれないし
 これがよかったて思うかもしれない。
 まだ分からないですよね。」

英語を学びながら日本語力をいかに保つかは
子どもが留学している保護者に共通の悩みである。
そのためニュージーランドには日本人向けに日本語で教える学習塾もある。
ニュージーランドの場合
10歳以上は現地に保護者代わりの人をつければ1人で留学することが出来る。
中学生になって1人で留学した生徒たちは
自分で困難を乗り越える力を求められることが見えてくる。

ニュージーランド クライストチャーチ。
今年4月から留学しているKOUEIくん(12)。
(KOUEIくん)
「ジョーはサッカーがうまくてけっこうスポーティ。
 アイザックはやさしく話しかけてくれる。
 友だちと過ごすのは楽しいです。」
日本の小学校を卒業後自ら留学を決めたKOUEIくん。
思いがけず苦労したのは活面での自立だった。
KOUEIくんはいま保護者代わりの日本人の家で一時的に暮らしている。
最初の半年はニュージーランド人の家にホームステイしていたが
英語がまだできないうえに身の回りのこともままならず
関係がぎくしゃくしてしまったという。
ニュージーランドでは“自分のことは自分でする”ことが日本以上に求められるからである。
(KOUEIくんの留学を支援 山本さん)
「親御さんがいたらやってくれることを全て自分でやらなきゃいけないのは大変。
 お客様ではないので 留学のホームステイは。」
部屋の掃除など以前よりできることが増えたKOUEIくん。
1月からまたニュージーランド人の家庭で暮らすことが決まった。
英語を学ぶだけでなく
“英語で生活できるようになること”が今の目標である。
(4月から留学 KOUEIくん)
「英語がわかったらそれでいいなかなって思ってたけど
 ちょっと違った。
 これからは生活面のことをきっちりする。」
悩んで自分と向き合ったことで留学生活が前向きに送れるようになったという生徒もいる。
1月から留学しているMIKIさん(16)。
私立中学のカリキュラムの一環で10か月間の留学に挑戦。
しかし他の留学生と比べて英語が話せないと悩み
学校を休むほど思いつめた。
(大阪薫栄女学院から留学 MIKIさん)
「ニュージーランド人の人たちに囲まれて笑ってる自分がイメージにあったのに
 こっち来たら全然そんな感じじゃなくて
 ひたすら悩んで泣くみたいな感じでしたね。」
甘えてはいけないと
日本にいる母親にも相談できずにいたMIKIさん。
しかしその母親からの言葉に救われたという。
「“英語のためだけに留学しているわけじゃないから英語だけにこだわらないで”
 全然英語が上達しないまま帰ったらお母さんに失望されるかと思っていた。
 けっこう気持ちが楽になりました。」
考え方を変えたことで友だちとも積極的に話せるようになった。
英語力以上に大切なものが
留学で得られたと感じている。
(MIKIさん)
「日本じゃ絶対できないようなことを体験できたし
 1年間ずっといてちゃんと過ごせたことも自分の自信になると思う。」


 

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米 経済に忍び寄る影

2020-01-08 07:00:00 | 報道/ニュース

12月10日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


世界経済の減速傾向が強まるなかで“一強”の感すらあるのがアメリカ。
特にその7割を占める消費の好調さが際立っている。
しかし消費拡大のエンジンともいえる消費のサイクルを
近い将来 根底から揺るがしかねない懸念もあるようである。

本格的に始まった年末商戦。
アメリカでは今年
いわゆるブラックフライデーをはさんだ5日間
1億8,960万人が買い物をしたという。
去年より14%増えて過去最高。
実に全米の人口の6割にあたる。
消費の柱のひとつ
住宅も好調である。
アメリカ南部テキサス州オースティンの郊外。
町の中心部からは車で1時間以上かかる場所だが
続々と住宅が建設されている。
広さ230㎡3階建ての新築物件。
価格は約7,000万円。
ここ5年ほどで2倍近くに跳ね上がったという。
(不動産業者)
「オースティンの住宅市場は絶好調で
 いくら建設しても需要に追いつきません。」
全米の住宅ローンの残高も今年に入って史上最高記録。
旺盛な購入意欲が住宅価格を上げ
次の投資につながる。
住宅市場はアメリカ経済を動かすエンジンである。
ところがこのエンジンを回す人たちがいなくなるのではとの懸念が出ている。
アメリカで最も人口の多いいわゆるミレニアル世代(今の20代半ば~30代後半)が
家を買わなくなるのではと心配されているのである。
住宅市場とミレニアル世代の関係を研究する ニールさん。
(シンクタンク ニールさん)
「他の世代に比べてミレニアル世代の住宅保有率は約8%低くなっています。
 ミレニアル世代は大きな購買層です。
 彼らの動向は15年・20年・30年後まで影響します。」
家離れの大きな理由の1つが多額の借金である。
ニューヨークから車で2時間。
アレンタウンにあるニューレンバーグ大学。
ここで非常勤講師をしているマシューさん(32)。
彼もミレニアル世代の1人である。
3年前 大学院のアートの修士号を取得。
専門は写真である。
彼にのしかかるのが大学院の学費のために借りた学生ローンである。
学生ローンはいまアメリカで急速に増えていて
総額は160兆円余。
借りている人は4,500万人にものぼる。
驚くのはその金利である。
公的なものでも固定で年5~7%。
民間はそれ以上である。
マシューさんは3つのローンを組み
まだ350万円残っている。
(非常勤講師 マシューさん)
「返済に20年かかるかもしれません。」
誤算だったのは就職先が安定しないことである。
マシューさんはどこかの大学に籍を置きながら自身も芸術を学び
返済を続けようと考えていた。
しかしそうした職は見つからず
今は非常勤講師で契約は来年5月までである。
高校時代からの同級生の妻のブリトニーさん。
彼女自身も学生ローンを抱えていて
日々の生活で精一杯だという。
(妻 ブリトニーさん)
「就職に必要と思い学位をとったのに社会に出て何もできなくなります。
 家を買うなんて夢のまた夢なんです。」
(非常勤講師 マシューさん)
「家を買うどころではないです。」
次の就職先を探すマシューさん。
修士号を生かした待遇の良い仕事はそうは無い。
彼が今住んでいるアレンタウンを歌ったビリー・ジョエルの歌詞には
こんなフレーズがあった。
♪ アレンタウン
  教師たちはいつも言っていた
  まじめに働けば
  立派にふるまえば
  必ず報われると
  壁に飾ってある卒業証書も
  結局僕らには何の役にも立たなかった



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伝説の国語教師が遺したもの

2020-01-07 07:00:00 | 編集手帳

12月8日 読売新聞「編集手帳」


つれづれなるままに…で始まる「徒然草」の序段はなぜ珠玉の名文だと言えるのか。

灘中・高校で教え、
伝説の国語教師の異名を取った橋本武さんは、
わずか60字ほどの段を九つのパーツに分解、
図式化して、
兼好法師の工夫や思いを鮮やかに解き明かす。
中学時代に出会ってから大切に読み続け、
古希近くに成果を『解説 徒然草』(ちくま学芸文庫)としてまとめた。

教科書は使わずに中勘助の小説「銀の
匙さじ」を3年かけて読み解く。
型破りな授業で知られたが、
古典も独特だった。
草仮名で
綴(つづ)られた原本を自らなぞり、
ガリ版刷りで教材を作る。
グループでの共同研究を課題に出す。
「味わいつくし、
 調べつくす。
 読書が自分の体験になると一生の財産になる」。
そんな言葉を
遺(のこ)している。

読解力とか試験の見直しとか。
先生の働き方も含め、
ここ数日、
耳にする難題は一つの輪っかでつながるようにも思える。

先の書の解説で教育学者の斎藤孝さんが説いていた。
橋本先生の徒然草への熱いあこがれが生徒に
伝播(でんぱ)し、
彼らも深い洞察にあこがれる。
<教育の原理とは、
 
「あこがれにあこがれる関係性」>だと。

 

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♪ 図書館の歌 ♪ 国境を越えて

2020-01-06 07:00:00 | 報道/ニュース

12月26日 NHK「おはよう日本」


全国の小中学校などでコンサートを行いながら
子どもたちが歌う合唱曲を作り続けている音楽家がいる。
この音楽家が作った 図書館の歌 が
国境を越えてアフリカの子どもたちにとどいた。

♪ 図書館で会いましょう(作詞・作曲 弓削田健介)
  図書館で会いましょう
  限り内ときめきをあなたにプレゼント
図書館の魅力を歌った歌「図書館で会いましょう」。
この歌を作った合唱作曲家の弓削田健介さん。
佐賀や福岡を拠点に
全国の小中学校などを訪れ
合唱の魅力や夢を持つことの大切さを伝え続けている。
(児童)
「笑顔で楽しくリズムに乗って歌ってたので
 ものすごく楽しい歌という感じ。」
(音楽の先生)
「口ずさみながら図書館に向かったり
 図書館に入ったり借りたり
 何かそういう図書館と歌がつながった感じがする。」
佐賀市立図書館。
(弓削田健介さん)
「この辺は絵本のガイドブック。
 選書された本
 長年良いとされてきた絵本とか
 これを参考にテーマ別に絵本を探しに行って
 いま頼まれてる曲のヒントをもらったりとか。」
大学生のときにこの図書館でアルバイトをしていた弓削田さん。
それが縁で図書館20周年の歌を作った。
(弓削田健介さん)
「図書館が好きだから図書館の魅力を知ってもらいたいと思いましたし
 本て素敵だよって
 図書館って楽しいよというのを歌を通して伝えられたら
 図書館好きの作曲家としては自分らしい活動かなと思って
 図書館ソングを作りました。」
この歌から思わぬ出会いも生まれた。
一昨年 全国の図書館関係者が集まる会合で「図書館で会いましょう」を披露。
それをきっかけに
南アフリカの学校の移動図書館車を送る活動をしているNPOと出会った。
南アフリカでは図書室のない小学校が約7割に登ることを知ったという。
(弓削田健介さん)
「自分でも何か音楽でお手伝いできることがあったらいいなと。」
NPOの志に共感した弓削田さん。
音楽活動などで集めた資金を使い
2年前 日本で使われなくなった移動図書館車を南アフリカにおくった。
南アフリカ東部のムプマランガ州。
今年9月 弓削田さんは初めて現地を訪れた。
弓削田さんが贈った移動図書館車。
カラフルなペイントが施されアフリカの移動図書館車として生まれ変わっていた。
子どもたちは夢中で本を読んでいた。
(ムプマランガ州 教育省副局長)
「離れた地方まで本が届けられ
 本当に感激しています。」
南アフリカの訪問にあたり
弓削田さんは子どもたちと心を通わせたいと
図書館ソングの英語バージョンを用意していた。
♪ World of Fairy Tales(「図書館で会いましょう」英語バージョン
  See you in the wourld of fairy tales ーおとぎの話の世界で会いましょうー
  It akes me happy ー僕を幸せにしてくれるー
  All the books are here for you annd me
                  ー本たちはみんな君と僕を待っているからー
(弓削田健介さん)
「ただただ図書館が好きで
 図書館においでよ
 図書館で会いましょう
 という歌を作ったが
 その小さな作曲した曲がここまで遠くに届いて
 いろんな人の気持ちをつないでくれる歌になるなんて本当に想像していなくて
 その奇跡に本当にびっくりしながら
 本が好き
 音楽が好きという気持ちをこれからも大切に
 1曲1曲作っていきたいなと思った。」
弓削田さんは歌と移動図書館の支援活動で
これからも世界中の子どもたちとつながっていくつもりである。
弓削田さんは南アフリカの子どもたちから
移動図書館車のおかげで自分の名前が書けるようになったと感謝されたという。




 

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長文を読む

2020-01-05 07:00:01 | 編集手帳

12月6日 読売新聞「編集手帳」


先日当欄で触れたばかりだが、
夏目漱石「坊っちゃん」の物語は有名な一文に始まる。
<親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている>

この後しばらく、
何をやった、
これをやったとやんちゃ自慢がつづき、
損ばかりしている理由がさりげなく差し挟まれる。
<おれは何が
嫌きらいだといって人に隠れて自分だけ得をする程嫌いやな事はない>

そんな気持ちの若者が新任教師として意地悪な教頭とぶつかったりするのだから、
どきどきする。
なおも先の二文は全編に効いていて、
読者は最後まで頭に置いて読み終えることになる。

若者の読解力が低下傾向にある問題で、
テレビのコメンテーターが話していた。
短い文章でも理解の練習になるのだから、
SNSを教材に取り込んだらどうかと。
ちょっと違うのではないかと思った。
長文というものは概して前に書いてあることが後段に響くように作られている。
どんどん理解の深まる構造になっており、
会話に似た短文のやり取りとはかなり異なるものだろう。

もし読解に悩む人に相談されたら、
こう言う。
まず好きな本を見つけよう。
後半になればなるほど面白いから。

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中国で“中古品ブーム” きっかけは日本?

2020-01-04 07:00:00 | 報道/ニュース

12月5日 NHKBS1「国際報道2019」


中国では
衛生面での問題などもあって
“誰が使ったものが分からないものは購入したくない”という意識が強く
中古品は敬遠されてきた。
それがいま若者を中心に変わり始めている。
背景には景気減速による消費スタイルの変化や
日本の影響もあるということである。

毎年11月11日に行われる “ネット通販の大規模セール”。
今年の売り上げは約4兆1,700億円。
1日の取引額として過去最高を記録した。
しかしそんな中国でも
これまで右肩上がりに拡大してきた消費行動に変化が起き始めている。
北京市内で行われた雑貨品のセール。
若者が真剣なまなざしで品定めするアクセサらーやぬいぐるみ。
実はすべて中古品である。
(客)
「同じものを持っているんですがもう1個買いました。
 ビンテージショップでよく買い物をします。
 今日履いているこの靴も中古品です。」
中国ではいま若い世代を中心に中古品への関心が高まっている。
背景にあるのが日本の影響である。
仕事や旅行で日本を訪れた際に
古本や古着の文化に触れ
“いいものを安く買いたい”という考え方が広がっているのである。
(客)
「日本の古着は可愛くて興味があります。
 デザインもいいし価格も手ごろですよね。」
北京市内の商業施設にあるバッグの専門店。
この店で扱っているバッグはすべて中古品。
店内にある中古のブランドバッグのほとんどが日本から買い付けてきたものである。
(客)
「中古のバッグは個性的でいいですね。」
なかには新品の3割~4割で買えるものもあり人気を集めている。
(中古ブランドバッグ店 店長)
「若者は新品に手が届かないから中古品を選ぶんですよ。
 私自身もよく日本に行っていて
 だんだんと中古品を受け入れるようになったんです。」
実際の店舗だけではない。
いま中国では中古品を売買するアプリが急増。
市場規模は来年には5年前のほぼ8倍の16兆円にまで成長するという試算もある。
市場規模拡大に期待を寄せるアプリ運営会社は
(中古品アプリ運営会社 PR担当者)
「若者は有名ブランドかどうかではなく
 より個性的な中古品を選びます。」
こうした中古アプリを活用するひとり
北京在住の程さん(32)。
以前岩手県で働いたことがあり
そこで古本や古着の店を目にして
中古品の良さに気づいたという。
現在ネットメディアで働く程さん。
仕事がら本を買うことが多く
アプリを使って古本を買うことで大幅に節約できるようになった。
(程あんん)
「この辺の本はすべてアプリで買いました。
 定価の6~7割安いです。」
買った本が不要になった時にはアプリを使って下取りに出すこともでき
業者が自宅まで本を回収に来てくれる。
回収された本はアプリの運営会社がクリーニングをしたうえで
再びネットで販売される仕組みである。
(程さん)
「この本は高かったんですが
 売るときも高く売れるよう書き込みはしないんです。」
この日 程案はアプリの運営会社が経営する北京市内の古書店を訪れた。
購入したい本を実際に手に取って吟味したいときには
こうした実店舗も利用できる。
書棚を見ると日本に関連した本も少なくない。
日本のマンガの翻訳版や
日本から輸入したレコードも人気だということである。
(程さん)
「新品がどうかは実際に使う場合まったく問題になりません。
 もっと中古品を活用して
 自分に合った賢い買い方ができるようにしたい。」

 

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米ロ “新冷戦” せめぎ合いの舞台裏

2020-01-03 07:00:00 | 報道/ニュース

12月3日 NHK「おはよう日本」


NATOをめぐって今アメリカとロシアは“新冷戦”と言われるほど関係が悪化している。
去年3月 国内外のメディアの前に行った演説で
プーチン大統領はロシア軍の次世代兵器を紹介。
このなかで核弾頭を搭載したミサイルが発射される動画が流れたが
飛行した先はアメリカのフロリダ半島にそっくり。
フロリダはトランプ大統領の別荘があることで知られている。
こうなった背景にあるのは“NATOの拡大”である。
冷戦の終結直後はNATOの加盟国は16か国だったが
今では29か国にまで増えていて
ロシアとの国境に接するまでになっている。
ロシアはアメリカを中心とする軍事同盟が迫ってきていることを非常に強く警戒している。
その中でカギを握っているのがウクライナである。

1989年12月3日
(当時の米ブッシュ大統領)
「ソビエトでの改革が進み
 新しい時代を迎えることができた。」
(当時のソビエト ゴルバチョフ大統領)
「冷戦時代とははっきり決別すべきだ。」
固く握手を交わすふたり。
冷戦終結の喜びに世界が酔いしれるなか
水面下ではアメリカとロシアの間で
ウクライナを取り込もうと
軋みが生じ始めていた。
冷戦終結から2年後の1991年
ソビエトが崩壊しロシアに。
この時ウクライナは独立し
初代大統領にクラフチューク氏が就任した。
クラフチューク氏は
ウクライナに対するロシアの姿勢に当初から不満を持っていたことを明らかにした。
(ウクライナ初代大統領 クラフチューク氏)
「ロシアはウクライナを対等な相手とはみなさずに
 単なる年下の弟ぐらいにしか見ていませんでした。」
NHKが入手したウクライナ政府の機密文書には
ロシア側への不満の一端が見て取れる。
1993年9月 ウクライナの外相がクラフチューク大統領に送った文書。
そこには
“ソビエト時代に配備されていた核兵器を
 ウクライナがロシアに引き渡す際の巨額の補償金の支払いをロシアが拒否している”
と記されていた。
さらにクラフチューク氏は
ロシアからあからさまな圧力を受けたというエピソードを明かした。
1993年
モスクワでロシアのエリツィン大統領と食事をしたとき
エリツィン大統領はロシアの外交戦略文書を示しながらこう話したという。
(当時 エリツィン大統領)
「ウクライナがロシアから離れて親ヨーロッパに動くなんて
 大統領であるあなたがそんなこと思っていないだろうね。」
(ウクライナ初代大統領 クラフチューク氏)
「ロシアはウクライナが自由に国内・外交政策を進めるのを許さないと分かりました。
 そこでNATOへの加盟について考え始めたのです。」
アメリカをはじめとする西側諸国が共産主義諸国に対抗するためつくったNATO。
1993年に誕生したアメリカのクリントン政権は
このNATOをウクライナも取り込む形で拡大することに関心を抱き始めていた。
ただクリントン大統領はロシア側に
“NATOの拡大はロシアに影響しない
 むしろ両者はいいパートナーになれる”と強調して理解を求めた。
しかしこうした言葉とは裏腹に
アメリカはロシア勢力圏の封じ込めを課題としていたことが
1994年のウクライナの機密文書で明らかになった。
(在米ウクライナ大使館よりウクライナ大統領補佐官にあてた文書)
ロシアがヨーロッパの一体性を脅かす恐れがあるとアメリカは考えている。
ロシアが勢力圏を作ろうとするのをアメリカは拒否しようとしている。
当時ウクライナの外交官としてワシントンに駐在しこの文書を作ったスメシコ氏。
(元駐ワシントン外交官 スメシコ氏)
「米国は
 300年も続いたロシア帝国の野望は
 遅かれ早かれ脅威になると認識していました。
 私が書いた報告書は
 アメリカの国防総省や国務省の一部のエリートの見方を反映していました。」
スメシコ氏の見立てどおり
NATOはその後
ロシアを封じ込めるかのように東に拡大している。
冷戦終結から10年後の1999年
チェコ ポーランド ハンガリーが加盟。
2004年には旧ソビエトのバルト3国までが加わる。
ロシアのプーチン大統領は当初アメリカとの関係改善を意識していた。
しかしNATOの拡大を受けて
2007年
欧米の政府関係者を前に怒りをぶちまけた。
(ロシア プーチン大統領)
「我々は条約を守っているのに
 NATOは条約を破り国境に迫ってきている。」
この演説は欧米への対抗姿勢を一気に強める分岐点となった。
翌年
ロシアはNATO加盟を目指していた当時のグルジアに軍事進攻。
2014年には新米路線を強めるウクライナに対してクリミア併合に踏み切った。
国営テレビではアメリカへの敵意をあらわにした発言も頻繁に聞かれるようになった。
(11月20日 ロシア国営テレビ)
「略奪者のアメリカは国際法を無視し
 強い者の減速で行動している。
 アメリカがそうくるなら
 同じようにやってやろうじゃないか。」
アメリカへの不信感は国民にも浸透した。
(市民)
「アメリカとの関係は冷え込んでいて修復不可能です。」
「アメリカはいつだって敵です。
 これからも変わりません。」
ロシアの外交専門家は
NATOの拡大を許した苦い経験はプーチン政権や国民に広く共有されていると指摘。
アメリカとの関係については悲観的な見方をした。
(ロシア外交に詳しい コージン氏)
「ロシアとアメリカの関係は
 停滞というより深刻な崩壊状態にあります。
 かつての冷戦よりさらに冷たい戦争なのです。」
 



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日本の動物園に“変革の波”

2020-01-02 07:00:01 | 報道/ニュース

12月3日 NHK「おはよう日本」


動物たちの生き生きとした姿が人気の北海道 旭山動物園。
来年4月から入園料を20%値上げし
公立の動物園では最も高い1,000円になる。
実は値上げの背景にあるのが欧米からの批判である。
飼育施設が狭いなどと指摘され
さらなる施設の充実を求められているのである。
(外国人観光客)
「刑務所みたい。」
いま日本の動物園に“変革の波”が押し寄せている。

旭山動物園の「もうじゅう館」。
ここにいるヒグマの飼育環境が欧米の批判を受けている。
このヒグマは“常同行動”と呼ばれる
檻の中で同じ場所をぐるぐる回る動きをしている。
施設の狭さなどからくるストレスで異常な動きをしていると批判されているのである。
(旭山動物園園長)
「この空間だと
 こういう動きしか使う必要がないからこういう動きしかしなくなる。」
欧米の批判の根拠は
ここ数年で世界的に広がっている“動物の福祉”という考え方である。
動物本来の動きができるよう
自然をそのそのまま切り取ってきたかのような飼育環境を作り
十分な広さを確保するとともに
群れで生きる動物は群れで飼うべきだとしている。
ホッキョクグマについては飼育のガイドラインもすでに定められ
広さは500㎡以上
エサを自分で探して食べられる環境を整えるよう求めている。
危機感を強めた旭山動物園。
施設を拡大するために
値上げで得る資金の活用を決めた。
ヒグマの飼育施設を数億円かけて今の3倍以上の500㎡に拡大。
さらに川を作ってヒグマが魚を捕食できるようにする計画である。
(旭山動物園園長)
「飼育の仕方や動物の生活の質をしっかり整えないといけない時代になってきている。」
“動物の福祉”への取り組みが不十分で
新しい動物を確保できなかったケースも出ている。
札幌市の円山動物園は
ホッキョクグマの飼育施設の広さが欧米のガイドラインの半分しかないという理由で
繁殖のためのクマの提供を拒否された。
このため20億円以上かけて施設を拡大。
エサを地面に埋めて隠すなど
野生に近づける工夫もし
ガイドラインに沿った整備を進めている。
専門家は
いまや“動物の福祉”への取り組み無くして動物園は成り立たないという。
(帝京科学大学アニマルサイエンス学科 佐渡友陽一講師)
「信頼関係の中で動物を貸し借りする
 “ブリーディングローン”がふつうになっていて
 信頼関係が無かったらやっていけない。
 欧米の動物園の信頼関係の輪の中に日本の動物園は入っていけますか
 というのが問われる。」

この数年で欧米の考え方が急速に広まっている。
この流れの中で欧米では次々と動物ごとに飼育のガイドラインを策定していて
それを世界のルールとして広げていこうとしている。
欧米の動物園は施設の整備費を確保しやすい。
入園料の平均は日本の約4倍。
欧米 約2,000円
日本   約500円
また収入の3分の1が寄付というところもある。
一方 日本では旭山動物園のように値上げできる動物園はごくわずかである。
各地にある規模の大きくない動物園の大半では
値上げが入園者の減少につながるなどとして
今の施設のままで対策を見出そうとしている。

福岡県の大牟田市動物園。
予算が限られるなか
今ある施設で“動物の福祉”の充実を図ろうとしている。
その1例がレッサーパンダである。
かつて檻の中に木は数本しかなかった。
そこで木を大幅に増やすとともに壁には取っ手をつけて
縦にも横にも動けるよう工夫した。
(飼育員)
「天井もぎりぎりまで高く使えて
 壁も上ったり
 スペースを有効活用して飼育している。」
子どもたちに大人気のモルモット。
ストレスを最小限にする展示に切り替えている。
名づけて“自由出勤制度”。
展示スペースまで出ていくかどうかモルモットに任せることで
“動物の福祉”を高めようと考えた。
日本ならではの“動物の福祉”を追求する動物園もある。
甲府市の游亀公園付属動物園。
人間でいえば90歳ほどにもなる高齢のライオン。
視力はほとんどなくエサも自分で食べることが出来ない。
(入園者)
「左目が痛々しくてかわいそうですけど
 長生きしてもらいたい。」
欧米では安楽死させて苦しみを取り除くことが動物のためだと考える。
しかし日本では少しでも長生きしてもらうことが動物の幸せにつながると考えてきた。
国内の動物園で作る団体は
日本の価値観を認めてもらう必要性を強調している。
(日本動物園水族館協会)
「欧米からいろいろ言われていますけれども
 “動物の福祉”に対する考え方の違いで
 どちらが遅れているとか進んでいるということではない。
 “日本ではこうなんですよ”というのは発信していかないといけない。」

欧米のガイドラインの全てが国際的なルールとして認められているわけではない。
いわばルール自体が策定の途中の段階である。
そのため日本の動物園の取り組みや価値観を反映できる余地は十分ある。
ただ“自然のような飼育環境を”という欧米の指摘はもっともで
日本も不十分なことがあることは否めない。
だからこそ各地の動物園は謙虚に受け止めて改善に取り組んでいる。
対応が遅れれば各地の動物園から動物が次々と消えていき
動物園そのものがなくなる可能性すらある。
動物園は
自然を身近に感じ
その素晴らしさを学べる場であるとともに
希少な動物の繁殖という自然保護の役割も担っている。
動物園をどう改善していくべきか
利用者である我々も考えていく必要がある。





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